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突然の襲撃

「帰ったぞ」

 帰宅を知らせる声を上げる。

 結局何の成果もなかったな……。

 苦虫を噛み潰す思いで一階の事務室から二階の私的スペースへと上がる。

 ってうるせーなぁ……。

 もしかしてまだやってんのか?

 どたどたと暴れ回る音が聞こえる。

 さっさと仲裁しないと、後片付けが面倒だ。

「そこまでええええええ‼︎」

 大声でドアを上げる。

「はあああっ‼︎」

 榊の声と同時に、何故か変な男が飛ばされてくる。

 なんで?

「楓か!体力を消耗してる俺たちだけじゃちっとばかし危ない!手伝ってくれ‼︎」

 何が起こってるかはよくわからんが……。

 こんな状況目の当たりにして手伝わない奴がいるかよ!

 首にナイフを持ってくる。

 狭い部屋ではこの姿より、元の姿の方が戦いやすい。

 一気に首筋を切り、能力を発動させる。

 視界がブラックアウト、そしてすぐに戻る。

 …………来た。

「いくぞおおおおおおおお‼︎」

 死んだ反動で落としたナイフを拾い、敵へと向かう。

 狭い部屋に軽く見積もって15人はいるだろう。

 普段の二人なら敵ではないとは思うのだが、今は喧嘩の後で弱っているからなぁ。

 それでも、床に転がっている死体の数を見るに、10人は倒している。

 そこは流石と言わざるを得ない。

「メア!お前も頼む!」

「ふぇ?あ、ああ。任せるが良い!」

 アスタの悲痛な声にやっと反応したのか、メアも戦闘態勢に入る。

 メアの方も先程と同じように暴れる訳にはいかず、手に纏った硬質光で相手を受け流すかのように戦う。

 というかこいつら……強い。

 攻撃を受け流すのがやっとだ。

 なんといかうか機械のような……。

 もう少し広いところで戦いたいものだ。

「くっ……!」

 榊が膝をつく。

 体力の限界がきてしまったのか……。

「休んでろ榊!アスタも!後は僕とメアでなんとかする‼︎」

「は、はい……。しかし、ただで退場する訳には……いきません‼︎」

「おうよ‼︎」

 何をするつもりだ?

 最後の力を振り絞って二人が武器を構える。

「絶鬼流抜刀術壱ノ太刀…………御神楽‼︎」

 お得意の抜刀術の放つ一閃。

 榊の目の前の敵を一掃する。

「くぅ……」

 それで力を使い果たしてしまったのか、その場にへたり込む。

「エルヴレイン‼︎」

 装着状態で鎧の名を叫ぶ。

 こいつは何をするつもりだ?

「ぐっ‼︎」

 尚も敵の攻撃は続く。

 何をするつもりかは知らんが早くしてくれ。

 こっちも持たない。

 アスタは副武装である剣を出し、床に突き立てる。

「っておい!やられるぞ‼︎」

 後ろから敵の一人が襲いかかる。

「はっ……。簡単にやられるかよ!エルカラミティ!」

 突き立てた白い剣に紫や黒の混沌とした色が混じり、鎧にも同じような色が入る。

 正直、あまり見ていたくない色だ。

「オラアアアアアアアア‼︎」

 剣から何か斬撃のようなものを飛ばし、敵を仕留めていく。

 これ、僕達いらないんじゃないか?

 しかし、その状態はすぐに終わり、やがてエルヴレインも解ける。

「やっぱ……負担でけーや…………。後は頼むぞ」

 榊同様、その場にへたり込む。

 この二人のお陰で、残りの人数は二人にまで絞りこめた。

「ケリをつけるぞ、メア‼︎」

「任されよ‼︎」

 ナイフに加え、足技を多用する。

 相手が機械のように動くなら、その処理能力を超えるだけの連続攻撃を加えるだけだ。

 反撃できないほどに攻撃の速度を上げていく。

 筋肉が悲鳴をあげているが、気にするもんか。

「……っ‼︎」

 流石に危険だと感じたのか、咄嗟に反撃してくる。

「おっと!これで……終わりだ‼︎」

 攻撃を避け、相手の頭に向けてナイフを投げる。

 投げたナイフは額に見事当たり、そのまま音を立てて倒れていく。

「あっぶねぇ……」

 っと、メアは?

 ……何してんだ?

 ぽかーんと突っ立っている。

「メア?」

「ゆ……」

「ゆ?」

「幽霊だ……」

「なに言ってんだお前」

「だ、だって……戦おうとしたらすーっと消えたんだもん!」

「……それって透明化の能力とかそんなんじゃないのか?」

「……てへ」

「まんまと逃がしてんじゃねーよ‼︎」

「ご、ごめん」

 まぁ仕方ないけどな。

 僕でも逃すわ。

「んで……あいつらはなんでこんなところを襲撃したんだ?自慢じゃないが金目のものは何もないぞ」

 この家には悲しいくらい何もない。

「そ、そういえば……眼帯が云々言ってたような」

「眼帯って……あのか?」

「ええ⁉︎わ、わ……我の眼帯が…………」

 ……盗られたか。

「今日は散々だな……。ぬいぐるみと一緒に今度買ってやるよ」

「絶対に赦さぬ!必ず取り返してやる‼︎」

 僕の話を無視して、雪辱に燃えるメア。

 まぁ、頑張れ。








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