血の狂乱
靭のマジョルカさん家
鮫のメルゲンさんは無事に餌を3つ手に入れ。
途中血の匂いで寄ってきたご近所さん達にこれはダメと言い。
何とか餌の奪い合いを避けられた。
マジョルカさん家に着くと。
鯨のラプーン君、鰊のジーラス君が出迎えた。
メルゲン「おや、君たちがレオンの面倒見てくれたのか♪ ありがとう♪ 」
ラプーン「どんな子か気になっただけですから、全然かまわないよ♪ 」
ジーラス「おはようございます、メルゲンさん」
「・・ピィ」(…餌って、人の死体)
メルゲンさんが掴んでいた餌なる物が。
女の子の死体、皮鎧を着た男性(村長)の死体だと知って。
再びこれは悪夢だコール。
そんなレオン君のピィピィの呟きを敏感に感じ取ったメルゲンさんは。
新鮮な餌をレオン君の口元に近づけます。
メルゲン「さ、しっかり食べてパパみたいに大きくなろうな♪♪ 」
「…ピィ、ピィィイ」(…ちょ、人の死体なんですけど!? )
レオン君の心情を知らずに。
ラプーン君とジーラス君はレオン君の面倒を見たからと。
メルゲンさんに餌を少し食べていいか尋ねて。
OKを貰った瞬間。
ガッブ、グチャッと男性の下半身に喰い付いた。
メルゲン「レオンも2人に負けずに食べなさい♪ 」
「ピィィ」(無理だ!? 人の心を持っている俺が…人を食べるなんて……)
嫌だイヤだと心の中で叫んでいたレオン君に突如異変が起きた。
血の臭いで。
鮫や鯱の魚人が陥る“血の狂乱”。
発動すると血肉を求めて一心不乱に普段の何倍も身体能力が向上する。
一種のバーサーク。
ラプーン「うおぉ?! すげぇぇー…」
ジーラス「あわわわ……ラプーン君もすごいよ」
レオン君の食いっぷりに見入るラプーン君。
ジーラス君は負けていませんよとフォローする。
レオン君の食事はあっと言う間に終わった。
けど、血の狂乱がまだ治まらない。
このままでは折角お友達になってくれるラプーン君とジーラス君が襲われてしまう。
メルゲンさんは家に戻るよとレオン君に噛み付けれられながらも手で包み。
メルゲン「マジョルカさんにありがとうと伝えておいてくれ♪ 」
「ピィー! ピィー! 」(肉ぅぅぅ、餌ぁぁぁ)
ラプーン「任せてくれ♪ 」
ジーラス「レオン、君、またね♪ 」
ジーラス君はレオン君にも逆らわないようにしようかなと。
心のメモ帳に記入した。
ラプーン君はレオン君の喰いっぷりに負けないぞと。
父親であるディディさんに朝飯の残りはと家に泳いでいく。
ジーラス「何処行くの? え、家に戻って朝飯の残りを食べるのよ? 今お腹に餌を入れたじゃない」
ラプーン「バカ! あれだけじゃ直ぐにレオンに(身長が)追いつけられるだろうが。俺はこの故郷で一番でかくなる魚人(男)だ! 餌をたくさん食べて。大人達と同じ体になるんだ♪ そして俺とお前で狩りをしてもっと、も~っと餌をたくさん食べるんだ♪♪ 」
父親が一番大きくない敵討ち。
ラプーン君は本気で実現しようとしている。
ジーラス君は言っても聞かないよねと。
ラプーン君の語った夢物語に最後まで付き合いのだった。
ラプーン「お前も俺ん家で食え♪ 」
ジーラス「う、うん。ごちそうになるよ。(ぼくのお腹…破裂しないよね? )」
◇◆◇
メルゲンさんとレオン君はルチェルさんが居る家に戻ってきた。
ルチェルさんは起きていた。
ルチェル「おかえりなさい、あなた♪ 」
メルゲン「ただいまルチェル♪ 」
「ピィー! ピィー! 」(餌をぉぉぉ、食べるぅぅぅ)
レオン君の様子に気付いたルチェルさん。
ルチェル「血の狂乱、ね」
メルゲン「やはり私たちの子だよな♪♪ まだまだ甘噛み程度の噛み付きだけどね、これからだよ~♪♪ 」
レオン君に指や掌を齧られても全然平気なメルゲンさん。
餌をまた取りに行ってくるよとルチェルさんにレオン君を手渡す。
ルチェル「餌はもうちょっと待ってね、レオン♪ 代わりにわたしの汁で我慢して、ね♪! つ、つよいはレオン♡♪ 」
メルゲン「はっはは♪ 将来が頼もしいな♪♪ じゃ、(狩りに)行ってくるよ♪ 」
レオン君の将来が楽しみだと。
メルゲンさんは狩りに出かけた。
朝から眠るまで。
せっせと餌を狩るメルゲンさん。
(レオン君の面倒を見守りながら)貝やお化けサンゴ礁を集めるルチェルさん。
そんな2人の両親との生活をするレオン君は。
「悪夢じゃないんだ」と朝目覚めて思うこと数回。
ついに自分は魚人族で第2の魚生(人生)を送ってやると決意し。
言葉が喋れる様になって。
メルゲンさんは父さん。
ルチェルさんは母さん。
と、呼ぶ様になった。
レオン君、1歳と数か月。




