1個連隊と三大貴族の派遣兵団
◆ 1個連隊 ◆
数キロ地点ごとに、周囲を確認する為の櫓を建てて任務を遂行中。
小隊長「総指揮官」
総指揮官「何か見つけたか」
小隊長「【千里眼】で調べさせたところ、獣しか、発見できませんでした…」
櫓を建てて周囲を確認させると、決まってこの会話のやり取り。
北部の(三眼人族の)国で、魚人と逃げた宝石人の女を始末して一ヶ月以上、他に報告するような功績が無い。
このまま退き返れば、下剋上(昇級)は当然無い。
遠征した費用を考えると、とてもとても上層部の決定が優しいとは思えない。
必ず費用を功績から引いた金額を要求される。
総指揮官「…なんとしてでも。宝石人を捜すんだ」
小隊長「ハッ! 部下に限界まで【千里眼】を使わせます」
敬礼して、櫓の部下に命令しに行く小隊長の後姿を見ていると。
中隊長が慌てた様子で駆け寄って来た。
総指揮官「如何した? 」
嫌な予感がする。
中隊長「帝都の通信が出来なくなりました。機器の故障ではありません。帝都が我々との通信を切ったのです」
帝都には専用チャンネルで通信をやり取り。
まあ、報告は定時連絡。
帝都からは、進展は? だけである。
総指揮官「て、帝都は我々を…」
“切り捨てた”
何故? そんなの決まっている。
総指揮官「直ぐに身を隠せそうな場所で、防衛拠点を敷くんだ」
中隊長「は、はい」
何故そんな命令を出されたのか一瞬判らなかった訳じゃないが。
総指揮官の剣幕に驚いて反応できなかった。
中隊長「小隊長! 直ぐに移動だーーー! 小隊長ーーー! 直ぐに荷物を纏めろーーー! 」
休憩を取っていた下士官達は、中隊長の指示に嫌な予感をしながら身支度を整え、小隊を組む。
総指揮官「うすうす気づいてると思うが。帝都は我々を、スーハー…切り捨てた」
深呼吸して大事な事を伝えた。
女下士官「ひぃぃ、やっぱりアレ(レオン君たちを爆殺した件)から進展が無いかよおおお」
下士官「切り捨てって、何ですか!? 俺達は殺されるんですか!? 」
わーわー、ぎゃーぎゃーと整列した下士官達が騒ぎ出す。
総指揮官はそれらを取り合わず。
早急に帝国から離れる為、西をコンパスで確認し、行軍を命じる。
◆ ◆ ◆
1個連隊の処刑を命じられた【剛腕戦士団】。
兵団名に在る通り、全ての団員が剛力。
加入すると、ある程度動ける程の全身鎧を着けさせられ、毎日それを着て過ごす事になる。
入浴時だけ、全身鎧は脱ぐ以外地獄である。
その地獄の生活、筋トレをすることで。
剛力が身に付くのだが。
正式に剛力持ちは。
更に重い全身鎧での地獄が与えられる。
年々脱落者を出し続けるが。
給料や領地内での待遇が好いので、どっこいどっこい。
【剛腕戦士団】の遠征用の装備は。
タングステンと言う、とても重くて硬い全身鎧、レアメタルと金を混ぜた合金鎧、タワーシールド、大剣、バルディッシュ、豪弓。
兎に角装備が重い。
走れない事も無いが。
体力が30分続けばいいほどである。
馬車では、重すぎで軍馬が牽けず。
魔物や魔獣は調教や餌にコストが掛かり過ぎて現実では望めず。
遠征は今まで領地内の不穏分子の制圧。
魔導研究所がその問題を、何と解決してくれた。
【スキルスイッチ】のスキルの内の1つ、【憑依】によって。
全身鎧の装着者を、鎧に憑依させ。
鎧を先行させる。
すると馬車で装着者は運搬が可能。
そして、中身の無い全身鎧が猛スピードで地面を凹ませながら1個連隊の足取りを追い駆ける。
