第十六章
遊園地に着いたあたし達は 絶叫マシンに乗ったりアトラクションに入ったりして楽しんだ。お昼近くになり観覧車に乗ってからお昼を食べる事にした。あたしと真臣君は観覧車で向かい合わせで座った。
観覧車からみる景色は絶景だった。
最初は景色の話をしていたが少しの沈黙があった。そしてその後
「ユウカ‥俺 ユウカの事好きなんだ。ユウカも俺の事 好きだと思っていたし俺の気持ちも伝わっていると思っていた。だからユウカが俺の彼女だとずっと思っていた。人に聞かれれば彼女はいるとユウカを想いながら答えていた。俺の独りよがりなのに‥それなのにユウカが白河と付き合い始めたと聞いた時は信じられなかったし、自分でも驚くほどショックだった。
でも仕方ない事なんだよな。俺 ユウカに自分の気持ち伝えてなかったものな‥だからユウカが俺の事 憧れの先輩だって言ってくれた時、それで良しにしようと思った。そして博達と四人でいる時ユウカは俺の彼女という事になった。あれはその日 俺の想いを知った博がそう仕向けてくれたんだ。あの四人でいる時が俺にとって充実した時間だった。だからあの時の俺の言葉は殆どが本当の俺の気持ちだった。
元旦に偶然会えた時、俺 ラッキーと思った。そしてユウカの兄貴の蒼先輩に妹をお前になら任せられると言われた時、先輩に付き合いの承認を貰ったようで背中を押された気がした。
でも卒業式の日 ユウカは俺に好意を持ってくれている子のプレゼントを持ってきた。その子のプレゼントを頼まれてくるという事は、ユウカは俺に特別な好意を持っていないんだと思った。心が沈んでいくのがわかった。
自分の気持ちを伝えていない事を後悔した。だからその後ユウカと目が合ってもユウカの前を通っていてもそんな自分が情けなくて‥ユウカの顔を見るのが辛くてユウカを避けたんだ‥憧れの先輩だって言ってくれてるのにな‥」
真臣君の告白は突然だった。
驚いたけど自分の気持ちを伝えるのも今しかないと思った。
「杉城さんがただの憧れの先輩だっていうの嘘です。あたし中一の時からずっと杉城さんが好きです。自分の気持ちを伝えたいと思った事もありました。でも恐かったんです。気持ちを伝えてうまくいけばいいけど、そうじゃなかったらって‥気まずくなるし話しかけてもらえないし、今みたいに名前で呼んでもらえなくなるって‥それならこのままでいいって思ったんです。そのうち杉城さんに彼女がいるって噂で聞いて‥諦めなくちゃ‥忘れなくちゃって‥思ってたんです。そんな時 白河君から告白されて好きな人がいるけどその人には彼女がいて‥それでも諦められないからって断ったんです。でも白河君 それでもいいって‥自分との時間がその人を忘れていられるなら、友達として付き合おうって言ってくれて‥三月になったら改めて恋人としてつきあえるかどうか返事をしてくれればいいって…だからあたしokしたんです。白河君と付き合う事で杉城さんの事忘れられればって…。卒業式の日まであたし 白河君とのお付き合いokしようと思っていたんです。だからどうしても最後に杉城さんと話しがしたいって‥それで自分の気持ちにけじめをつけようって‥。でも何のきっかけもみつからなくてその時彼女にプレゼント頼まれて、どうしようと思ったけどそれを口実に話しができるとそう思って杉城さんの所へ行ったんです。でも杉城さん怒ったみたいであたしからプレゼント受け取るとそのまま三年生の中へ戻ってしまって‥あたし気持ちが凄く重くなって、あたしの前通っているのに あたしの方見てもらえなくて、そのまま一度も振り返る事なく校門から出て行ってしまった。あたし悲しみでいっぱいになって‥その時ようやく気づいた。杉城さんを忘れられないでいる自分の気持ちに…杉城さんへの自分の想いに…もう話せないのに‥もう会えないのに…あたしそう思って…」
最後の方は殆ど涙声だった。
「もう 何も言わなくていい…わかったから‥ユウカの気持ちは良くわかったから‥」
いつの間にか隣に座っていた真臣君があたしの肩を優しく抱いてくれた。
「俺がもっと早く自分の気持ち伝えていれば良かったんだ。そうすればユウカにこんな思いさせなくて済んだのに。ごめんな‥」
「杉城さん」
あたしは顔を上げた。
真臣君の唇があたしの唇に軽く触れた。
あたしは思わず下を向いた。
「俺と付き合って‥くれるだろう‥?」
あたしは頷いた。
「これでユウカは俺の本当の彼女だな‥」
真臣君は嬉しそうだった。あたしもとっても嬉しかった。
「本当は観覧車乗るのは一番最後の筈だったんだ。それが こんな早くに乗る事になって‥ユウカがokしてくれたから良かったものの…そうじゃなかったら俺 どうしたらいいかわからなかったぜ。」
真臣君がホッとしたようだった。
「由季があたしの気持ち知ってるからそれでだと思う。」
「じゃあ 博の奴もそれを聞いてって事だな‥まったくあいつは‥」
真臣君は半分 笑いながら言った。
「でも 楡井さんて杉城さんの最高の友人でしょ。」
「‥そうだ‥本当に最高の友人だ‥」
真臣君は言った。
やがて観覧車は下に降りた。真臣君が先に降りてあたしが降りるのを支えてくれた。
