防衛戦
途中でアスタが気づき、僕を取りに戻る。一時はどうなることかと。
二人が率先して避難の指示を出し、とりあえず街の外へと人々を誘う。その指示に素直に従ってくれているお陰で、避難はスムーズに進んでいるようだ。
「すぐそばまで来てやがる……!」
歩みは鈍いものの、一歩一歩が大きいので、すぐに近づいてくる。ビルを壊しながら。
「しかしデカすぎだろ……。よくあんなの動かせるな」
「多分……あれはとある能力を使っているはずだ」
「能力?心当たりがあるのか?」
「うむ。盗まれた眼帯があろう?あれは、人形を意思通りに動かせる能力を持っていたのだ。……おそらく、他の能力か何かで効果を増強されているだろうがな」
「ほう。それで略奪を……」
「そうであろうな」
あの時盗まれた眼帯か……。どうせぬいぐるみも何か関わってるんだろう。
「っておい!なんか来るぞ!」
アスタがロボットのいる方向に向き直り、僕の目にも何が起こっているか見えるようになる。
ロボットの目が光り、ビームが発射されているのだ。ビームは高出力で、辺り一面を吹き飛ばす。
「あ、あんなのが当たったら一発だよぉ……」
「狼狽えるな。おい、この中に誰か戦える奴はいないか⁉︎焼け石に水だとは思うが、手を貸してくれ!」
一般人に協力を求める。そういえば、こいつら全員何かしらの能力を持った能力者だったな。
「……いないか。仕方ない。俺たちだけで……」
「よし、私が協力しよう!」
一人の女が援軍に名乗りをあげる。それに倣って、他の人間も協力を申しで始めた。
「助かるぜ。あんた名前は?」
「レーハス。レーハス=メイトだよ」
「よろしくな。早速だが、何が出来る?」
「ふふん。聞いて驚け。私の能力はなんと防御スキルなのだ!」
「それは期待できるな…………来たぞ!」
ロボットの目から再度極太のビームが発射される。今度は僕たち目掛けて。
「早速出番だね!おりゃあああああ‼︎」
レーハスの体が薄い金色に輝き始め、大きくジャンプする。
「う……ぐっ……!」
激しい爆発音を鳴らしながらその大きなビームを受け止める。が、大きすぎて相殺できていない。
「んん……!ああああああ!」
レーハスの顔が苦痛に歪む。まずい。もう限界だ。
「そこまでええええええええ‼︎」
硬質化した光がビームを遮る。メアが手に持っているものは、どこからともなく持ってきた大きなスポットライト。
「よくやった!」
「ちょ、超重かった……」
超ご苦労さん。
だが、そのお陰で奴の攻撃を止めることができた。今のを防ぐことが出来なければ、未だ避難中の数万人はいるであろう人たちは全員死んでいただろう。ちなみに、この街に入るルートは一本しかなく、しばらく一本道が続くために、この一本道を攻撃させると、ここにいる全員がお陀仏になってしまうのだ。なので、自分たちも逃げつつ、攻撃を受け止め続けなければ、ゲームオーバーだ。
「つーかよぉ……。これから今のを何発……下手したら何十発も止めなきゃなんねーって考えると身が持たねーよなぁ……」
「雫と悠人に期待するしかないであろう。こちらはこちらで出来ることをやるのみだ。二撃目に備えよ」
ロボットを見上げると、今度は手に持ったガトリングをぶっ放そうとしている。
「これなら俺でも捌けるぜ!」
ガトリングと言っても、ロボットの大きさ的に言えば砲丸くらいの大きさの弾のはずだけど……それをいとも簡単に弾いて、斬って、止める。
「ついでに……喰らえクソロボット‼︎」
剣の樋で弾丸を打ち返し、ロボットの目の部分に見事直撃する。が、やはりダメージは無いようだ。
「ど、どんだけ硬いんだよこれぇ……」
「弱音を吐くでない。今、我の下僕共が必死に止める術を探している」
「ああ。それまでなんとか耐えるんだ」
「……うん」
この場にいる全員が再度ロボットへと向かう決意を固め、戦いに戻る。
……榊と城山はどうなっているのかな。




