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♪♪♪♪ ハッタツショウ害シャノ唄 ♪♪♪♪   作者: 動物の世界で人間らしく
第三章 ゼロを目指して歩いてる
20/21

NO GO!(1) ──子供の頃から、繰り返し繰り返し見ている夢【挿絵あり】



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 たくさんの人の背中が遠ざかる。

 大きな船に乗ったみんなの姿が、陸を離れて遠ざかる。


 息を飲んで伸ばそうとした手が、伸びきることなく宙を泳いだ。



 ・

 ・

 ・



 ……また、いつもの夢か……。


 背中に嫌な汗がじっとり滲む。


 片手をついて、ゆっくりと半身を起こして目をこらす。



 カーテンの隙間から漏れる月の明かりが、蝉の鳴き声と共に、室内に差し込んでいた。


 すぐに目が慣れて、見慣れた部屋の様子がおぼろに浮かぶ。


 となりで寝ている呉葉ちゃんを見下ろすと、眉間にシワを寄せていた。


 

 なんか嫌な夢でも見てるんだろうな。


 呉葉ちゃんの寝顔は、いつも大抵こんな感じだ。



 どんな夢を見てるんだろう? 楽しくない夢であることは間違いない。


 あまり……というか、ほとんど呉葉ちゃんとそういう話をしたことがない。


 なんとなく、そういう話題は避けてしまう。

 多分、袋小路だから。共感の前に閉塞感が押し寄せる……っていうのが、お互い話す前から分かるから。


 それに、こんな話はいつでも出来る……っていうのもあるかもしれなかった。






 それはさておき、アタシの寝顔も大抵こんな感じなんだろうか?





 そっと指を伸ばして呉葉ちゃんの眉間に触れる。

 軽く押して……愁眉? ってやつを開こうと、優しく撫でる。



 

 一向に開かれないそれに小さく嘆息。


 代わりに頭を、そっと撫でてみる。


 黒い髪を、指の間に泳がすようにいていく。



 再び眉の上をなぞるように優しく撫でた。




 何度も何度も続けていると、やがてシワのよった眉間がひらかれ、小さな達成感に包まれる。





 外の蝉の鳴き声が、アパート全体を揺るがすようだった。



 子供の頃、こんな夜中に蝉って鳴いてたっけ???



 まあ、いいや。妙に目が冴えてしまった。




 冷蔵庫から麦茶を取り出し、コップに注ぐ。

 

 ちゃぶ台にそれを置き、正座して。キリッと眉を上げてみる。




 うん。




 さっきの夢……。


 子供の頃からくりかえし、くりかえし見ているやつだ。



挿絵(By みてみん)

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