面倒
その夜、三兄弟が唐突に家を訪問した。我が家の食材を食い尽くし、エロガキ一人を残して去っていく。
何考えてんだあいつら。
ちなみに、アスタと榊はまだ戦闘を続けている。
アスタの能力と発動源である声と、榊のお決まりである絶鬼流の技名が金属と金属がぶつかりあう音とともに聞こえてくる。もっと言えば、大気が震えるような感覚も時々感じて。
ジャンプ漫画かって。
話はころっと変わるが城山は今、食事の片付けの真っ最中だ。
家事をしようとしない僕たちに変わり、自ら進んで家事をこなしてくれているのだ。一応僕もできることはしているが、まだ子供のメアや、精神年齢が子供のアスタ、家事スキル0の榊のせいで追いついていないのが現状だ。
あのビッグチャイルド共の世話は、とてつもなく大変なのである。
「で……。お前はなんで帰らなかったんだ?」
ソファでゴロゴロと寝転がっているエロガキに話を向ける。
「んー、なんだか面白そうか空気を感じとったから……かなー?」
相も変わらず気の抜ける喋りをする奴だ。
「よくそういうのに勘づけるよな……。ただエロいだけのエロガキじゃないってことか」
「……ねー、いいかげんそれやめてよー」
「それって?」
「そのエロガキってのだよー」
「あー。やめてほしいのか。でもな、なんでそう呼ばれるか分かってるか?」
「なんでー?」
「自分の胸に手でも当ててみろよ。間違っても僕の胸を触るんじゃなくて自分の胸に手を当てるんだぞ!そういうところだわかってんのか⁉︎」
そこまで言われてもなおも揉みしだくのをやめない。思わず手を出しそうになる。
「でもさー、前なら触った瞬間にフルボッコ確定だったのに、今はちょっと余裕あるじゃんー。つ・ま・り・、心の奥底では嫌がってないぃー、処女ビッtっいだだだだだ!すみませんすみません!すみませんでした!でもちょっとうれしー!」
頭に両手を回し、思い切り胸に押し付けて締め付け続ける。
「反省しろガキが!」
「ぐああああああおおおぉぉぉぉ!楓もガキだろがおおあああああおおおおあ‼︎」
普段の口調を忘れて断末魔の如く叫び声をあげる。はは、ざまあみろ。
「ふわふわでグリグリされてるよおおおおおおお!し、しかし……この隙に少しでも揉むんだ……!」
それでも尚、胸を揉もうとする。最早感服する域だ。
「まだ続ける気か!」
恥を捨て、太ももで頭をギリギリ締め付けてさらなる苦痛を与える。
「そ、そろそろ死んでもいいっすか……?」
「反省したか?」
「し、しました……」
「ははははは!僕の勝利だ!」
「うるさい……」
高らかに笑っていると、不意にリビングのドアが声と共に開き始めた。
「あ」
外の戦闘音はまだ聞こえてくる。導き出される結論は、メアだ。
メアの顔がどんどん赤くなり、やがて目をそらす。
「そ、そういうのは各々の部屋でやるべきだと思うが……」
「やめろおお!ラブコメじゃねーんだから!」
「その体制はクんぐっ⁉︎」
「そ、その先はちょっとやめといたほうがいいかもねー」
メアの口を押さえながらその先を言うのを阻止。あぶないところだったぜ。
「それはそうと……例の件、ぬかりはなかろうな?」
「ばっ……馬鹿!今言うな!」
「ふふーん!もうおそいよー!僕の勘は間違ってなかったんだねー!」
「あああああああああ!チクショオオオオオオオ‼︎」
「なんだかよくわからないけどー、僕も混ぜてもらうからねー!」
……面倒になった。




