人族に知らず内に宣戦布告をしたメルゲンさん
鯨のラプーン君と鰊のジーラス君の登場で。
レオン君がこの世界が悪夢じゃないのか?
職場のあの白い光りは爆発だったんじゃ…俺、魚人に生まれ変わったのと自分自身に起きている状況をようやく理解している頃。
鮫のメルゲンさんは靭のマジョルカさんの示した方角をひたすら泳いでいた。
メルゲン「早く餌を狩って戻りたいのに……餌がいないな……」
朝っぱらから海底に頭突きで震度4強の揺れを起こしたんですよメルゲンさん。
普通は津波が来ると漁師の方々(餌)は警戒します。
漁船・小舟も無料じゃないんです。
小舟に使える木は潮風で全然近くに生えておらず。
蔓草を乾燥させたり、獣の皮を鞣したりで網を創る技術も無い漁村等は。
みんなこの地を治める貴族様が経営している大商会に借金して借りている。
水揚げの8割がレンタル料に取られる生活を余儀なくされている。
大昔はレンタル料も1、2割で済んでいたのだが。
メルゲンさんを始めとしていいのか?
鮫の魚人達が小魚や貝を大量に消費している所為で。
他の魚人達が漁師達を餌にとすることが増えた影響で。
漁船が次々に沈没、破損でレンタル料が1週間今の値段・水揚げの8割になったと言う訳だ。
さて、漁師達の事情を説明していると。
メルゲンさんがその漁師達が住んで居る1つの漁村を発見した。
メルゲン「浅瀬なんて何年ぶりだろうか? まあ、そんなことより……」
メルゲンさんの視線の先では。
漁師達が津波は無いかと相談している姿と。
浜辺で砂遊びをしている子供達が居た。
メルゲンさんはデカイ巨体を海底に擦り付けながら泳ぎ。
餌達に出来るだけ気付かれない様に接近。
さすが鮫のメルゲンさん。
300メートルまで近づいても。
誰も気づかない。
女の子「もっとお砂を足そうよ♪? 」
男の子「うん♪ かあさんからバケツを借りてくるよ♪ 」
浜辺の餌までもう少しと。
メルゲンさんは餌が1つ(人)になったのを見図り。
バレても餌は1つ手に入るなと勢いよく水飛沫を上げながら泳いだ。
女の子「? 誰か泳いでいるの…? 」
地震の後は津波が発生する危険がある為。
子供達には海で泳ぐのを少しの間だけ禁止している。
誰が勝手に泳いでいるのか?
私も泳ぎたいと女の子が海に近づいて。
水飛沫を上げながら泳いで来る誰かに言おうとして。
女の子「ぁ…ぁ……! 」
メルゲン「~♪ 餌、1つ♪ 」
ザパーーンっと大量の海水を持ちが手現れた化け物に吃驚して、怖くて体が動けなくなった女の子。
漁師A「ぎょ! 魚人が出たぞーーー!? 」
漁師B「おい!? あんなところに女の子が1人だぞ! 誰だあの子の親は!? 」
一人で遊ばせて置くとはと怒鳴り声が至る所で上がった。
怒鳴っている者達は口だけで。
女の子を助ける気が微塵も感じられない。
唯一、一緒に遊んでいた男の子が助けに行こうとしたが。
母親に頬をビンタされ、説教されながら抱き締められた。
母親「あの子はもう助からないわ。あんたはあの子の分まで生きんのよ」
男の子「放してよかあさん!? あの子を一人にしたのはボクなんだ!? ボクが助けて・」
再び頬にビンタを貰う男の子。
そんなこんな騒いでいるうちに。
メルゲンさんは餌(女の子)が逃げられたり、暴れられたりされるのを防ぐため。
右手の平手打ちで息の根を止める。
グギリィと女の子の首や手足があらん方向に折れた。
骨が突き出ているところは血が出てきた。
メルゲン「む。水中の時より力が入っていたか? このままでは他の奴等(魚人)に襲われかねない……」
最近餌が少なくなってきている。
まあ、魚人達が大喰らいなのが原因なんですけどね…。
本人達に、自覚無し。
男の子「あぁぁあああ!! かあさんの所為だぁぁ! 」
母親「いいわ。わたしを恨みなさい。あなたが生きてくれれば…かあさんは…ぐす……」
漁師A「魚人めーー! ついに陸地も我が物顔かぁぁ!? 」
漁師B「き、貴族様に皆殺しに合うからな!? 覚えておけ! おけ……ヒィィ」
メルゲンさんが女の子を殺害して動きを止めているうちに。
漁師達は散々威勢のいいことを言って逃げた。
村長「ば、ばけものが! この村は私が守るぅぅぅ」
今まで戦準備をしていたようで。
この漁村内をまとめていた村長が銛を肩に担いでメルゲンさんに突っ込んだ。
メルゲン「うん? 生きのいい餌だな♪ 」
村長「っは! ぎゃ・」
巨体で無防備なメルゲンさんに銛を刺したが。
分厚い皮膚はまるで岩石。
村長は渾身の一突きが利かないことに動揺してしまい。
メルゲンさんの右足の蹴りをもろに受けてしまった。
手加減して蹴ったとメルゲンさんは言いながら。
見事に上下2つに引き裂いてしまった餌(村長)を見て困り果てる。
できるだけ綺麗に息の根を止めたかったと言いながら。
餌を3つ左手でしっかり握り。
レオン君が待っているマジョルカさん家に向かうため。
海に潜る。
あくまーーー!? 人間の敵ーーー!?
メルゲンさんの背中に叫ぶ漁村の人々。
蟹のジイー様が恐れていたやらかしをしてしまったとは露知らず。
メルゲンさんは海溝が在る沖に向けて泳いでいくのだった。




