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【第13話】ゲリラダンジョン編(4)

「だ、だめです! ぜったい!」

「え? なんで?」

「え? なんで、じゃないですよ! せ、世界を救えってどういう意味ですか! 僕、そんな力ありませんって!」

「ふーん……じゃあ、“世界を救うふり”でもしてみたら?」


「……」


言葉が出なかった。

どう説明해야いいのかも分からない。

いや、説明したところでこの人に伝わるのか――?

“世界を救え”をまるで「コンビニ行ってきて」 수준で 말하는 이 여자는 도대체 뭐람, とデウスは思った。


「大丈夫。私が手伝ってあげるから。」


「手伝うとかそういう問題じゃないです! だめなものはだめです!」

「あなたも……国家権力級の戦力じゃないように見えますけど。」


「……無名。」

「え?」

「“無名”だってば! 私のハンター名!」


言いながら、顔がほんのり赤くなる。

誰にも知られたくなくて“無名”にしたのに、

今になってこんなに口にすることになるなんて――。

もっとカッコいい名前にしておけばよかった、と少し後悔した。


「あ、はい……」

「?」

「私、世界ランク1位なんだけど?」

「はい……」


(この反応……なんか変じゃない?)

(あ、もしかして、世界1位を見て感激してるのかも? ふふっ。)


そんな勘違いをしながら、ジウはひとりで勝手に盛り上がっていた。

だが、デウスの心の中は全く別だった。


(なに言ってんだこの人……どう見ても、ただの力のある子供じゃないか。)

(でも命の恩人だし……合わせておいたほうが無難か。)


――実のところ、デウスの反応こそが最も常識的だった。

どう見ても、この小柄な少女が“世界最強のハンター”だなんて信じる者はいない。

ただの“無名好きな変わり者”くらいにしか見えなかった。


「ま、とにかく外に出て、君のやるべきことを教えてあげる!」

「まずは――“デウス”を演じ続けること! わかった?」


「あ、はい……無名さん。」

「“無名”じゃなくて“ジウ”って呼んで。私の名前、チョン・ジウ。」


そうして二人はトイレを出て、レオのもとへ向かった。


「なんでこんなに遅いんだよ。」

「後ろの人は――」


ジウの後ろにいた男を見て、レオは目を見開いた。


「デウス……? ですよね!?」


「ふふん。」


ジウは小さく咳払いをして、デウスの背中を軽く叩いた。


「あ、あっ! そ、そうだ。」

「君は……」


「同じギルド、カエサル! いやー、今日はなんて日だ。こんな偶然ある?」

「本当に会いたかったんですよ!」


「あ、そうか。君も知っての通り、私は修行中でね。」


「うっ……時代劇みたいな喋り方、鳥肌立つ……」


「時代劇!? な、なにを言うんだ! あの“デウス様”に向かって!」

「やはり……あなたも我々と同じ、“力を隠したハンター”……!」


「……それで、人質は?」


「ざっと調べた感じだと、すぐ上の階らしい。でも……」


(レ……レオ……この人が、あの有名な……!)

デウスは心の中で小さく感動していた。


「……すぐに攻略してみるか?」

「いいね。それでいこう。」


「え、え? なにを――」


前を歩く二人をぼんやり眺めていたデウスは、会話の半分を聞き逃していた。


「君が前線に立つんだよ。」


「ひぃぃぃっっ!!」


「だいじょーぶ、だいじょーぶ~。私が後ろから、こっそりシュッシュッてモンスター倒してあげるから~♪」


「ほ、本当ですよね……?」


「もちろん。早く立って! 君の実力、見せてやりなよ!」


不安だったが、デウスは信じてみることにした。


「じゃ、じゃあ……僕が前線をやる。」

「よしっ! いこーっ!」


そうして三人は、救助チームを探しながら前進した。

幸い、ほとんどのモンスターは既に処理済みだった。


だがその時――

巨大な蜘蛛型モンスターが姿を現した!


デウスが構えを取った瞬間、ジウの一閃が走った。

刹那に蜘蛛は斬り裂かれ、跡形もなく消えた。


「おお……やはりデウス……!」

「剣閃がまったく見えなかった! まさに隠遁の達人……!」


「ふっ。」


デウスは姿勢を正し、威厳を装いながら立っていた。

そして、心の中で呟く。


(……これ、意外と悪くないかも?)

(これが“ハンター”の快感ってやつなのか……?)


こうして、デウスが初めて“ハンターの楽しさ”を知った瞬間だった。

彼らは無事に救助チームと合流することができた――。




【塔攻略状況】


国家:アメリカ合衆国(27階)

国家:日本(17階)

国家:韓国(12階)

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