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食料争奪戦Ⅱ

「顕現せよ‼︎神に仇なす闇の……危ないなぁ‼︎」

 詠唱は途中で終わったものの、床から無数の柱が現れる。

「隙でかすぎなんですよバァァァァァァカ‼︎」

 榊が詠唱しているメアに一発いれるが、硬質光に防がれる。

 なんて使い勝手のいい能力なんだ。

 そしてキャラの崩壊が激しい。

「喋ってる間はてめぇも隙だらけってことぐらい気づけバァァァァァァカ‼︎」

 榊の真似をしてアスタも攻撃をする。

「甘いですよ!」

 余っている片手でもう一本刀を出し、ランスを弾きかえす。

「一網打尽乙ですー」

「くっ‼︎」

 三人が固まったところで、エロガキが電撃を放出する。

 確かにこれなら一網打尽に出来る。

 けどな……。

「電撃出してる間はお前は無無防備って事に気づけ‼︎」

「ぐふっ……‼︎」

 エロガキに飛び蹴りを喰らわせる。

 一人脱落か?

「あだっ‼︎」

 空中にいるときに硬質光に叩き落とされる。

 この姿で出せるスピードは音速に近い……気がする。

 そのスピードを保ったまま地面に叩き落とされるとなると相当の衝撃だ。

「貰った!」

 痺れからいち早く回復したアスタが僕に突きを放つ。

「殺す気か‼︎」

 なんとかランスの先を掴み、攻撃を受け止める。

「ちっ……きしょおおおおお‼︎」

 力任せに押してくる気か。

「僕に力任せな戦いが通用すると思っ……⁉︎」

「投了ですね」

 刀の先が僕の首筋に当たる。

「……どうかな?」

 ランスを掴んだままのアスタを振り回し、榊とぶつける。

「きゃあっ⁉︎」

 可愛らしい声出しやがって。

 お前の嫌いなアスタと抱き合っとけ。

「いてて……って榊⁉︎」

「ア、アアアアアアアスタさん⁉︎」

 態勢悪く倒れてしまったようで、アスタが榊の微乳を鷲掴みにしている。

 恋愛漫画の一話みたいな展開になっているのは気に入らないが、これで少しはダメージを与えられた筈だ。

「そ、その……離れて…………ください」

 おい、なんでそんなにしおらしい。

「わ、悪りぃ!」

 さっと飛び退く。

 二人の間には微妙な空気が漂っている。

 ……戦闘不能だな。

「これで三人だねー」

「我に屈せよ」

 一人スケールが違うやつがいるが、これでやり易くなった。

 馬鹿二人は空気感に耐えられなくなって二人で争いを始めたし、止めるためにパパッと決めるか。

「だああああああっ‼︎」

 後々厄介になりそうなメアから狙いを定める。

「あ、暗黒障壁!」

「だから詠唱の間隙だらけなんだよ‼︎」

 あまり深いダメージを与えない為に、デコピンを額に当てる。

「あぐぅっ‼︎」

 勢いよく壁まで吹き飛び、そのまま戦闘不能になる。

「というか詠唱いらんだろお前」

 ノーモーションノーワードで出せるせっかくの強い能力が台無しだ。

「これで決着だな、エロガキ」

「悪いけど勝つのはぼくだよー」

「お前が今の僕に勝てると思ってんのか?」

「勝てるよー。だって、ほらー」

 ここまで言われ、やっと気づく。

 僕の体は今、物凄い帯電状態だ。

「ほら、勝ちを譲りなよー」

「くっ……」

 ここまでか……。

 いや、僕は負ける訳にはいかないんだ。

 散っていった好敵手達……。

 僕はそいつらの思いを背負っているんだ。

 ここで負けたら、そいつらの思いはどうなるんだ?

 これは僕一人の戦いじゃない。

 アスタ、榊、メア……。

 そして僕の四人の戦いなんだ‼︎

「だから負ける訳にはいかないんだああああああああ‼︎」

 全速力でエロガキへと走って向かう。

「ばかだなー」

 溜まっている電気を一気に放出する。

 体が痺れてたまらない。

「がっ……」

 視界が暗くなり、意識が遠のき、体が重い。

 そして……。

「らあああああああああっ‼︎」

 能力解除。

 一気に近づいて蹴りを浴びせる。

「うわわわわわわわわわわわわー‼︎」

 予想外の展開に慌てふためくエロガキ。

 そして、メアと同じように壁際まで吹き飛び、戦闘不能になる。

 つまり、僕の勝ちだ。

「はは……やったぜ」

 疲労困憊の体で小さくガッツポーズ。

「そういうことだ。ティフ、プリーズ」

 勝利によってテンションがあがっているのかは知らないが、とても気分がいい。

 手を出し、ブツを欲求する。

「ごめんっす。食べちゃいました」

 ……ん?

「小腹空いちゃったんですよねぇ」

 あ…………あああああああああぁぁぁぁぁぁぁ……………………。

 地面に倒れこむ。

 気づくとアスタと榊も倒れていた。

 結局、勝者なし。

「馬鹿な奴らだ」

 マタドーラのキツイ一言で戦争は幕を閉じた。

 と、不意に扉が開く音がした。

「うん……?なんだ……」

 立ち上がる力すら残っていないので、地面を這いながら一階まで行き、何があったか確認する。

「あ、ここって便利屋さんであってますか?」

 誰だ……?

「え?あ、あぁはい、そうですけど」

「良かった。依頼をお願いしたいんですけど……」

 客か‼︎

「お、お受けします!是非やらせて下さい!」

「え?内容も聞かないでいいんですか?」

「いいんです!お願いします!」

 勢いで依頼を受ける。

 これで首の皮一枚繋がった‼︎

 思い返すと、ここでしっかり話を聞いておけばよかったとしみじみ思う。

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