表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
13/34

【第12話】ゲリラダンジョン編(3)

カエサルのアンダーグラウンドに〈王〉レオがいるなら、

優れた剣技で名を馳せるもう一人――デウスがいた。

特徴的なのは、彼が星位と契約していないことだった。


モンスターを瞬時に片付けるその姿は、

“見えざる剣”という異名でも呼ばれていた。

だが、そんなデウスには、誰にも言えない秘密があった。


「う、うそだろ、どうしてこうなったんだ……?」

「俺、ぜんぜん強くないんだあああああ!!!」

「子供の頃から運が良かっただけで、ダンジョンに巻き込まれてもいつも誰かが片付けてくれただけなんだってば!!」

「今だってトイレ行きたくて適当に入っただけなのに、これ何!? ダンジョン!? うわぁ……」

「家に帰りたい……」


彼はトイレに隠れて、外の悲鳴を震えながら聞いていた。

もちろん、チョン・ジウにはその気配が既に届いている。


「……ん? なんでそこで止まるんだ?」


「先に行ってください。」


「え? ゲストが勝手に席を外すわけには――人を探さなきゃだろ?」


「ト、トイレです。」


男は一瞬言葉を失い、狼狽したように口を濁した。

「あ、ああ……じゃあ俺先行く。早く来いよ……」


『チャンス!』


ジウは即座にトイレへ駆け寄り、鍵のかかった扉の下から覗き込んだ。


「なにしてるの?」


「な、なにィィィ!!?」


驚いたデウスは反射でたじろぎ、壁にぶつかった。

その刹那、ふと脳裏に蘇る光景があった――。


――数年前、あるダンジョンの一幕。

絶体絶命の瞬間。


「ひ、ひぃぃっ!」


怪物が覆いかぶさろうとしたそのときだった。

俗に言う、「極限で人は超人的な感覚を得る」という瞬間が訪れ、

デウスは一人の少女が猛る怪物の首を一刀で斬り落とす場面を見た。


それは彼が一生忘れられない光景だった。


そして聞こえた短い言葉――


「……大丈夫?」


あの声だ。

彼を救った恩人の声だ。


「ねぇ、デウスでしょ? 剣の腕は聞いてる。ちょっと手伝ってくれない?」


そう言って、ジウは何気なく扉を開けた。


「ひぃっ、ちょ、ちょっと! 俺、モンスター倒せません!!」


「は? あなたB級でしょ?」


その瞬間、ジウの背後――天井の裂け目から巨大な影が落ちてきた。

――蜘蛛型のモンスターだ。


デウスは本能的に悟った。

(無理だ……避けられない……!)


そして、恐怖に駆られて叫んだ。


「俺は……本当は――!」


ザシュッ――


刹那の音。

モンスターの胴体が真っ二つに裂け、床に叩きつけられた。


振り向くと、デウスはただ呆然と立ち尽くしていた。


「……その話、ほんとなの?」


「はい……」


短い返事だった。

ジウはしばらく黙って彼を見つめ、ゆっくりと溜息をつく。


「はぁ……」


血の匂いとともに、虚脱した空気がダンジョンに満ちた。


(怒らせたよな……当然だよな……)

(俺なんてただの臆病者なのに……)


だがジウの頭の中は別の考えで満ちていた。


(ペク・ドユン……“予言の星位”か?)

(じゃあ、あの人の言ってた“デウスの死”って――)

(そういう意味だったのかもしれない……)


「す、すみません。俺、あんたの実績を奪ったのかもしれない……」


「はぁ?」


元々、表に出すつもりのない力だった。

それなら誰かが代わりに“それっぽく”振る舞ってくれる方が楽だ。

だから、ジウはむしろ好都合だと思っていた。


「いいよ、それが私と何の――」


言葉を続けようとしたジウは、あることを思いついた。


(待てよ。こいつ、私に罪悪感を抱いてる。ペク・ドユンはこの奴で世界の滅亡を止められると言ったっけ?)

(なら、この奴をコントロールできれば……滅亡を防げるし、面倒ごとも減るんじゃないか?!)


「関係ないわけないでしょ! あるよ、ある!」


「……え?」


「え? とか言うなよ! 私の手柄を奪ったんでしょ?」

「なら、ちょっとお願い聞いてもらおうか?」


「あ、あっ、はい! わかりました!」


『よし、よし……ふふふ……』


【 星の星位が「小細工一つは本当に王だ」と囁く。 】

(なによ、星さま。こんなの朝飯前よ。)

【 星の星位が「それは褒め言葉じゃないよ……」とツッコミ。 】

(……。)


「えーっと、まずは携帯の番号ちょうだい。」


「で、電話番号ですか?」


「うん。お前はすぐ死ぬ。」


「ええっ!? 俺が……死ぬって!? 何で!?」


「びっくりした? 今すぐ死ぬって言ってないよ。“ちょっと後で”死ぬって言ったんだよ。」


「そ、それ同じじゃないですか!!」

「たとえ手柄を奪ったとしても――」


「やだやだ、私が殺すわけないでしょ!」

「えーっと……助けてあげるよ。心配するな、絶対は言えないけど九十パーセントくらいは死なせない! 守ってあげる!」


ジウはデウスの背をぽんぽんと叩いた。


(人の命を軽く扱いすぎじゃないか……?)

恐怖と疑念が混じった表情で、デウスはジウの携帯に番号を打ち込んだ。


「では、俺は何をすればいいですか?」


「お前、世界の滅亡を止めてきて!」


「は、はい……

 えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ?!」




【塔攻略状況】


国家:アメリカ合衆国(27階)

国家:日本(17階)

国家:韓国(12階)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