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愛しいあなたと  作者: 飴とチョコレート
第二章 高校生編
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ハワイで親父に

夜のまったり雑談配信。

樹がゲームをプレイしつつ、隣で朝倉がカフェオレを飲みながらコメント欄と会話していた。


話題は「朝倉くんって、何でもできそうだけど、逆にできないことってあるの?」というリスナーのひと言から始まった。


「うーん、できないこと、ね……」

朝倉は小さく首を傾げ、カップを置く。

その仕草がやけに優雅すぎて、すでにコメント欄が軽くざわつく。


『絶対なんでもできるやつ』

『まず今の飲み方が一般人じゃない』

『カフェオレに貴族感出すな』


「でも、ほら!運転とかはできないだろ?未成年だし」

コメントのひとつを拾った樹が、当然のように言う。


「確かに、まだ免許は取れないしなあ」

と笑って頷くが、その隣で――


朝倉は、ふっと視線を逸らした。


「……」


その静かな間に、配信の空気がちょっとだけ変わる。


「ん?……朝倉?」

「ん、ああ……うん、免許は……まだ、ないぞ?」

「いや、その“?”が気になるんだけど」


『おや?』

『今、何かを隠した顔だったぞ』

『嘘ついてるときのコナンくんみたいな顔』

『あやしいぞおおお』


「……まぁ、私有地なら問題ないから。基本的に、たいていの乗り物は運転できるけど」


「……は?」


樹の声がワンテンポ遅れて跳ねる。


「え、なに?今、“たいていの乗り物”って言った?」

「うん」

「いやいやいや、軽く言ってるけど、なにが“たいてい”に含まれてるの!?」


コメント欄も一気にヒートアップ。


『ジェットスキーとか?』

『バギー?』

『逆に何乗ってんだよ』

『てかどこで練習したの!?』


「……樹、私有地って案外広いんだぞ?」

「知ってるけど!え、お前、どんなとこに住んでんの?!」

「秘密」


『おまえんち、どこだよ』

『名探偵かよ』

『もしかして銃も撃てるとか言い出すんじゃ……』


「え、じゃあさ。もしかして……銃とかも……?」


樹が半分冗談で聞いたつもりだった。


しかし、朝倉は――

ニコッとやたらと品のある微笑みを浮かべただけで、何も答えなかった。


「え、ちょ、返事は!?なあ、朝倉!?返事して!?えっ!?嘘だろ!?!?」


『あーーーーーーー』

『笑っただけで何も言わなかったwwww』

『やってる顔だこれ』

『樹さん、逃げて。』


「いやいやいや、ちょっと待って!配信中だよ!?なんかヤバいワード出たらピーって入れる人いないんだよ!?」


「……大丈夫だ。撃ったことがあるとは言ってない」


「その言い方が一番怖いんだよ!!」


コメント欄は騒然としながらも大盛り上がり。

『ほんとに高校生?』

『この子どこに向かってるの?』

『CV石田彰か?』

『今日一番のホラー配信』

などなど、大喜利状態に。


「まあ、朝倉が乗り物乗れるのはわかったけど……銃だけは勘弁な?マジで」

「うん。樹くんに向けることはないから、安心して」

「それ以外に使うこと前提なのやめてもらっていいかな……?」


そんなこんなで、視聴者も樹も、朝倉の“深すぎる引き出し”にまたひとつ震える夜となったのだった。

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