62僕は島、星は魚
出向届を出してから一週間後、僕はセリニ・ネアから兄がいるネオリオ社に出向はできたけれど、莉耶は新プラネットコード社に戻ることになってしまった。
また離れ離れかと少し落ち込むも仕方がないからいいかと、僕と菊太は海王星ポセイゼンへと向かっている。本当はみんなで行きたかったが、昏有兄さんが急かすから先に僕と菊太だけが行くことになった。
たまには電車に乗って星を眺めたいからと電車に乗って約一時間程度で海に入ると、これは絶景だと思わず写真を撮ってしまうほどだ。これ莉耶に送ろうと莉耶にメール文を作っていたら、メールが届き誰だろうかと確認すると昏有兄さんから。
昏斗、海王星ポセイゼンに着いたら、すぐネオリオ街だがすぐこれの調査に当たる。ここで集合だ。
添付されているのを見たらこの前のブラックホールのやつで、興味を持っていたからちょうどよかった。了解と昏有兄さんに返信をし、莉耶に画像を送る。
早く莉耶と合流して一緒に眺めたいなと思いながら駅に到着し、電車から降りて地図を見ながらそこへと向かった。ネオリオ街から離れた場所にあるらしく、僕は冥王星のペンダントを使って昏有兄さんがいるであろう場所までワープする。
着いたらなぜかそこにいたのは水神潤だけで、水神潤は手を振っていた。
「やあやあ昏斗くーん、今日はよろしくねー」
「よろしくお願いします、潤さん。兄さんは?」
「それがねー奥さんが急変しちゃって病院行ってから来るってさ。某も行こうか聞いたんだけどいいって断れちゃって」
昏有兄さんに奥さんがいるのはわかってたけど、今までそういや会ったことがなかったというより莉耶のことで一杯一杯だったから会いに行けてなかったな。落ち着いたらお見舞いに行こうと水神潤と菊太で潜水艦に乗り出発した。
案外広いなと椅子に座り水神潤にあることを言われる。
「そう言えばさ、聞いた?大鳳天満がなんと新プラネットコード社に入社することになったらしいよ。あれはびっくりしたな」
「僕、聞いてないですよ」
「え?もしかして言っちゃダメなパターン……。ごめん、今の聞かなかったことにして」
手を合わせてそういう水神潤でも、莉耶も出向命令が下された意味。
「昏斗くん?めちゃくちゃ怖い顔してるよ。どうかした?」
「いえ。何もないですよ。セリニ・ネアが僕と莉耶を引き離そうとしているんじゃないかって思っただけですから」
まさかセリニ・ネアの上官がそう仕組ませていたってことはないよねと信じるしかない。
「潤さん」
「ん?」
「潤さんはなんで女好きになったんですか?」
「え?そこ聞いちゃう?んー忘れた。気がついたら女好きになってたよ」
誤魔化した笑顔を出して何かあったんだとわかってもそこまで追求はせず違うことを聞いた。
「そうですか。雫ちゃんと炎悟さん、元気にしてます?」
「見てて呆れるほどバカップルだよ。今は違うプラネットの指揮官だからあまり会えなくてもメールや電話でやり取りはしてるっぽい。某もそろそろいい人見つけないと両親に怒られそうだな」
「つむじちゃんか飛羽さんはどうですか?アステル幹部同士息が合いそうですし」
「あははは。つむじはなんていうか妹感覚で、飛羽は友達以上の関係には慣れない」
どうしてですかと聞くとまた誤魔化して内緒と言われ、これ以上根掘り葉掘り聞いたらまずそうとその話はやめる。
水神潤は席を外し、僕は海の景色を眺めていたら人魚らしき人が泳いでいるようでもすぐいなくなってしまった。ディアヴォロスと一瞬考えるもそうじゃないような気がする。
見ていたら水神潤が戻って来て、もうすぐブラックホールがある場所に到着するようだ。
潜水艦をとめダイビングウェットスーツに着替え、海に潜って吸い込まれない程度に近くへ寄る。この先には何があるんだろうかと、後もう少し近づいて見ようと泳ごうとしたら水神潤の手が肩に乗った。
指の合図でこれ以上は無理だと、一度潜水艦に戻る。
「あれ以上、近づいたら確実に行方不明者と同じになる。まずは昏有が来てからにしよう。それまではここで待機かな」
「近づかなければいいんですよね?」
「え?何かするつもり?」
「エンヴィリオを出現させたらどうなるのか少し興味があって。やってもいいですか?」
「わかった。だけど昏斗くん、近づかないようにね」
はいっと僕は再び潜りに行って事前に作った弓を構え近くにあった岩に弓矢を放ってみるが、思うように矢が当たらないことに気づいた。海の中って駄目なのかと何度も矢を放つも思っている岩に当たらず流されてしまう。
やっぱり駄目かと潜水艦に戻ろうとしたその瞬間、吸い込まれるような感覚を覚え真っ先に潜水艦に戻ろうとしたが届かず吸い込まれブラックホールの中へと入ってしまった。
