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愛しいあなたと  作者: 飴とチョコレート
第二章 高校生編
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おままごと①

その日の配信は、いつもとは違う場所から始まった。

画面には樹と朝倉、そして仲の良い配信者夫婦とその娘さん。家の中の明るいリビングで、和やかに座っている。


「こんばんはー、今日は特別回!お邪魔してまーす」


樹の挨拶に、隣の配信者さんが笑顔で手を振る。


「ようこそ我が家へ。今日は、我が家の“最強の支配者”に手加減してもらえればと…」


その横で、小さな女の子――配信者さんの娘さんが、ドヤ顔で朝倉の隣にぴったりくっついている。


「俺、このお嬢さんに完全に取り込まれました」


朝倉が微笑みながら言うと、コメント欄がざわつく。


「お嬢さんって呼び方w」「朝倉、子ども慣れしてない?」「絵面が癒し…」


「で、何するのかって話なんですけど、なんと娘さんのご希望で“おままごと”をします」


「……ただし、設定が“昼ドラ”」


樹の言葉に、一同笑いを堪えきれず吹き出す。

娘さんが誇らしげに「裏切りと復讐がテーマなの!」と宣言し、全員が一瞬目を見合わせる。


「じゃあ、配役決めようか」


娘さん:家のお嬢様であり、財閥の跡取り。


奥さん:執事に横恋慕する、冷たい母。


配信者さん:その夫で、実は愛人と駆け落ちを考えている。


樹:財閥のライバルの息子で、政略結婚を狙う。


朝倉:影でお嬢様を見守る、正体不明の青年。愛を捧げている。



「……濃いな」


「濃すぎだろ設定がwww」「朝倉だけ設定だけで既にヤンデレ」「昼ドラ感すごい」



---


芝居が始まると、意外にも全員ノリがよく、展開が早い。

お嬢様(娘さん)が「お母様なんて嫌い!」と叫べば、奥さんが「わたくしがあなたの本当の母だと思って?」と目を伏せる。


樹が「政略結婚の話、悪くないと思わないか」と低く囁き、配信者さんが「もう我慢できない、駆け落ちしよう!」と泣きながら叫ぶ。


コメント欄はすでにカオス。


「これマジで地獄ww」「演技レベル高い」「娘さんすげぇ引っ張ってる」


そして、静かに後方で立っていた朝倉にカメラが向いた瞬間――。


「……俺は……あの日、花壇で泣いていた君に、手を差し伸べた男だ」


朝倉の声が一気に重く低くなり、空気が変わる。


「誰にも気づかれず、誰にも必要とされず、ただ君だけが、俺を見つけた。俺の命は……君のためだけにある」


「こっわwwwwwww」「うますぎw」「おい一人だけ2.5次元舞台入ってる」「劇団朝倉か?」


娘さんが完全に乗っかって、「……だったら、殺して……私を、連れ去って」と瞳を潤ませる。


朝倉は真顔で一歩前に出て、スッと膝をつき、「御意」と頭を垂れる。

その動きが流れるように美しく、妙にリアルすぎる。


樹がこらえきれず笑い出す。「お前、マジで何者?」


「おままごとで殺意は草」「めっちゃ真剣じゃん朝倉w」「小学生に合わせろやww」


「……いや、演じるって言うから」


朝倉がさらっと言うと、配信者さんが「いや、あの、朝倉くん……うちの娘さん引っ張られすぎて“次は毒を盛る”とか言い出してるんだけど……」


「毒盛りwww」「昼ドラ超えてサスペンスになってきた」「止めろ朝倉、その先は地獄だ」


---


最終的には、「裏切り者は誰か!?」という大混乱の中でおままごとは幕を下ろす。

娘さんが「またやりたい!」と笑顔で言うと、全員が拍手。


「俺は一生分のドロドロを浴びた気がする…」


「朝倉、明日から舞台出れるよ、たぶん」


「いや、ただの遊びに本気出しただけだ」


「出すなよ、そこまで本気をww」


コメント欄は「カオスすぎる」「満足度高すぎ」「昼ドラおままごとシリーズ化希望」で埋め尽くされたまま、配信は大盛況で終わった。

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