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拾い、集め  作者: 日々桜香
第3章
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 あの後はすっかり、悪夢を見ることもなく数千年ぶりによく眠れた。首筋はすごいことになっているが。

「この赤いの、治していい?」

「嫌だ」


 アズは首筋の痕のことになると、すっかりこの調子だ。


「お兄さんが甘えてくれた証なんだから、残しといてよ」

 アズは拗ねている。唇が痛むのか少し話し方が変だ。

「……今日だけだぞ」


 どうせ、今日は人に合わない。それでアズが納得してくれるなら、なんでもいいと思った。


 しかし、人生というのは予想もしないことが起こるばっかりである。人と遭遇してしまった。しかも、知り合いに。


「リュカ君、首どうしたの」

「……虫刺され」

 抑揚のない喋り方でリュカに質問するのは、記憶の竜守り。彼女は白髪をなびかせながらリュカの知らない男と一緒にいる。


「噛み跡もあるぞ……」

 少年はあまりの激しさにかなり引いていた。

「……そちらの方は?」

「リオ」

 記憶の竜守りは、それが当然であるみたいに答える。


「こっちの人間は?」

「アズです。僕と一緒に旅をしています」

 人に人を紹介するときは、普通これくらいはいうものだろう。そうしないところが姉さんらしい、とリュカは懐かしくなった。


「2人は何してるの?」

「星を拾ってる」

「星?」


 リュカが首を傾げると、リオが慌ててキラキラと光る、あの石を見せてくれた。


「お兄さん、これ、やっぱり星だって!」

 アズはリュカの肩を掴んでジャンプする。

「お二人はこれをご存知ですか?」

 リオに聞かれる。「ご存知も何も……」とリュカはあの石を取り出した。


 記憶の竜守りと、リオの目が丸くなる。


「あたし達にちょうだい」

 アズの方を見ると頷いていたので、収納から全ての石を取り出した。すると、低めの山くらいの量が出てきた。

「うわ……すごいな……」

 リオは開いた口が塞がらない様子だった。アズは褒められたと思ったのか、ニコニコしている。


 (すごいよな。これに付き合った僕が)

 リュカは心の中で自分を称賛した。


「姉さん達はなんでこんなものを集めてるの?」

 記憶の竜守りはキッとリュカを見つめた。

「星をまた、空に輝かせたいの」


「俺たちと一緒だ!!」

 アズが叫ぶ。

「愛の姉さんに方法を聞いてきたよ」

 リュカは平静を装っていたが、内心大興奮していた。


「竜守りが、自分の竜を手懐ければいいって」

 記憶の竜守りはその言葉に体をブルリと振るわせる。

「……リュカ君はできる?」


 リュカは結論が出ているのに、考えているフリをした。そうしないと、示しがつかないと思ったからだ。

「できない」

 記憶の竜守りはほっとした。彼女は考えが全て顔に出るのだ。


「でも、」

 と、リュカは続ける。

「やってみる価値はあると思う」

 

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