佐倉楓を探して 2
「楓さんのお知り合い……ですか?」
「いえ、そういうわけでもないんですけどね。なんでも、大層お強いと聞いて。少し彼の力を借りたいと思ったのですが、聞くところによると佐倉さんは今いないご様子。なので彼へするはずだった依頼を変更して、皆さんに佐倉さんを探してもらおうと思ったんですよ」
「……なんだ。そうでしたか。ですよね、あの楓さんがお知り合いをホイホイ作るわけありませんよね」
拍子抜けの真相に私はため息をついた。
いや、真相は元から分かっていた。
私たちすら行方を掴めない彼が、見ず知らずの者に捕まるような真似などしないだろう、と。
良くも悪くも、そういうところだけは徹底している人だった。
「それはそうと、あなたは楓さんにどんな依頼をするつもりだったんですか?差し支えがなければ教えて頂けませんか?」
「少し、退治してほしい人たちがいまして」
「ほほう」
「僕の家の近くに山賊が住み着いてしまって……。それが結構厄介な連中でして。前も他の人に頼んだんですけど返り討ちにあってしまったので、噂に名高い佐倉楓さんに依頼しようと思ったんです」
「しかし楓さんがいないから、仲間である私たちに捜索を依頼して、見つけてもらって彼にもう一度依頼しようと」
「はい。どうにかなりませんかね?」
「難しいと思いますよ。恐らく楓さんはもうこの街にはいません。連絡する手段すら持っていませんから、私たちですら待つことしか出来ないんです。申し訳ないですけど、彼の捜索という形ではあなたのご期待に添えそうもありません」
「そ、そうですか……。割と最後の希望だったんですけどね。ありがとうございました。素直に引越しを検討してみます」
「いや、その必要もありませんよ。ただ、勝手に依頼内容を変えるだけです。楓さんの捜索は諦めてもらう他ありませんが、代わりに私が戦います」
「えっ、あ、あなたが?失礼ながら、それほどお強いようには……」
「安心してください。伊達に楓さんの仲間を名乗ってるわけではありませんよ。絶鬼の剣閃、とくとお見せしましょう」
私は久方ぶりに自らの刀に手を取ると、それを帯に刺した。
彼がまだどこかで戦っているならば、私が止まるわけにはいかないのだ。