楡井さんと由季は先に出て待っていた。四人揃った所でお昼にした。楡井さんと杉城さんがお昼を買ってきてくれるというので、由季とあたしは席で待っていた。
「ユウカ 杉城さんに告白されたでしょ!」
あたしは頷いた。
「それで‥勿論 okしたんでしょ?」
由季が聞く。
「‥もちろん‥。ありがとう由季。こういう場をつくってくれて‥」
あたしは言った。
「いいのよ‥友達でしょ。それに この事は楡井さんと二人で考えてたのよ。」
「楡井さんと!?」
「うん‥卒業式の後ユウカ楡井さんと会ったでしょう‥あの時ユウカが泣いてた事に気づいたんだって‥それであたしにどうしたのか聞くから、ちょっとと言ってその場はごまかしたんだけど‥あの日 楡井さん わたし達に会う前に杉城さんと一緒にいたんだって。杉城さん凄く落ち込んでいて、ユウカに自分の気持ち伝えなかった事 後悔していたって言うからわたしユウカの涙の訳を話したのよ。そしたら それなら話しは早いって杉城さんに告白させようって事になって こういう事になったのよ‥ユウカも自分の気持ち伝えたんでしょう‥?」
「‥伝えたわ…本当に嬉しい…見放されてもしょうがないあたしなのに‥告白の場を用意してくれるなんて‥」
「見放したりなんかしないわよ!ユウカの気持ち良くわかるものっ‥」
「ありがとう由季!大好きだよ‥!」
「そういう言葉は杉城さんに言うものでしょ?」
「もう‥由季ったら‥」
あたし達は笑い合った。
「楽しそうだな‥何の話しだ。」
楡井さんが真臣君と一緒に戻ってきて聞いた。
「女同士の話しよ‥ねっ ユウカ‥」
由季が言った。
あたしは笑いながら頷いた。
由季とあたしは 楡井さんと真臣君にお礼を言って四人で食事を食べ始めた。
「ユウカちゃん聞いたよ。真臣と付き合う事になったんだって?」
「はい‥」
「コイツ 軽そうに見えるけど 本当 いい奴なんだ。よろしく頼むよ。あっ でもユウカちゃんにはわかってる事か‥昔から知ってるんだものな‥」
「はい。小学校の頃から顔見知りでした。それに杉城さん目立っていましたから‥」
「そんなに目立ってたか?」
「だって杉城さん 何にでも積極的だったし、中学の時は生徒会役員だったでしょ?」
「そうよ 確か 副会長だった。」
由季も言った。
「誰もやる奴がいなかったから、やってただけ…って事もあるけどな」
「杉城さんらしいって言えば杉城さんらしいですね。」
あたしが言った。
「ユウカ‥その杉城さんって呼び方何とかならないか。付き合う事になったんだし‥別の呼び方の方が俺としてはうれしいんだけどな。
あたしは少し考えた。
「それじゃ 真臣君でどうですか?」
「真臣君か‥懐かしいな‥ユウカ 昔 俺の事そう呼んでたんだよな‥」
「覚えてたんですかぁ!?」
「もちろん‥うん、それでいいよ‥」
真臣君 何だかとても満足そうだった。
「由季‥俺も名前で呼んでもらいたいんだけどな‥」
今度は楡井さんが言った。
「何て呼ばれたい?」
「博だから ヒロって呼んでもらいたいな‥」
「わかったわ。これからは そう呼ぶ事にするね‥それじゃ ヒロ 食べ終わったら次 何に乗る?」
「お化け屋敷なんてどうだい…」
「えーお化け屋敷って苦手なのよね」
由季が言った。
「あたしも‥」
すると真臣君が
「由季ちゃんは博にしがみついて、ユウカは俺にしがみついていればいいじゃないか…」
「それいいな‥そうしようぜ。なあ真臣 早く告白して良かったろう。堂々とそういう事も言えて‥絶対この方が楽しいだろう‥」
楡井さんが言う。
「そうだなっ!サンキュー博!」
「どう致しまして。真臣の為ですからネ!」
楡井さんは戯けた口調だった。
四人に笑いが起こる。
昼食を食べ終わった後、あたしは真臣君に聞いた。
「ねえ杉城さん‥」
「うん?誰だって‥もう一度言ってもらえるかな‥?」
真臣君は名前で呼ばないと返事をする気がないらしかった。
あたしは言い直した。
「真臣君」
「何だい…ユウカ‥」
「本当に お化け屋敷入るの…?」
「当然‥なあ 博。」
「ああ。」
由季とあたしは顔を見合わせるとお互い首を降り諦めを現し彼等に付いて行く事にした。
その後もショーを見たりコーヒーカップに乗ったり楽しい一日を過ごした。
帰りは家の近くまで真臣君が送ってくれた。
そして次の約束をした‥二人での初めてのデートの約束を‥その日が来るまでドキドキだった。
約束の日 森林公園に行ってその後映画を見る事になった。
森林公園では自転車を貸りて二人でゆっくりと一周し、途中にあった温室に入ったりして楽しい時間を過ごした。
帰り途中にあったダムに寄った。
ダムの水が‥陽の光をキラキラと反射していた。
その水面を見ながらあたしは、自分が今 真臣君の隣にいられる事に感謝していた。嬉しいと思っていた。
「ユウカ‥俺‥ユウカとの将来の事も考えているから、そのつもりでいろよな‥」
真臣君が水面を見ながら、ちょっと照れながらあたしにだけ聞こえるように言った。
「うん!!」
あたしは舞い上がりそうな気持ちだった。
「そろそろ映画 行こうぜ‥」
少し照れくさそうに真臣君はあたしを見ると手を出してくれた。
あたしはその手を繫ぎ二人で一緒にいる未来へと‥真臣君との未来へと歩き出した。




