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デルトナの召喚した魔甲がバオガイオーであるという宣言がすごい勢いで浸透していく。
既に壁際に待避した人々の間にも驚愕の感情が共有されていき、「バオガイオーだと……」というつぶやきが沸き起こり、それを代表してグランフェディックが
「ば、ばかな……初代勇者の三種の神器の一つ鋼鉄巨人バオガイオーはガーディン聖王国崩壊の際に失われたはず!?」
「さて……聖王国の王子が聖王国崩壊の際、勇者にまつわる秘宝をこの世界の各地に封印したという話を聞いたことがあります。私が見つけたのはまさしくそれでしょう」
「それではこれがこれが鋼鉄巨人バオガイオーなのか。だとすると……」
「ええ。勇者自らが作り上げた神の兵器。あらゆる魔甲の頂点に達し、竜さえ屠った超異能。三つある勇者シリーズの最高位。その圧倒的な力を見せて、我が契約を完遂させましょう」
バオガイオーについて知識がある者は全員恐怖に顔を歪ませた。
一方、先ほどからバオガイオーを見ながらどこか見覚えがあったので首をひねっていた俺は、ようやく気づき声を上げた。
「あ、これあれだ。プロトタイプだ!!」
デルトナ含め、全員が俺の方を見た。
「え?」
俺は頷きながら、黒い魔甲を見上げる。
思い出せてよかった。歯に挟まった異物が取れたような気持ちよさだ。
「そうだよ。うん。村にあった雑記帳に書いてあった奴だ。それにガイオにもどこか似てるし……色は全然違うけど」
「貴様……何を言っているのです?」
「え、だって、村に転がってたのが完成形だろ? あっちの方が大きいし、ランクも高かったよ?」
「……ふざけるのもいい加減にしなさい」
「困ったな。じゃあ呼ぶ?」
「……え?」
「ガイオに直接話をさせるよ」
俺は結界魔術を発動し、そこから召喚用のゲートを開いた。
よほど暇だったのだろう。ガイオはすぐに現れた。
白と赤と青と黄色で塗り分けられた派手な魔甲である。ご先祖様が「主人公機はこうでなきゃ」と言ったらしいが正直どうかと思う。サイズは黒い魔甲より一回り大きく全高十メートルほど。すらっとしていてあまりゴテゴテしていない。俺は正直黒い方がかっこいいと思う。こっちは何かこう兵器と言うより飾りもの感が強い気がするからだ。
だが飾りもの扱いされるとガイオはすぐに怒る。本人としては役に立つ魔甲でありたいらしい。
黒い魔甲とガイオ、一見似たところはないが、作ったのは同じく初代勇者でどこか似通っているので俺は見覚えがある気がしていたのだろう。
ガイオはゲートからあっさりと現れ、そして俺に向かって、
「聞いてくださいよ!」
と流ちょうな言葉で訴えかけた。




