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【剛腕戦士団】と狂乱レオン君? 


◇◆◇◆◇


数、連携、指揮官の適切な指揮で追い込まれていたのに。

突如帝国兵が「撤退だー♪ 」「撤退~♪ 」と叫び出す。

集中砲火で身を削りながら耐えていたのに、好転する状況。


レオン「っ? 何だ…如何したんだ? 」


反撃も出来ずに、ただただ耐え凌ぐだけしかしてない。

帝国兵の死体で防いだぐらい…寧ろ怒らせる様な行動しかとっていないのに、まさかの撤退行動。

攻撃では無く。

地面を盛り上げ、土を巻き上げての目暗まし。

どっからどう見ても、追ってこさせない為の行動。


レオン「…罠、か」


土壁や土煙を越えた処を、強力無比の一撃を叩き込む。

レオン君は動けなかった。

この場のもう一人、三眼人族の国王(死にたくが無い為に、重臣と騎士達にされた男)。

彼も返り血で顔の化粧、質のいい法衣が真っ赤か。

今だ助かったも分からず、俯いて笑っている。


国王「はは……王の地位なんて所詮お飾り♪ 武器を突き付けられたら…王も国民もみんな平等に無力だ…♪ 」


恐怖と言う感情が麻痺して、何やら悟りの境地に至りそうな、そうなら無い様なである。


方や疑問、方や心理の追求? 

その二人は振動を感じ出した。


レオン「地面が揺れてる…」


国王「ははひゃ♪? 」


撤退中の帝国兵が揺らしてるのか、レオン君は足元や周囲に気を配る。

国王は帝国兵が自分の命を奪うのかと、再び狂い笑う。


ガタガタと揺れ続ける地面。

土煙は晴れた。

土壁は揺れるも顕在。


レオン「撤退した踏み鳴らしにしては大きくなっていくような……」


耳を澄ませると。

確かに足音が聞こえる。

それも複数。


レオン「突撃でもするつもりか? いや、それにしては嬉しそうに撤退していた様な…うん?……」


近付いて来る気配が土壁とは反対方向。

土壁の向こう側も十分注意しながら振り返る。

土煙がこっちに迫ってきている。

土煙の発生場所をよく見ると。

黒鎧に身を包んだ集団・撤退して行った(か疑問の)帝国兵より明らかに多い数を捉えた。


レオン「何だあいつ等…この国の、軍隊か」


進路を変える気が無いのは明らか。

間違いなく狙いは自分だ。

帝国兵でなければいけるかもと、戦うか逃げるかを決めねばならなかった。


レオン「……手応えで判断するか」


一発で死ねば、幾ら軍隊とは言え生きてる人だ。

恐怖する。死にたくないと足が竦む。

その隙に逃げればいいかと、黒鎧の軍隊に意識を集中。

足元に力を入れて突撃。

運動エネルギーも加えられた拳なら、3、8人ぐらいはいけるんじゃないか? 

一度に殺せる人数が大程、敵は恐怖する。


レオン「くらいやぁがれ――――っぐはぁ!?!? 」


黒鎧「・・・・」


両者衝突。

レオン君が描いた結果にならず。

逆に驚愕して、空中に吹っ飛ばされながら状況を把握し直そうとした。

が、黒鎧の集団は見事に足を止め、自由落下するレオン君に各々の武器を突き立てる。


レオン「ッ!? 」


咄嗟に左腕を盾にして、致命傷を回避。


レオン「武器も鎧と同じなのかよ!? 」


武器を砕く、へし折ろうとしたが。

全くの無傷。

左腕に深々と刺さった。


黒鎧「・・・・」

黒鎧「・・・・」

黒鎧「・・・・」


黒鎧は長物武器を持つ者と場所を入れ替え始めた。

それを見たレオン君は何とかこの状況を抜け出そうと身体を揺らす。


黒鎧「・・・・」

レオン「く、ぐぞ…」


無事だった手足も突き刺さられる。

完全に身動きが封じられてしまった。

黒鎧達は無言。

優位に立つ前から今まで、無言で行動している。

指揮官が指示を出さずに、これほど見事に統制や連携が取れるのか? 

