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One-Sided Love   作者: 藍本 彩夢


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第14章

 その日は本屋さんで本を探していた。

 紙の本で残しておきたいと思った大好きな小説の最新刊だ。今日が発売日なので山積みで置いてあった。その本を持って何か面白そうな本はないかなと歩いていたら

 「ユウカ」

 と呼ばれた。

 後ろを見ると真臣君だった。

 「メッセージで本を探しに行くって書いてあったから来てみたら本当にいた。」

 「俺も読みたい本があるから、一緒に探して‥」

 本の題名を聞いてその本を探した。何かデートしているみたいで楽しかった。

 連絡先がわかってから真臣君は、よくメッセージをくれる。それはとても嬉しい。

 「もっと早く連絡先 聞けばよかった。そうすれば…」

 この間 真臣君があたしには聞こえていないと思って、呟いた言葉…あの後は何を思ったのだろう‥

 もう少し真臣君を諦めない。そう思ったのは事実だけど‥告白された訳じゃない。告白する勇気はない‥真臣君に彼女がいるのも事実…それは変わらない事‥やっぱり好きでもその気持ちは心にしまっておこう。そうすればいつか真臣君を好きだったという思い出に変わる。そうしよう…あたしは思った。それからはメッセージに当たり障りのない言葉で返信だけはしたけど、今まで通りこちらから送る事はしなかった。



 二月になって あたしが小学校から一緒の友人と話していると、女子バスケ部の仲の良い友人があたし達に言った。

 「あたしね 杉城さんに告白したの。」

 「告白‥?」

 (そういえば恵美 杉城先輩が好きだってあたし達に言ってたのよね。)

 何て思いながら胸がキュンと痛くなった。

 「うん でもダメだった。『ありがとう‥でもごめんな‥君は俺にとって可愛い後輩なんだ』

 って‥そしてその後も前と変わりなく接してくれて、声かけてくれたり‥バスケの指導してくれたり‥あたし その時思ったの。杉城さん好きになれて良かったって‥まだ完全に忘れられた訳じゃないけど何かスッキリしたの。」

 彼女の顔は晴れやかだった。

 あたしは恵美の話しを聞きながら

 (真臣君らしいな)

 って思っていた。


 そして三月 卒業式の日。

 式が終わって校庭で、卒業生と在校生の最後の友好場が持たれた。

 その時 真臣君に告白した彼女が真臣君に感謝の気持ちを込めたプレゼントを持って来た。

 渡しづらいから真臣君と仲のいい後輩のあたしから渡してくれないかなと…あたしはどうしようか迷ったけど最後に真臣君と話したいと思ってOKした。

 真臣君のクラスの所に行くと、由季が楡井さんと話していた。あたしが真臣君を探していると、真臣君があたしに気づいて声をかけてくれた。

 「どうした ユウカ‥」

 「あっ 杉城さん探していたんです。これ恵美に頼まれて‥」

 あたしはプレゼントを出した。

 「何で お前が来るんだ。」

 真臣君が急に不機嫌になった。

 プレゼントも受け取ろうとしなかった。

 (やっぱり 持ってこない方がよかった。)

 あたしは後悔したけど既に遅かった。

 でも恵美の気持ちを考えると必死だった。

 「受けとって上げて…これは恵美の感謝の気持ちなの!恵美 言ってたわ。『あたし 杉城さん好きになって良かった』って…そんな想いも込もっているの。だからお願い!受けとって上げて…」

 「わかった‥」

 真臣君はそう言うとプレゼントを受け取り、あたしに背中を向けると人混みの中へ入っていった。

 あたしの胸は後悔でいっぱいだった。

 時間になり 三年生を送り出す為に在校生であるあたし達は、校庭から校門までの道の両側に並んだ。

 あたしは前の列だったので、目の前を先輩達が通って行った。部活の女性の先輩達と言葉を交わしたり、手を振ったり、影澤先輩は握手をして

 「頑張れよ!」

 と言ってくれた。

 皆んな部活の後輩や 知っている後輩に声をかけたり挨拶したりしながら通り過ぎて行く…

 やがて 真臣君の姿が見えた。

 真臣君と目が合ったが、彼はスッと目を逸らした。そしてあたしの目の前を通っているのにあたしの方を見なかった‥そのまま一度も振り返る事なく校門から去って行った。

 あたしの想いは 一気に悲しみに染まり心が

 「真臣君‥真臣君…」

 って叫んでいた。

 三年生を全員送り出し在校生もそこで解散になった。

 あたしは由季と一緒に帰途についたが殆ど喋れなかった。

 そんなあたしに気づいた由季が聞いた。

 「ユウカ‥変だよ‥どうしたの…」

 「由季ぃ…」

 その声と同時にあたしの張り詰めていた気持ちが、涙となって溢れた。

 「何があったの‥そこの公園に行こう‥ゆっくり聞いてあげるから…」

 由季は近くの公園にあたしを連れて行ってくれた。

 ベンチであたしは 真臣君に恵美のプレゼント持っていった事‥その時の真臣君の言葉…真臣君があたしの方を見ないで通り過ぎて行った事 全て話した。

 そして最後に由季にあたしの気持ちを伝えた。

 「あたしね 白河君とのお付き合いOKしようと考えていたの…だから最後にどうしても杉城さんと話しがしたかったの。自分の気持ちに区切りをつける為にも…やめた方がいいって思いながらも、恵美のプレゼントを口実に話す きっかけができると思った。杉城さんが恵美のプレゼントを受け取って背中を向けた時‥

心が重くなった‥目が合ったのにそれを逸らし、あたしの方を見ないで杉城さんが通り過ぎて行った時、あたしは悲しみでいっぱいになった。あたしは まだ こんなにも杉城さんが好きなんだって‥諦めきれないんだって…わかっていた事なのに‥それなのに‥あたし‥こんなふうに離れてしまうなんて‥杉城さんに会えないのに‥もう会う事ができないのに…」

 あたしは泣き声になっていた。

 「ユウカ…」

 「ごめん‥このまま 少し泣かせて…」

 由季は頷くとあたしが泣いてる間 あたしの肩を優しく抱いてくれた。

 少しして落ち着いてきたあたしは顔を上げた。

 「ありがとう由季‥お陰で落ち着いたみたい‥この後 楡井さんと待ち合わせって言ってたよね‥ごめんね‥迷惑かけちゃって‥時間 大丈夫‥?」

 「平気よ。そんな事気にしないの‥それに待ち合わせここの入り口だから、そこまで一緒に行こう‥」

 由季とあたしが入り口まで行くと楡井さんが来ていた。

 「ありがとう由季‥じゃあね‥」

 あたしは由季の側を離れ、楡井さんに明るさを作ろって挨拶をして公園を出た。

 家に帰って部屋に入るなり真臣君の背中を思い出す。また涙が溢れた‥涙が止まらない‥とっても大好きな人なのに‥あたしったら何やってんだろう。バカだよねあたし‥虚しさが心を彩る。

 





 

 


 

 


 

 

 


 

 

  

 

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