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異世界に転職しました  作者: Aries
第5章
100/202

3日目

 




 3日目


 地道な努力の甲斐あって、ケイリー達は引き剥がせたようだ


 少なくとも俺の気配感知には反応しない


 こつこつスキルを使い続けた結果一方向なら500mくらいは感知できるようになってる


 レーダーみたいに円にするなら現状100mも行かないのが悲しいとこだ


 100mなら目視出来る距離ではあるが、森の中などの遮蔽物が多い場所では無いよりはマシだろう


 ケイリー御一行は朝の出発時点で俺が感知出来る距離にはいなかった


 無事に帰ってくれてると良いんだがな


 あのレベルでこの森に挑むのは正直言って自殺行為だ


 エンカウントしてから逃げでも無駄だろう


 即詰み


 強い魔物に狩られるか、彷徨った挙句森の養分になるか…


 深い森林は陽の光を通す事なく薄っすらと仄暗い


 木々ばかりの同じような景色に、方向感覚がおかしくなる


 所々に自生している植物は甘い香りがして、近づいた者を蔦で絡めとり己の養分にする


 幻術や精神攻撃を仕掛けてくる魔物も多く、慎重に進まないと直ぐに自分がどこにいるかわからなくなってしまう


 迷いの森と言われる由縁だろう


 初見の俺たちが迷わず進めているのは朝比奈の式神のおかげだ


 今のところ迷わずに真っ直ぐ北に向かっているようだが確証はない


 なにせここ最近は迷いの森突破者はおらず、試練突破者も先代勇者の後は誰もいないときた


 先代の勇者も200年くらい前だそうで、大まかな文献が少し残っていただけで詳しくはわからなかった


 迷いの森の先は『死の森』と呼ばれていて、黒い幹の木が生えているらしい


 先代勇者はその先でキマイラやヒュドラを倒したらしい


 それくらいしかわからなかった


 参考資料が無さすぎて嫌になる


 朝日が昇るとともに目覚めて出発し、途中休憩を挟んでひたすら進む


 持久走の様な感じ


 森の中だからそこまでスムーズには進めないけどな


 魔物に遭遇したら倒す


 昼は各自で休憩中に交代で携帯食料を食べて簡単に済まし、午後からはキャンプを張る場所に進む


 まだこの辺では魔物に遅れをとることはないが、なるべく早く進むに越したことはない


 代わり映えしない景色に飽きてくるが、朝比奈が良いムードメーカーになってくれてるお陰で和やかに進むことができてるのが有難い


 俺らがこうして休んでる間も式神を飛ばして斥候をして、今晩の寝床になりそうな場所を探してくれている


 あまり無理はしないで欲しい


「富士の樹海みたいなとこだね〜。コンパスが使えないや。」


「新堂パイセン、コンパスなんて持ってたんすね。わっ、まじか?!ぐるぐる回ってる!やばっ。」


「向こうでもいつも持ち歩いてたんだよ。なんか好きでね。まぁこのとおり役立たずだけど。朝比奈さんの式神頼りでごめんね。」


「良いっすよそんな!自分しかできないし気にしないで欲しいっす。」


「気にはするさ。魔力量との兼ね合いもあるし、きつくなったら遠慮なく言うんだよ?」


「はいはーい。あざっす。」


 陽介はいつも持ち歩いてるものが色々あってコンパスもその1つ


 後は虫眼鏡、ナイフ、ペンライトや非常食なんかも持ってる


 本人曰くいつでも山に行ける様にらしいけど、両親に持たされてるんだろう


 家庭環境が特殊だからな


 俺も似た様なもんなんだが


 まぁそもそも手荷物少ない派だし陽介の準備の良さは感心する


 異世界(こっち)にきてから収納出来るようになって収集癖に拍車がかかってる気はするが…


 戻る時は異世界(こっち)の物って持っていけるのか?


 出たとこ勝負だ


 気にしてもどうしょうもない


 この旅が終わればひと段落つく


 身の振り方を考えないとな






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