帝国に迫る刃
■ 魔導研究所局 ■
帝都に賊が侵入、かなり手ごわいと連絡が齎された。
局長アアクルラディルは三大貴族が2人も居るから大丈夫でしょうと続報を待つ。
数十分後。
侵入した賊が討ち取ったと言う報告では無く。
双方の・経済力の三大貴族が手柄を取られたくないと剣を交えてると続報が来た。
夕食時が近いのに、仲間割れ。
アアクルラディル「陛下は」
伝令「はい、安全な避難所に移動して夕食を召し上がっております」
伝令は職務に集中して、アアクルラディルの顔を出来るだけ見ない様に質問に答えて行く。
絶対に笑ってる。
よからぬことをするのは別にいいが、自分を巻き込まれるのは嫌だ。
伝令は速くこの場から逃げたいのを気付かれない様に、分かってる事を答えて行く。
伝令「では、私はこれで…」
アアクルラディル「待て」
ビクリッと強張る。
錆び付いてる訳でもないのにぎこちなく振り返る。
伝令「なんでしょうか…? 」
アアクルラディル「賊は城に侵入しそうですか♪? 」
正直に言えばいいのだが。
言えば絶対に碌でもない頼みごとが降り掛かる。
かと言って適当な事を言えば。
後でその事で碌でもない頼みごとが…。
伝令「(ゴクリ) た、多分侵入されるかと…」
後よりは早い方がいい。精神的にも肉体的にも。
アアクルラディル「そうですかそうですか、城に乗り込む♪ 」
アアクルラディルは淡々と作業してる部屋の助手達に人体実験一ケタ番号の出撃を準備させる。
伝令には城の周囲から兵を退けと命じた。
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そしてアルベルトの目から送られる映像を見てる現在。
アアクルラディル「魚人族♪ さあ、アルベルト♪ 存分に暴れなさい♪ 陛下も兵もその付近にはもう居ない」
散歩では不十分だった。だが、だが今回はアルベルトが人体実験体に成るきっかけを作った魚人。これはデータの最新がと興奮する。助手達は計測器の針や輝き具合を紙に忙しなく書き記す。
レオン君とアルベルトが動く度に城はどんどん崩れて行く。
帝都の住民も中心部から外側に避難。
中心部に居た者達は家を失い、逃げ遅れて肉親を失った。
住民達を帝都から退いた兵士達が護衛・保護する。
だが、その指示を出した上官達は主が死んだと気付いた。
城から時たま夜空に向けて光線が奔った。
案内力の放てるわけも、防げるわけも無い。
賊が討ち取られた後は、帝都に居なかった武力の三大貴族の部隊に組み込まれ、今後主として仕えなくてはならない。
冗談じゃないと言うのが4分の1。
真面な主に成って下さいと言うのが4分の1。
残りが…自分が次の三大貴族にと、片っ端から力を貸せば見返りをやると考える貴族達。
アルベルト「ミツゲタァ~、アノコノカタキィ~」
巨人こと人体実験体のアルベルトの呻り声とも取れる言葉を、魚人族の優秀な聴覚は正確に聞き取った。
レオン「仇? お前とは初めて会うと思うんだけど!? 」
アルベルトの姿は一度見れば忘れない自信がある。
それほど異様と言う訳ではないが。
此処まで敵意を向けられる相手は忘れられない。
アルベルトは関節を外し、腕の間合いを伸ばして振り切る。
当たれば大怪我、最悪身動きが出来ずに追撃を受けて詰む。
レオン君は何とか腕一本で直撃の威力を受け流す。
腕一本なら悪鬼を食べまくった分がまだ内に十分に蓄えているから、回復は難なく済む。
レオン(でも逃がしてくれないよな…)
何処までも追って行くぞと言う執念を感じる。
それもその筈。
鮫の魚人に幼馴染みを目の前で殺された。
あの時は弱かった。自分を押さえ付ける大人達よりも。
だが今は目の前の魚人より、身体もデカイ、力も、スキルも、現代会で全てをうわ待ってると言っても過言じゃない。
だが、それなのに憎い(鮫の)魚人族が潰せないのか。
スキルを発動して、足をもぎ取ろうとやけになる。
モニター越しに観戦、分析してるアアクルラディル達。
助手達は黙々と書類を掻き続け、過去の書類との変化を計算。
アアクルラディルはいけませんねいけませんねとアルベルトが戦いに厚くなっていることに落胆。
強制的に行動不能にして頭を冷やさせるか考える。
アアクルラディル「魚人の目の前で無防備は…不味いか」
飢えた獣の目前に餌を置く行為。
もし、実験体の肉を食べてパワーアップしたら、一桁番号の実験体が敗れる。
アアクルラディル「それも面白いですね」
新しい人体実験体の元が手に入る。
そう考えると、このまま敗れても別にいいか。
アアクルラディル「メギド部隊に伝令。人員を少し寄こせと伝えて下さい」
たまたま扉を警護してた護衛兵は「嫌だなぁ」と心の中で呟きながら命令に従う。
魔導研究所局で本格的に動く。
レオン君とアルベルトは鼬ごっこ。
帝都中心部はアルベルトの大技スキルで瓦礫と化す。
時刻は真夜中へと刻々と刻まれていく。
レオン「うおおおおおおお」
アルベルト「ハァァァアアアア」
皇帝陛下の避難所は大丈夫なのだろうか?
身の安全と、皇帝としての象徴たる城の破壊された責任を誰が負うのかの2つの意味で。
アルベルトの管理責任者アアクルラディルは言葉巧みにとぼけるだろう。
帝都に吉報を持ってきた三大貴族の2人は死亡。
部下達や派閥に属してた貴族も、死亡した2人に全部擦り付けるつもりだ。
皇帝の身に何かあれば、城の破壊だけでも死罪なのだ。
一族共々処刑される。
帝都は外は外で責任は攻めて来た賊だ。戦死した2人の三大貴族だ。魔導研究所局局長だ。次の三大貴族に私(我、俺、某)を謀る等と混沌化が加速する。
ブレーキ役が居ないのが最悪である。
周辺小国に喧嘩売ってる現状も忘れてる。
中央で起きた事は、数十分で通信用の機器や魔道具で帝国全土に通託されてる。
侵略国を見張ってる部隊や国境警備部隊は激しく取り乱し、敵国の優秀な情報収集部隊(間者、諜報員)に、帝国の頭が何やら困ってる状況を上司に伝え、上司が推測を幾つも考えて国王(総代、女王、族長)に伝える。
報告を聞いたそれぞれの反応は、「今なら領土を取り戻せる」「侵略される前に侵略だ」「国の防衛の為に、戦の準備を」と計らずともリーヴェンス帝国に戦を仕掛ける最悪の形になった。
因果応報。
戦を仕掛けて領土を拡大してきた帝国が、多国に同時に攻められ、手に入れた領土を奪われていく。
皇帝陛下は避難所の完全攻撃遮断を施された室内で種類仕事を終えて床に就いている。
明日の朝には賊の知らせを聞くだろうと、魔導研究所局局長と似た考えだった。