レオン君は動けない状況で、頭で黒鎧の軍隊を注意深く観察する。


黒鎧「・・・・」

黒鎧「・・・・」

黒鎧「・・・・」


静かすぎる。

幾らを周囲を見ても、聴いても、黒鎧が擦れる音だけ。

話し声や息遣いの音が一切、無いのだ。


レオン(こいつ等は人じゃないのか? )


モンスター・ゴーレム、リビングメイルの類かと。

地球の記憶の断片を当て嵌めた。


黒鎧「・・・・」


ゆっくりとレオン君を地面にギリギリ足が届くかの距離まで下げる。

そして処刑人なのか? レオン君の太く頑丈な首を落とせる手斧を持った黒鎧が近付いて来る。


手斧の刃を籠手で叩きながら、レオン君の首を落とせる位置に移る。


レオン「それで俺の首を落とそうて? 喋ってくれないと何を伝えたいのか分からないんだけど? 」

黒鎧「・・・・」


返事無し。

代わりに手斧を空高く両手で振り上げる。


レオン「……それが返事? 」

黒鎧「・・・・」


振り下ろされれば、手足に刺さってる武器と同じ硬さなら、間違いなく首は落ちて死ぬ。

両親に美味しい料理・調理工夫でこんなに美味しくなるんだよ♪? が、出来なくなる。


レオン「ふざ……ふざけんなぁがあぁぁあ゛あ゛あ゛あ゛あ」

黒鎧「・・・・」


血の狂乱。

意識を手放し、完全に暴れる、破壊する衝動に意識を手放した。

首を切り落とそうとした手斧が、右腕に・・・に阻まれて狙いがズレた。

ガシャンガシャンと右腕を突き刺していた者達が引っ張られる・・・・・・

レオン君の突撃の威力が乗った拳でも“ビクともしなかった黒鎧がだ”


