↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
青色コンピレーション  作者: 浴栖 凪羅華
PR
2/2

1曲目「〆切」

(早く帰りたい...)

登校中だが俺は早くもそう思っていた。

早く帰りたいと言うか、早く帰らなければいけないのだ。

なんでかって...それは...

「なんで曲の〆切今日なんだよおおおおおおおおおおおおおおおお!」

そう、俺は"DTMer"

(ヤバいヤバい...今回だけはほんとヤバい...)

DTMer:作曲家なんて呼ばれたりもする。

脳裏にうちのレーベルの主宰の言葉が蘇る。

『今回Iliruくん遅れたら...そうだなぁ...メンバー全員に焼肉を奢ってもらおっかな?(笑)割とマジで。』

俺は入矢《いりや》 榴維《るい》、Iliruという名で作曲活動をしている。Growin' Branches Recordz(以下GBR)所属。得意なジャンルはフューチャーベース(最新の音楽ジャンル、大きな括りだとハウスとかに分類されるのかな?まあ詳しくは自分で調べてね)だがHDM(自分で調べてね、以下同)とかプログレッシブハウスとかトランスとか、ダンスミュージックだったら割と何でも書ける。

普段は普通の高校一年生だし、これと言って特殊能力は無いし魔法も使えないが、作曲活動をしているのはちょっと普通じゃないのかもしれない。

(今回ばかりは遅れたらまずい...今まで散々迷惑かけてるGensuke(GBR主宰)さんとか他のメンバーに申し訳ないし、自分の金で焼肉を食べさせる!なんて無理、破産しちゃう。)


「はぁ...どうしよう...」

学校に着き、席に座ってため息をつくと、

「よ!入矢、今日も全然元気ないな!」

クラスメイトの髙田《たかだ》 匠機《しょうき》が話しかけてきた。

「また徹夜したんか?」

「そうだけど...」

DTMerじゃなくても〆切直前になって徹夜し始める奴はたくさんいるよな、多分。

「とりあえず眠いから寝かせてくれ」

「まあまあそう言わずに」

髙田を追い払おうとすると

「例の案件、引き受けてくれるか?」

「例の案件?あぁ、あれか...」

例の案件、それはバンドへの勧誘である。

俺は前にピアノを習っていてそれなりに弾けて、中学校のときは吹奏楽部でパーカッションをしていたから若干ドラムが叩ける。が、俺はバンドが出来る状態じゃない。DTMのタスクがあって毎日が忙しいからだ。しかも俺はただでさえ遅筆気味だ。どう考えてもやる時間がない。

「断るよ」

「そこをなんとか頼むよ、どうしてもドラムをやってくれる奴がいなくて」

「俺は忙しいんだ、バンドをやってられる時間なんてない」

「お前のどこが忙しいんだよ」

ギクッとした。学校の連中にDTMをしていることは言っていない。言ったら冷やかされるし、『作った曲聴かせてよ』とか言われそうで嫌だ。大体そんなこと言ったら『バンドに曲書いてくれ』とか言われて更に忙しくなりそう。大体俺バンド曲書けないし。

「いやぁ...ね...ちょっと事情があるのよ...」

「そうか...」

何かを察してくれたようで髙田は去っていった。ゴメンネ...


半分寝ながら授業を受け終え、学校から解放された俺はダッシュで自転車置き場へ行き、自転車で帰ろうとすると背後から声をかけられた。

「おい」

冷徹な声で話しかけられた。

振り向くと色白の美少女が立っていた。

「後ろ、乗せろ」

幼馴染の白﨑(しらさき) 凍子《とうこ》だ。

どういう訳か、今までずっと同じ学校に進学してきて、とうとう高校まで同じところになってしまった。所謂"腐れ縁"

「いや、ちょっと今急いで

「乗せろ」

「お前の家まで送る時間なんて

「乗せろ」

「人の話聞いて

「乗せろ」

「わかったよ!お前の家まで送ればいいんだろ?さっさと乗れよ!」

「...」

後ろに凍子を乗せて自転車をこぎ始めた。

「言っとくけど、これ法律違反だからな?」

「わかってる」

「パクられたらお前のせいだからな」

「...」

「お前って普段からチャリで来てなかったっけ?」

「修理に出してて無い」

「ふーん...」

相変わらず無愛想な奴だな...


かくして俺は警察にも会わず凍子を家に送り届け、地獄の作業をするために急いで自宅へと自転車をこいだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。