【憑依】は別に無機物だけではない。
有機物・生き物でも問題なく乗り移れる。
二体の鎧に動かない鎧を運ばせ。
鳥に憑依して、捜索と道案内。
団長「櫓が目印だ。その建てられてる方角に獲物が居る。お前等、抜かるんじゃねえぞ! 」
団員『任せて下さい!!! 』
◆ ◆ ◆
円卓会議で栗鼠人族の国を落とした大貴族。
三大貴族の中で人口が多い。
故に最適な人材を派遣できる。
大貴族「今どの辺りですか、な♪ 」
通信具〈三眼人族の国に侵攻するところです〉
その知らせに大変満足。
最後の大貴族は、まだ国境付近に到着してないと情報を得ている。
生き残って人生を楽しんでる獲物を狩り、皇帝陛下に覚えをよく。
大貴族「私の・私達の繁栄の為に、頑張りたまえよ♪ 」
通信具〈はい、必ずや主の御期待に応えて見せます〉
◆
部隊長「…ッチ」
部下「通信は何だったん…あー…ご苦労様です、隊長」
通信具の魔力が消えたから近づくと。
不機嫌な部隊長。
尋ねるまでも無く通信内容を察する。
部隊長「国境を見張ってる人数は」
部下「大体2、30人ってところです。俺等の方が人数も実践経験も上ですし。そうそう敗れる事は無いと思います」
部隊長「そうか。よし、行くか」
部下「はい」
彼等の装備は。
独自のデザインで統一感無し。
軽装備も居れば、重装備も居る。
騎乗するのも、軍馬から多脚生物と豊富な種類。
三眼人「うん……何か来るぞ」
三眼人「フーー(警笛)」
ピーーー!! ピーーー!!
国境警備の兵と交戦。
体感では何時間だの殺し合い。
部隊長「何人やられた」
部下(女)「…9人。軽傷が2人」
部隊長「接近戦は複数と打ち合わせた筈なのに、莫迦が! 装備は使える以外埋めろ。死体はそのままでいい」
ゾンビやスケルトンになるには、魔力や時間が足りない。
他の大貴族に後れを取る訳にもいかず。
速やかに目的の標的を捜し出し、殺さないといけない。
斥候に足が速い者達に、手頃な者を何人か拷問する様にと走らせる。
重装備の遅い者達と共に、部隊長は後を追う。
◆ ◆ ◆
キレると怖いタイプの大貴族。
なんと地上を行くのではなく。
飛行船で、空からレオン君とシュンナを殺しに向かう。
艦長「ガスの充填! 配管チェック! 問題ないか! 」
副館長「ガスの充填、完了。配管チェック、完了。出港準備できました」
艦長「よろしぃぃ。【シルフィード】浮上! 」
副館長「っは。錨を上げろーーー! 飛行戦艦の出向だーーー! 」
爆撃用の木箱、投擲用の大鎗。
地上に降下する2個大隊、80人。
残りは【シルフィード】の操縦、点検、護衛、42人。
122人を乗せた飛行戦艦は、国境警備隊を無視して侵入。
双眼鏡や望遠鏡で、帝国兵が逃がした敵を捜す。
艦長「風向きは向かい風か……」
副館長「速度を上げられますか? 」
艦長「いや、このままの速度を維持せよ。我々は名目上は逃走してる2名の抹殺だが。あの御方の意図は、この国の滅亡が御望みだ。主要都市に向けたままのコースで良い」
副館長「了解しました」
艦内に艦長の意図を伝え、爆撃準備をさせ始める。
三眼人族の国が如何に広かろうが、接近戦が強かろうが。
空からの一方攻撃で弱らせ、降下部隊で制圧。
大きい都市、街を制圧すれば混乱は大きい。
反撃する頃には空の上。
艦長「我々が戦果を独占できる」
副館長(艦長は機嫌がいい。今日の飛行も楽に片付くな)
【シルフィード】は空を飛行する。
邪魔するモノは何も無い。




