プロローグ「DTM」
DTM:デスクトップミュージック(desktop music)の略。
主にDAW(Digital Audio Workstation)と呼ばれるソフトを使って曲を作ることだ。
DTMをする人のことをDTMer、作曲家、音屋、コンポーザー、トラックメイカーとか言うらしい。
俺もそのDTMerの一人だ。
俺は音楽が好きだ。大好きだ。
四肢欠損と聴力喪失のどちらかを選ばなければならないとしたら、間違いなく四肢欠損を選ぶだろう。
これからラーメンと音楽のどちらかを禁止しなくてはならないとしたら、間違いなくラーメンを選ぶだろう。
とにかく、俺はそれくらい音楽が好きで、たくさんの音楽と出会った。
ちゃんとCDを買って聴いた曲もあるし、Youtubeに無断転載されていて聴いた曲もある。
そしてついに俺は思いついてしまった。
そう、
"自分で音楽を作る"ということを
だがそれは、俺の人生における大きな転機だった。
今までの俺の穏やかな生活は崩れ去り、忙しく目まぐるしい毎日へと変化していった。
「うぅ...ん...今何時だ...?」
現在午前8時、大半の暇な高校生はまだベッドの中だろう。
「...」
俺は大きく伸びをした。
「...作業するか」
――――――――――――――――――――DTMerの朝が始まる