黒鎧「・・・・」


黒鎧達は驚く素振りも見せず。

崩れた体制を戻しつつ、レオン君の動きを再び封じようとした。


レオン「あ゛あ゛あ゛あ゛あ」


血の狂乱で完全に体の安全装置が停止し、パワーアップしたレオン君に薙ぎ倒される。

吹っ飛ばされた黒鎧達を躱して接近。

組伏せ様として、吹っ飛ばされる。

長物で串刺しにとして、持ち上げられて黒鎧に、叩き付けられる。

メキリと嫌な音が鳴った・響いた。


意識が無い完全な破壊の権化は、黒鎧同士なら破壊も出来ると哂った。


ドゴン、ベキ、ドスン、ベキと黒鎧達を砕いて行く。

中身が空っぽと分かる。


レオン「あ゛あ゛あ゛あ゛あ」


硬い殻(黒鎧)を割って、中のみを喰おうとした。

だが、中身は空っぽと言う事実。

血の狂乱に憤怒の感情が足され、更にパワーアップ。

黒鎧達を一体も逃がしてなるものかと、傷だらけで治癒能力が間に合ってない身体で襲い掛かる。


黒鎧「・・・・」

黒鎧「・・・・」


黒鎧達は【スキルスイッチ】の【憑依】で動かされてる人形。

タングステン(非常に硬く重い金属)と言う素材をベースに造られている。

硬さは強さだ。

【剛腕戦士団】の格言。

派遣任務を受けた時、無敗にして無敵。

誰であろうと、硬さと重さの攻撃で蹂躙してきた。

俺は、私にはと言う輩を、踏み躙ってやったことも数えきれない。

そんな戦歴を持つ【剛腕戦士団】。

その黒鎧達を動かす団員(本人)達が乗る輸送馬車は、人形の黒鎧とは違い大合唱。

悲鳴、怒声が織り成す演奏会を、各輸送馬車の上で歌い続ける。


団員「何すか団長!? あんなのが居るなんて聞いてないすっよ!? 」

団員「お、おれの○○(黒鎧)が―――!!? ウガァ―――!! 誰でもいいから! おれの○○(黒鎧)の仇をおおおおお」


団長は一先ず収拾よりも、被害状況を副官的団員達数名に尋ねる。

それによると。

100体近く破壊、戦闘継続が不可能の損傷を受けたと聞かされる。


団長「ぐぬぬ、まだ100(体)だ。まだ、完全な敗北じゃない」


防御陣形をと命じる。

敗北などあって好い筈が無い。

黒鎧は領地に戻れば補充がきく。

今は手負いの獲物を、確実に仕留める。

2万近くまだ、黒鎧は顕在。


団長「面で踏み潰す! “戦車の舞踏会”だ! 」


8の字を描く様に。

レオン君にガチガチに両腕を絡んだ前衛、中衛は長物を前衛の肩に載せて構え、後衛は中衛の背中を押し出しながら駆ける。


前衛は7、8人。

中衛と後衛は4、6人。

その小隊単位が、数千。

獲物であるレオン君に、360度から不規則に駆け抜ける。


レオン「あ゛あ゛ぁお゛お゛お」

黒鎧「・・・・」

黒鎧「・・・・」

黒鎧「・・・・」


一つの小隊に構っている暇も無く。

断続的に突撃のループに襲われる。

最初の小隊が半数破壊された後は。

正に戦車の舞踏会に相応しい戦術である。


レオン君を中心に、終わりの見えない突撃が繰り広げられる。

食べ物を摂取していないレオン君の回復力には限りがある。

このまま押し切れば、【剛腕戦士団】の勝利に終わりそうだが。

【スキルスイッチ】のエネルギー切れも怪しい。

戦車の舞踏会は切り札。

非常時はエネルギー量が増える。

補充の電池(魔石を加工した物)が、黒鎧を破壊されて暇になった者達の手を借りてどんどん消費していく。


団長「しねぇええええええ。ばけものおおおおおおお」



レオン「ぐあ。ぐぅぅ。があああ」


この終わりなき突撃を回避し様とするも。

黒鎧の小隊単位は速過ぎた。

黒鎧は下半身がすり減るも構わず、駆け抜け続ける。

無茶が祟り、間の何体かが突然転ぶ。

後続の小隊は何とか踏み潰して速度を維持するも。

次の後続は、一体が足を取られてドミノ倒してバタン。


団長「流れを止めるなあああああ」


僅かな隙。

レオン君は攻撃が遅れた事を本能で好機と捉え。

駆け出す。

今突撃を噛ました小隊を追う。


レオン「ぎゃぎゃっ! ごぎゃあ゛あ゛あ」


団員「げぇえええ。追い付かれるううう」

団員「どっち逃げればいいんだ。こ、こちか! 」

団員「おいなに隊列を解こうとしやがる!? 」


小隊を成す団員達はパニック状態。

近くで操作していた団員達にも伝播し、戦車の舞踏会は急激に崩れ出した。

在る者は保険と考え、輸送馬車に護衛として戻そうと。

在る者は友軍に激突。


団長「落ち着け―――!? 負けてない!! 俺達に負けは今まで無かった!! 今の状況も、必ず勝てる!! 勝利できるんだ!! 自ら勝利を捨ててもいいのか!? 言い分けは無い!! 断じて無い!! 」


