タトゥー
配信タイトル:《【期間限定】朝倉、背中に芸術を背負う【一週間で消えるタトゥー】》
開始時、カメラには樹ひとり。ちょっとソワソワしたような表情で、視聴者に向かって話しかける。
「えーっと、今日は朝倉が“どうしても見せたいものがある”って言ってて……まぁ正直、いつものノリかと思ってたんだけど……なんか、すげぇことになってるっぽい。まだ俺もちゃんと見てない」
コメント欄は期待と疑惑で盛り上がっていく。
《また新スキル獲得した?》《朝倉の“見せたい”は信用ならん》《今回もやべぇ予感しかしない》
そこへ、背中の大きく開いた黒のゆるいシャツを着た朝倉が登場。髪は高めに束ね、すでに「魅せる気まんまん」の雰囲気。
「え、まって、それどうした。背中……」
「美術部の友人にな。人の肌に絵を描いてみたくて、やってみたいって言われた」
コメント《は!?》《人肌にアート!?》《消えるやつ……だよね!?》
朝倉はうなずいて、少し照れたように笑う。
「“一週間で消えるインク”だ。もし失敗しても、すぐ消えるからって言われたが……結果的に大成功だった」
背中を向けてシャツを下ろし、タトゥーアートを披露する。そこには、黒豹と薔薇、そして淡く絡む唐草模様。繊細さと力強さの共存する、大胆な作品だった。
樹が思わずため息をもらす。
「……うわ、これ、すげぇな……。お前、完全にキャンバスじゃん」
「あいつ、描きながらずっと楽しそうだったよ。集中しすぎて、ご飯も水も忘れてた」
コメント欄が一気に湧き上がる。
《芸術は爆発》《背中に生きるアート》《これは記録残さないと損》
樹がスマホを向けて写真を撮りつつ尋ねる。
「これ、描かれてる最中くすぐったくなかった?」
「くすぐったかったな。笑って動いたら怒られた」
「そりゃ怒られるわ!」
そして、樹が思い出したように聞く。
「でもさ、完成して見て……どう思った?」
朝倉、静かに微笑んで答える。
「……写真で見せてもらったとき、あまりに良くて。あいつをその場で思いっきり抱きしめて、顔中にキスした」
「毎回思うけど、お前の愛情表現、重たいぞ」
コメント《でた朝倉式感謝》《顔中キスはいつもの》《尊敬→抱擁→キス、までがテンプレ》
「感謝を形にすると、こうなる」
「なんでそれを堂々と言えるんだよ……でもまぁ、分かるわ。俺もこれ背負ってるの見たら、惚れる」
コメント欄:
《樹、惚れてる定期》《惚れ直したな》《背中に惚れて、心に射抜かれた》
最後、朝倉がシャツを戻しながらポツリとつぶやく。
「描きたくなる気持ち、ちょっと分かった。俺も、あいつに何かを返したい」
「十分返してんだろ……でも、そういうとこ好きだわ」
コメント《両想い(美術部員含む)》《一週間で消えるにはもったいなすぎる》《芸術と愛情の共犯関係》