星音の歌声のように美しい声に波の音が聞こえて、ゆっくり開けると誰かの顔が目の前にある。
「……あなたは?」
「わては蝕夜の後継候補者、ポスドナス。ブラックホールに吸い込まれるあなたを見つけたから助けました」
そうだと起き上がるとここは地上で頭がこんがらがって来ている。海王星ポセイゼンはほとんどが海だと聞く。こんな島なんてあったっけと考えていたら昏斗くーんと走ってくる水神潤と菊太で、それに気がついたポスドナスは海へ潜っていなくなってしまった。
どういう関係性なのかはわからないけど、何かがありそうだと立ち上がり水神潤のところへと行く。
「大丈夫?怪我はしてない?」
「はい。それより無人島なんてありましたっけ?」
「某もびっくりしてて、昏有に連絡しようとも圏外なんだ。もしかしたらこの無人島に行方不明者が出てくるかもしれない。調査してみよう」
三人で無人島を歩いて行き無人島そのものだから珍しい花とか見つけられたらラッキーだな。歩いていると菊太が何かの匂いを嗅ぎ取ったのか走って行き僕と水神潤は菊太の後を追った。
追った先にはなんと無人島に小さな街があって、そこにはイクプサリというディアヴォロスたちが住み着いていたのだ。僕たちを襲うわけでもなさそうだし、話してみるかと声をかけようとしたら、サメに食われると向こうから走ってくる僕と同年代ぐらいの彼女が来て後ろに隠れた。
彼女を追いかけて来たのはサメの顔をしたディアヴォロスかネメスで捕らえた方が良さそう。無限拳銃を構え一発発砲しサメ男はずてんと転んだ。
やれやれと大丈夫ですかと声をかけようとしたら水神潤がナンパを早速していて、水神潤の耳を引っ張りながら彼女の元に戻る。
「痛い、痛いって」
「ナンパは後でしてください。今は調査中なんですから」
すみませんと謝っていて菊太がサメ男を連れて来たのだ。
「どこで吐かせる?」
「セリニ・ネアも知らない場所らしいし、新プラネットコード社もネオリオ社もないからな。どうしよう」
「それなら廃墟のクレヴィー社があります。着いて来てください」
彼女に言われてそこに連行をし、話を聞くことになりサメ男は菊太に任せて、彼女の話を聞くことにした。
「うちは陽瀬波って言います」
「陽瀬……まさか海さんの妹?」
「え?兄にを知っているんですか?うちは地下にずっといてクレヴィー社が倒産した時に、元クレヴィー社の社員がここを解放してくれて地上に出た。でもその時にブラックホールに丸ごと島を飲み込まれちゃって。海に潜ってもブラックホールがたくさんあってその先には進むことが不可能」
「なら蝕夜に教えれば救助が来てくれるかもしれない。ちょっと待って。ここって通話できる?」
「できると思うよ」
僕は星に連絡をとってみて、水神潤は昏有兄さんに連絡をとってみることに。繋がるかなと冥王星のペンダントを握って待っていたら繋がった。
「兄君、助けて」
『そこに行くのは難しい』
「どういうこと?」
『ブラックホールそのものがディアヴォロスだからだ。無理に入ろうとすれば昏斗たちが完全に死すかもしれん。僕が直接交渉をしてみるから、しばし待たれよ』
そんなと電話が切れてしまいまだ話しているらしい水神潤で、どうだったと聞かれたから首を横に振り説明する。
「ディアヴォロスの帝王である蝕夜が言うにブラックホール自体がディアヴォロスらしいんだ。無理に入ろうとすれば僕たちが殺される可能性が高いらしい。だから待つことしかできない」
「そっか」
「波ちゃん、一つ聞いてもいいかな?どうしてサメ男に追いかけ回れてたの?」
それはと苦笑いしながらポケットからある物を見せてもらった。ビー玉のように綺麗な玉。
「これは小さい頃、兄ににもらったビー玉をもらって次の日に、兄には神パーティーに招待されて行っちゃった。うちの家族、一応海賊だから帰って来なくてもへっちゃらなの。でもうちは兄にのことが大好きで、またいつか会えるかなってずっと待ってた」
「海さん、そう言う大事なことは一歳喋ってくれなくて、仕事になると熱くなるけどいつも寝てばっか。そのせいで僕の相棒である菊太で起こすことが多くて。ただ年下の人たちには、接し方は悪くても褒めてくれるところがたまらないというか」
「兄にらしいや。うちにこれくれた時も何も喋らずくれて、頭をわしゃわしゃってやった後、スーッていなくなっちゃうの。本当に、兄には照れ屋だね」
そうだよねと海さんと盛り上がっていたら、菊太が出てきて僕に報告してくれる。
「サメ男、そのビー玉を返してほしいとか言ってた。盗まれたビー玉らしくてさ」
「嫌だ。これは兄にから貰ったものなの。絶対に返さない」