団長の必至の鼓舞も虚しく。

団員達に聞く耳は無かった。

死にたくないと喚き散らし、仇を取れだと勝手に指示を出す。

輸送馬車を操作する団員は予定コースを逸れ出す。

後続は逆の方にコースを変える。


悪夢である。

冷静に対処すれば、いや、し続けてたらと。

過程の結果を頭を振って消し去り。

団長は苦々しくも、口にする。


敗北だと。


団長「領地に戻る! コースを変えろ! 」


輸送馬車を操作する団員に指示を飛ばす。

一度や二度ではコースを変えないかと。

首を絞めながら命令する。

さっさと帰還するぞと。

そんな彼等【剛腕戦士団】を逃がすかと、団員達が操作する黒鎧を追い駆けて破壊する。

この近くには国王の生まれた町がある。

何体かがそっちに逃走。

レオン君もそっちに向かう。


国王「・・・・」


小高い丘の上で戦況を傍観していたが。

黒鎧と帝国兵を力の暴力で倒してきた化け物が町に向かっていると気付く。


国王「そっちには妻がー!? ま、待って! そっちに行かないで―――!? 」


必至に叫ぶが聞いてくれない。

聞こえてもしない。

現国王と言われ、こんな戦場に連れて来られたから。

重臣の言葉を信じたい。

町には避難勧告はしました。如何か安心してこの場に居て下さい。


国王「へそくりでも何でもいいから使って…逃げ延びてくれ…」


傍観してる場合じゃない。

自分が死ぬかもと言う恐怖は、当に麻痺している。

黒鎧と化け物の速度に追い付けなくとも、町に駆け出す。

体力は在り余っているのだから。


◇◆◇◆◇


町は近くまで侵略して来た隣国の軍隊の情報を得ていた。

だが、重臣と騎士達の説明により、昨日と変わらない日常生活を送っていた。

国王は完全に騙されていたのだ。


主婦「あら? なにかしら? 」


主婦「どうかなさったの? 」


楽しい会話を中断したのは、外で畑仕事をしていた人達の叫び声。


農夫「敵だー! 隣国の軍隊がこっちに来てる! 逃げろー! 」


一瞬、誰もが理解できなかった。

重臣と騎士達は、この町の役所から現国王が即位された。

国王様と重臣が交渉に向かった。

この町に隣国の軍隊が来るわけがない。

もし来たのなら、町で友好的な接待、歓迎会でも開くのではないか。

ともあれ、自分達庶民が騒いだところで関係の無い事。

関係無い…事、だ? 


黒鎧「・・・・」

黒鎧「・・・・」

レオン「があ゛あ゛。ぐわあ゛あ゛」


農夫の背後から、もの凄い速度で駆けてくる。

隣国の兵士の方と、噂で聞く魚人…だと思われるのが、前を必死に駆ける農夫を踏み潰す。吹き飛ばす。

その光景を見て、先程から農夫が叫んでいた言葉、その意味に頭が現状がどういう状況か理解する。


主婦「きゃああああ」

主婦「子供達は何処? 」


町は大混乱。

逃げ惑う人々が他者を突き飛ばしたり、引っ張ったりで滅茶苦茶。

戦える者は国王様に付いて行ってしまった。

何故? 隣国にある程度の数の兵力が居ないと、交渉が上手くいかないと説明された。

実際には連れてかれた者達には、隣国は数だけの弱兵。

諸君の力だで、侵略して来た隣国に思い知らせてやろう♪! 

重臣の見事な扇動術で、生贄にされた。

しかも交渉で助かるのは、重臣と騎士達だけだと言う酷い事実。

まあ、レオン君が乱入してそれは失敗に終わった。

町に逃げた騎士達が何人かいたが。

町が見えて来て思ったのだ。

重臣様や国王に祭り上げた男も無しに戻って大丈夫なのかと。

装備を脱ぎ捨て、マントに土で貧しい者が身に付ける襤褸切れに見える様に工夫し、裏通りで重臣様が戻ってくるまで身を潜めていた。


騎士「隣国の軍隊…(小声)」

騎士「どうする? 俺達は如何すればいいんだ? (小声)」


表通りの阿鼻叫喚を聞き。

潜んでいて大丈夫かと不安に駆られる。

装備は全部捨ててしまった。

体術で如何にかできるとか、楽観視などありえない。

かといって、今の姿で命乞いをしても、物乞いか貧困者と殺される。


騎士「奴等が通り過ぎた後に逃げる」


それしかない。

立て籠もって居たら、町が包囲される。


騎士「掃討戦を始めたら、鼠一匹逃げられなくなる」


逃げるタイミングを計る為、表通りの声に意識を集中する。


レオン「があ゛あ゛あ゛」


怪我を治せない程の消耗。

黒鎧は喰える部分が無い。

何時の間にか町の住民に狙いが変わっていたレオン君。

黒鎧の操作をしてた団員達は、今の内にと町の反対側の出入口に向かう。

進路上の障害物(人、馬車、屋台)は蹴散らして。


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