ダンジョン編-40
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スタンピードの第二波が発生する十五分前になった。
最終的に行動を共にすることになったのは、エレナ王女、エレナ王女付きの侍女フィッタ、奇跡の巫女ユーイン、オーバンという名の近衛騎士、神々の黄昏団の団長フィオレ、副団長オナシス、そして団員だと思われるもう一人(デルトナと言う名前だ)、だった。
グランフェディックは、対ガーディアン戦の戦力の要として残されることに納得した。
一行が出発する際、見送ったのはマクダフ王子とその護衛の大隊長デュラン、そしてグランフェディックのみである。出発直前まで、どこか不安そうな顔で「あー、待て待て。お前が帰ってこず、グランフェディックが斃れた場合はどうすればいい? あ、あと、万が一地魔術の高位魔術を使える者が現れたときの運用法も訊いておきたい」とエレナ王女にあらゆる状況への対応法を問いかけ続けたマクダフ王子を振り払うようにして、七名は出発した。
この別働隊の存在は、基本的に内密だった。
エレナ王女とユーインがいなくなる、というのはそれくらい士気に関わる。
見送りも声援もほとんどない決死行。
それでも、彼らは人類の未来のために出発した。
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グランフェディックはエレナ王女たちを見送ったあと、マクダフ王子と別れ、騎士たちのもとに戻った。
スタンピード第二波に備えるためである。
時間が来ると、人型の首の部分に当たるダンジョンの放出口がさらに大きく開いた。
そこから次々と巨大なガーディアンが落ちてくる。
その数十二体。前より大きいガーディアンも二体ほど含まれている。
恐ろしいほどの緊張が騎士達の間に満ちていた。
グランフェディックは自分のMPを確認した。マックスのおよそ三分の一程度だろうか。
唇を噛む。
ヤジットがいれば、ヤジットの作る結界でMPの回復は劇的に早くなる(当然、ヤジットのMPは減るが)。
だが無いものは無いのだ。
逆に言えばヤジットさえ戻ってくれば、対抗できる。
ならば、エレナ王女がヤジットを連れ戻してくるまで耐えるだけだ。
グランフェディックは聖剣を抜いた。魔術によって鍛えられた聖剣は独特の光を帯びている。
「皆の者、行こう!! 人類の未来のために!!」
「おうっ!!」
地響きのような鯨波が上がった。
グランフェディックは眼を細め遥か遠くの首のない巨人を見た。
すでにガーディアンは放出しきったのだろう。
閉じかかっている薄い膜の付近に蠢くアリのような人影を見た。その数七人分。遠すぎて誰が誰かまでは判別はできないが、
(がんばってください……! 人類を救ってください……!!)
そう祈ると、グランフェディックは聖剣を構え、走り出した。
読んでいただいてありがとうございます。次回更新は14日(金)の予定です。




