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愛しいあなたと  作者: 飴とチョコレート
第二章 高校生編
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バイトを始めた

きっかけは、ほんのちょっとした会話だった。

樹の配信中、コメント欄で「朝倉くんってバイトとかしてるの?」と聞かれたとき、少し間を置いて、樹が苦笑いしながらこう答えた。


「んー、してるっちゃしてる。というか、最近始めたらしいよ。本人いないからあんまり詳しくは言えないけどね」


その「バイト」の正体が明かされたのは、数日後だった。

SNSに投稿された、スラッとしたスタイルの男性がスーツを着て立っている写真。顔が綺麗すぎて合成かと思ったが、服のタグを見るとちゃんと某ファッション誌の名前がある。


そして、モデル名には見覚えのある「朝倉」の文字。


《え、これってあの朝倉!?》《配信に出てくる朝倉くん!?》《顔出ししてるってこと!?てかモデル!?》


SNSは軽くざわついた。

が、すぐに「そういえば朝倉くんは樹のチャンネルにしか出てない」「自分のチャンネルは持ってない」「名前も“朝倉”で通してる」と話がまとまっていく。


それを受けて開かれた、樹の雑談配信。


「うん、まあバレてたね。朝倉、モデルやってるよ。名前はそのまんま“朝倉”って名乗ってるらしい。配信と同じ名前だからリスナーは気づくよな……」


コメント欄は案の定盛り上がる。


《本人出てなくても情報だけで盛り上がれるのすごい》《配信ではゆるいけど、モデルだとめちゃくちゃクール》《距離感バグる》

《でも高校生でモデルって大丈夫なの?》《チャンネル持ってないの偉いな…》


「本人も気にしてたよ、学生だしネットリテラシー的に“本名は出すな”ってな。だから朝倉って名前を貫いてる。チャンネル持たないのも、それが理由みたいだな」


そう、朝倉──透は、自分のプライベートを守ることに関しては徹底していた。

あくまで「モデル 朝倉」であり、「配信にたまに出る朝倉」であって、本名も学校も私生活も、配信に持ち込むつもりはなかった。


そのスタンスに、リスナーたちも好感を持ったようだった。


《ちゃんと距離を保ってるの好感持てる》《樹くんも朝倉くんも、境界ちゃんとしてるの偉い》《でもモデル業界でもバズりそう……》

《本名も出てないし、個人チャンネルもないし、これは理想の関係かもな》


その日の配信の最後、樹がふっと笑って言った。


「ま、モデルやってても、俺んとこに遊びに来るのは変わんないから。……本人、仕事終わりの“ごほうび”とか言って俺んち来て飯食ってくんの、ちょっと可愛いよな」


そんな言葉に、コメント欄はまた騒がしくなった。


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