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愛しいあなたと  作者: 飴とチョコレート
第二章 高校生編
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初デートの待ち合わせ

日曜日。晴天。

少し暑いくらいの陽気の中、駅前のロータリーで樹はそわそわと立っていた。

手元のスマホで時間を確認する。待ち合わせの時刻ぴったり。だけど、透はまだ来ない。


「……いや、あいつ絶対時間守るやつだし、もう来るはず……」


そう思った瞬間、カツン、カツン、と靴音が聞こえてきた。

振り返ると、そこに現れたのは――


「……透?」


透は、白いシャツに黒の細身のパンツという一見シンプルな格好だった。

けれど、そこに品の良い装飾が重なる。

左右の耳には揺れるイヤリングとイヤーカフ。首元には細い鎖のようなネックレスが光り、手元には黒と銀を基調とした指輪がいくつか光っていた。

そして、10センチはありそうなピンヒールで堂々と立つその姿は、まるでモデルのようだった。


目元はうっすらと赤みを帯びたラメで飾られ、睫毛が濃く長く、睨むでもなく見つめるでもない目線が、なぜかドキリとさせる。

唇は真紅。けれど派手になりすぎず、どこまでも品がある。


「待たせたか?」


透が静かに口を開いた。

その声は、少し低く、凛として、でもどこか柔らかい。


樹はしばらく言葉が出なかった。

なんだか、夢でも見てるようだった。


「……すげえ、綺麗すぎて……ちょっとびっくりした」


「そりゃありがとう。でも、今日はデートだからな。オシャレぐらい、するさ。」


ピンヒールのブーツは10cmをゆうに超えていそうだったが、その足取りはまるで裸足のように軽く、まったく不安定さを感じさせない。目元は赤く輝くアイシャドウが彩り、唇は真っ赤に塗られていて、化粧も完璧にキマっていた。


「透…すげぇ…」思わず見惚れた樹がそう呟くと、透は微笑みながら軽く片足を上げてI字バランスを見せる。


「ピンヒールでもバク転くらいはできるぞ。…見せないけどな。」


「いや、今やられても困るけど…てか、マジで運動神経どうなってんの…?」


「鍛えてるからな。あと好きな人とのデートだし、全力でオシャレした。似合ってるか?」


「……ああ、似合いすぎててちょっと俺が落ち着かねぇわ。」


そう言いながらも、樹は顔を真っ赤にして水族館のチケットを見せた。



「じゃあ、行こうか。楽しみにしてたんだろ?」


「……ああ、楽しみにしてた。」


ふたりは並んで歩き出す。

歩幅を合わせるように、透は少しゆっくり歩く。

その姿は、どこか誇らしげで――

そして、ずっとそばにいてほしいと、思わせるような存在感だった。






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