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合間

「……何してんだお前」

 白目になりながらよだれを垂らしてティフが仰向けに倒れている。

「うおっ……ほ」

「楽しそうだね」

 桜が覗き込む。

 声が少し上ずっている様に聞こえるのは気のせいか。

「うぇひ…………ひひひひははひ

 ひ」

 気持ち悪っ!

 駄目だこれは。

 放送禁止レベルだ。

「ふへへへへ…………って楓君じゃないっすか」

 正気に戻ったか。

「もう一回聞くぞ。何してんだお前」

「はは、明らかに殺意を持って殺しにきてる人がいっぱいいましたんでね、毎回盾になってたらついつい絶頂してしまったというわけでさぁ」

「凄いな……」

「褒めないで欲しいですねぇ」

「今の『凄い』を褒めてるととったなら今すぐ自分の頭を疑うべきだと思うぞ」

 割とマジで。

「は、はやく他のみんなも拾って帰ろうよ」

 僕達を急かす桜。

 そんなに引いてやるな。

「そうっすね。行きまっしょい」

 他の面々を探しに行く。



「お前らは何してんだ……」

 アスタと榊が頭を抱えて地に伏している。

「決着……決着をつけないと…………ああああああ‼︎」

「武器を取れ榊ぃぃぃ…………まだだ……まだ終わらんぞ…………ぐあああああ‼︎」

 何がどうなってる。

「と、とりあえず武器を離しなよ二人とも」

 二人から武器を奪い取る桜。

「あっ……」

「全くお前らはいつもいつも……」

 呆れて物も言えない。

「んで?なんであんなに苦しんでたん?」

 なぜ関西弁。

「お前らを探して街を歩いてたらこのファッキンクソ女と遭遇してな……。また因縁つけて来やがったからぶっ殺してやろうとおもって武器を握った瞬間頭が……」

「お前もか?」

「はい……同じくこの短小早漏のクソ老け顔野郎がまーたゴチャゴチャと意味不明な言語を話して来て武器を構えたら……」

「おいお前なんでそんなこと知ってんだよ‼︎」

「適当に言っただけなのですが……

 」

 あーあ。

 墓穴を掘ったなアスタ。

 なんかさっきから仲間の知りたくない事ばっかり明らかになっていってるような……。

「そ、それより!なんで急に頭が痛くなったんだろーなー!」

「現実から目を背けても哀しいだけだぞ?」

「うるせえ!」

「話を戻しましょう。多分今日の部が終了したにも関わらず武器を握って戦おうとしたからでしょう。私たちは曲がりなりにも参加者ですから」

 珍しく榊がアスタをフォローした。

 槍でも降るんじゃないのか?

「なるほど。参加者同士で時間を破って戦えばそりゃペナルティがつくわな」

 上手く持ってったな。

「さて、後の二人も拾いに行きまっしょい」

 ……なんかRPGみたいだなこれ。




「お前は何を持っているんだ?」

 エロガキの手には紙袋。

 それも大量の。

「いっ……いや、別にー……」

 狼狽え方が怪しい。

「カル、お前何したんだ」

 こいつ身内に話しかけるときは真面目なトーンなんだよな。

「別にー……」

 沢がついた名字のモデルが言いそうな一言を吐き捨てるエロガキ。

 怪しすぎる。

 桜とアスタがそろっと後ろから近づく。

 あの紙袋を強奪する気か。

 二人の息はピッタリだ。

「せーの!」

 高々と持ち上げる二人。

 紙袋が破れ、中の物がどさどさと地に落ちる。

「うわあああああああー!」

 そして中から出て来た物は……。

「……エロ本かよ」

 大体予測は出来てたけどな。

「またお前は……今度はどんな方法で買ったんだ?」

「その辺にいる大人に頼んだー」

 よく頼まれてくれたなその辺の大人め。

「とりあえずこれは没収するからな」

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛‼︎」

 エロガキからエロ本を取り上げるティフ。

 血涙流しながら叫ばんでも……。

「めんどくせえからさっさといくぞ、あとはマタドーラだけだな」



「もう驚かんぞ」

 スイーツが所狭しと並べられた女の子が好きそうな店に似合わない黒いスーツを着た巨人が一人。

 そう、マタドーラだ。

 少食だと聞いていたが、こういうのも好きだったとは。

 周りの目が痛い。

「帰るぞ、マタドーラ」

「ちょっと待て。もうすぐメガ盛りイチゴの幸せショートケーキがくるんだ」

「頼んだのか⁉︎その巨体でメガ盛りイチゴの幸せショートケーキって女の子の店員に頼んだのか⁉︎」

「ああ。少し恥ずかしかったがな」

「少しどころでは無いと思いますよ⁉︎」

 榊も便乗。

「一番凄かった時なんて……なぁ?」

「うんー……日本に観光に行ったときに行った店で頼んだ物なんて『気分アゲアゲ↑↑フルーツ鬼乗せ女の子宣言パフェ〜ゎたしゎここにいるょ……〜』だからねー……」

「うわぁ……」

 いつもは引かれる側のアスタが引いている。

 珍しいこともあるものだ。

 桜はというと……。

 地面に倒れこんで笑い転げている。

「い、いや……別にバカにしてるわけじゃないんだよ?はははっ」

 明らかに馬鹿にしてるじゃないか。

「いいんだ。自分さえ楽しければ周りの目など関係ない」

 言ってることはかっこいいがやってることはケーキを食べることという残念さ。

「ほら、それ食ってさっさと帰るぞ。うちにはもう金が全然無いんだ」

「こっちはたんまりと持っているから問題無い」

「うるせー馬鹿!」

 本当は食べたいけど金が無いからもやしで我慢しに帰るんだよ‼︎

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