「お金はいくらなの?」
「十七万マタフリで高級品のビー玉とか言ってたけど」
絶対に嘘だろうと貸してもらいビー玉をよくよく見てもそういう価値観はなさそうだ。それに宝石のように光り方があまり少ない。よくラムネとかに入っているビー玉の光程度だ。
「サメ男が経営しているお店に連れてってもらう。そこから話をつけてみるよ。だから波ちゃん、女好きの潤さんを見張っててくれる?」
「あの人を?」
「すぐ戻ってくるから。お願い」
若干引いている陽瀬波であっても、わかったと言ってくれてビー玉を借りたままサメ男が経営しているお店に連れてった。海で発見したらしい宝石がずらりと並んでいて、ビー玉とそっくりなビー玉を見つける。
「いつ頃盗まれたんですか?」
「先月、店が荒らされてそのビー玉だけがなかったんだよ」
「よく見てください。彼女の発言によると幼い頃に兄からいただいたものだと。光加減もよく見てください。輝き方が違いますよね?」
近くで見せていると本当だと申し訳なさそうな声をだし、この件については僕が調査してみると伝えて釈放してあげた。
菊太と一緒に廃墟のクレヴィー社に戻り、誤解が解けたのを知らせる。
「波ちゃん、誤解が解けたよ」
「ありがとう、昏斗くん」
「昏有と話して待機命令が出されたよ。だから昏斗くん」
とても嫌な予感がして僕の肩を掴みニヤニヤして、合コンしたい顔立ちで合コンすることになった。僕は一応既婚者なんですけどと、洋服を買いにお店に入って適当に選ぶ。
波ちゃんは女の子を連れてくるみたいで、別行動になっているけどこんなことしていていいものだろうかと選んで行った。
⁑
気がつくと私は襲われた場所で寝ていたことがわかり、全くあの後何が起きたのかわからない。でも私の両手首には知らない花がついている。こういう時、昏斗がいてくれたら教えてくれたのにな。
無限拳銃もスマートウォッチもあるから、一応お父様に連絡しようかなと連絡先表を確認する。そしたら葉室剣以外全て消去されていることがわかり、電話番号を控えていなかった。セリニ・ネアに言っても無意味だろうしどうしようと考えていたら葉室剣から連絡が来て応答する。
「剣さん、どうして連絡先を全て消去したの?」
『連絡しても無意味だから削除させてもらった。今から言う場所に行け。貝殻街の南部にあるやや大きなショッピングモールがある。そこで待っていろ。以上だ』
ちょっと待ってと言いたくてもすぐ切られてしまい、なんなのと思っても行かなければ嫌なことが起きると感じ行くことに。潜水艦に乗って貝殻街に着くまでになんとか誰かの連絡先を思い出そうと思っても無駄だった。
こうなるんだったら昏斗にちゃんと言えばよかったと海の景色を眺めて数分後、貝殻街に到着し潜水艦を出て南部へ向かう。
ここに昏花ちゃんや莉耶ちゃんに会えたらいいのにと歩いてショッピングモールが見え進んで行く。すると遠くから昏希くんと甘ちゃんを見つけ声をかけようとしたら口を塞がれ誰とみるとなぜか海さんがいた。
私は海さんの手を離しよかったとほっとしていたが背中に無限拳銃をつける海さん。
「海さん?……何してるの?」
「いいから歩け、星音。大声を出したらまた気絶させるからな」
私を連れ去ったのがまさか海さんだったのと、海さんの指示に従い歩く。なんとかして切り抜けて逃げなくちゃと思っても人通りが全くなく助けを呼べない。
それに状況が未だに読めない状況になりながらも、セリニ・ネアの潜水艦の中に入り扉を閉める海さん。移動して行くのがわかり、海さんは私に向けて銃を向けたままだ。
「海さん、新プラネットコード社の社員…ですよね?なのにどうして?」
海さんは腕にあるコードを剥がしたことにより、信じたくはなかった。今まで桜庭さんたちと仲が良かったのにあれは全て嘘だって言うの。
「潜入捜査でわざと捕食人間に成りすまし、プラネットコードシ社の社員になって色々と調べさせてもらった。悪魔や天使、それ以外の人種もな。俺の本業はセリニ・ネア司令官を務めている。心は大将で和は中将、恵は少将だ」
「なぜ今頃になって海さんが?」
「剣から命令が来たからな。俺の妹も大将の称号を得ている。今頃、昏斗と接触している頃だろ」
「何をする気?アゲンロスを復活させて何をするつもりなの?」
「星音はアゲンロスの器なんだから知る必要はない」
教えてくれたっていいじゃないと喋ろうとしたら両手首についている花の茎が体中に巻きついて口までも塞がってしまった。これじゃあ喋れないと海さんを睨むもこれをつけたのは葉室剣。
今度また会ったらタダじゃ済まさないんだからと、どこかに着くまで魚が泳ぐ海の景色をただただ見ているしかなかった。




