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♪♪♪♪ ハッタツショウ害シャノ唄 ♪♪♪♪   作者: 動物の世界で人間らしく
第二章 人に値札でも付いているのか?
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014 警報


 翌朝も、文月さんは無邪気に呉葉に話し掛けてきた。


 昨日と同様、話はあちらこちらに飛びまくる。

 そんな文月さんを見ていると、微笑ましいような気にもなるが、赤津支店長や古倉さんのことを思うと、心に暗い影が射し込んだ。


 話の途中、文月さんはそんな呉葉の様子に気づいたようで、首をちょこんと傾《かし》げて呉葉を見てくる。


「どうかしましたか? 蜷川(になかわ)さん、アタシ、変なこと言ってます?」

「あっ、全然、大丈夫です。ちょっと考え事しちゃったもので。……すみません」


「ん? お悩みごとですか?」

 文月さんが眉根を寄せ……そして顔を近づけ、尋ねてくる。

 くっきりとした、人形みたいに整った顔立ちが、呉葉の目の前に迫り、シャンプーの仄(ほの)かな香りが鼻の先に届いた。

 近くなり過ぎた彼女との距離を戻すように、呉葉は反射的に後ずさった。



「ん?」

 すると、今度は文月さんが、開いた距離を詰める様に、一歩前に足を踏み出す。


「……」


 …………なんでこの子、こんなに人との距離が近いんだろう…………


「ん? 蜷川さん、どうかしましたか?」

「あ、いや、別に……最近、仕事がうまくいってなくて……ちょっと、ぼんやりしちゃっただけです……あははは……」


「うーん、そうなんですかぁ……あまり思い煩わないで、仕事、気をつけて下さいね」


 “仕事を気をつける”って、変な表現だなとか、近くで見るとホントに美人だなぁとか、なんか色々と勿体ない子だなぁとか、そんな様々を思いながらも、呉葉はこれ以上、彼女と話をしているのはマズイ気がしていた。



 呉葉の頭の中では、面談での赤津支店長の言葉が、警報のように鳴り響いていたからだ。

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