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『三弾一組(フルハウス)! ~鉄壁の説教盾、強火の魔導士、命懸けの神速斥候~』  作者: ヤンヤン
第3章:【貢物略奪】――過剰な献身が暴く「忘却」のバグ
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第27話:『回転する絶望、あるいは大人の時間外労働』

 ミラーハウスが粉々に砕け散った後、エターナル・ランドの空はどす黒い紫色の雲に覆われた。


 静寂が訪れたのも束の間、地鳴りとともに大地がせり上がり、地平の彼方まで届かんばかりの巨大な鉄の骨組みが姿を現した。


 地獄の観覧車『フォーエバー・ホイール』


 それは遊具と呼ぶにはあまりに冒涜的な、鋼鉄の処刑台だった。ゴンドラの一つ一つが、まるで現実世界で摩耗し、精神を病んだ人々の「棺桶」のように冷たく光っている。


「……おいおい、冗談だろ。あんなデカいもんに乗れってのか? 高所恐怖症への配慮が足りねえんだよ、このクソOSは」


 ナツキがどっしりとした腹を揺らしながら、足元の震動に耐えて毒づく。その手には、先ほどまでの激戦でさらに重厚さを増した、概念防御の盾が握られていた。


「ナツキ、文句を言ってる暇はないよ。……来る」


 カズヤの鋭い声が響く。彼の眼前には、かつてない密度で構築されたホログラムのコンソールが展開されていた。


 突如、ホイールの巨大な軸から、耳を劈くような金属摩擦音が鳴り響いた。


『【……バグ共が。……不快です。……これ以上、私の『箱庭』を汚すのは許しません。……あなたたちには、永遠に終わらない「回転労働」を与えましょう】』


 天から降り注ぐOSの冷酷な声。

 直後、四人の足元が青い電子の奔流に飲み込まれた。


 強制転送――視界が激しく歪み、次に目を開けたとき、彼らは地上数百メートルの高さにある、ホイールの「スポーク(車輪の骨組み)」の上に立っていた。


足場は幅わずか一メートル足らずの鉄骨。その下には、落ちれば即死、あるいはデータの消失を意味する無限の闇が広がっている。


「うわっちゃあ! なんて高さたい! こげなところで戦えなんて、ブラック企業も真っ青の労働環境ばい!」


 マルモが叫びながら、鉄パイプを強く握りしめる。

 その瞬間、ホイールが「ギィィィ」と不吉な音を立てて回転を始めた。


「……加速してる。重力が狂うぞ! 全員、しっかり踏ん張れ!」


 ユタカが白銀の芯を低く構え、鋭い視線で周囲を警戒する。


 ホイールの回転速度は一気に上がり、四人の体には強烈な遠心力がのしかかった。それだけではない。ホイールの骨組みそのものが、意志を持つ蛇のように蠢き、鋭い切っ先となって四人を貫こうと襲いかかる。


「カズヤ! 座標を出せ!」


「了解。……右側、スポーク3番から7番、計12本の『鉄の杭』が飛来。……タイミングは、3、2、1……今だッ!」


 カズヤのカウントに合わせ、ナツキがどっしりと腰を落とした。


 彼の固有スキル『全方位メンタルガード』が、半透明のドーム状となって四人を包み込む。


「はっ! 『急な仕様変更』に比べりゃ、こんな鉄屑、蚊が止まったようなもんだぜ!」


 ガガガガンッ! と、凄まじい火花が散る。


 本来なら人体など容易く消し飛ばす物理エネルギーが、ナツキの「究極の図太さ」によって完全に相殺されていた。しかし、OSの攻撃はそれだけでは終わらない。


 鉄の杭が盾に接触した瞬間、そこからどす黒い「精神汚染」の泥が溢れ出した。


『【……なぜ働く。……なぜ生きる。……どうせ報われない。……どうせ誰も見ていない】』


 ナツキの脳内に直接、現実世界で浴びせられてきた「無理解な言葉」がリフレインする。


 だが、ナツキは不敵に笑った。二重顎を揺らし、脂ぎった顔に不屈の笑みを浮かべる。


「誰も見てねえ? 報われねえ? ……上等だよ! 報われるために生きてるんじゃねえ、俺たちは『今日を面白おかしく過ごす』ために生きてんだわッ! 食らえッ、『不屈のメンタル・インパクト』!」


 ナツキが右手の指を激しく鳴らした。


 衝撃波が、精神汚染の泥を物理的に吹き飛ばし、鉄の杭を逆方向に弾き返す。


「ナイスだ、ナツキ! 返ってきた分は、僕が倍にして打ち込む!」


 ユタカが空中で一回転し、弾き飛ばされた鉄杭を『芯』で捉えた。


 固有スキル『星霜のラリー(クロノス・ストローク)』発動。


 鉄杭の物理演算が書き換えられ、それは加速する光の矢へと変貌した。


 シュバッ、という空気を切り裂く音とともに、光の矢がホイールの中心核――OSのコアを狙って一直線に伸びる。


「……甘いね。システムが障壁を構築した。マルモ、あそこに火力を集中させて!」


 カズヤの指がコンソールを舞う。


 ホイールの表面に、幾重にも重なる「エラー修復用シールド」が展開されるのが見えた。


「よかばい! 久しぶりに『強火』どころか『焦がし』モードで行くばい!」


 マルモが豪快に笑い、鉄パイプを頭上で振り回す。

 彼の全身から、漆黒の焔が噴き出した。


「『魔導調理:表面はカリッと、芯まで熱々にッ! 焦がし王子の特製フレア』!!」


 放たれた焔は、ユタカが放った光の矢を包み込み、巨大な火龍へと進化した。


 熱膨張によってホイールの鋼鉄が悲鳴を上げ、OSのシールドが「メイラード反応」によってボロボロに焼け落ちていく。


「……チッ、まだ足りないか」


 カズヤが不敵な笑みを浮かべた。

 彼のHPは「1」。ホイールの激しい揺れ一つで死ぬ運命にある。だが、その瞳はかつてないほどに冴え渡っていた。


「OSさん、アンタのコードは美しすぎる。……美しすぎるコードには、たった一行の『無駄』が、致命的な毒になるんだ」


 カズヤがタブレットのエンターキーを叩きつける。

 『零式・刹那の断絶ゼロ・インターバル』。

 カズヤの肉体が、一瞬だけ「存在しないデータ」として世界から切り離された。


 彼は物理法則を無視し、垂直に回転するホイールのスポーク上を、重力を嘲笑うような速度で駆け上がる。


「カズヤ! 無茶だろ!」


 ユタカの叫び。だが、カズヤは止まらない。


 防御力ゼロ。接触即死。

 飛来する鋼鉄の破片を、ミリ単位で見切り、踊るように回避する。


「無茶じゃない。これは……『納期前の追い込み』だよ!」


 カズヤがホイールの軸に直接、物理的なハッキングデバイスを突き立てた。


 瞬間、ホイールの回転がガクンと停止し、不協和音が戦場を支配した。


「……今だ! ユタカ、ナツキ、マルモ! 権限を解放した! 全部ぶち込めッ!」


 カズヤが叫ぶ。

 四人の視線が交差した。

 現実世界で、それぞれの孤独を抱えながら、それでもこうして出会ってしまった四人の大人が、今、一つの意志となって動く。


 ナツキが管理権限を全員に分配し、

 マルモが全ての熱量を供給し、

 カズヤが最適解を演算し、

 そしてユタカが、それら全てを『ラリー』の軌道へと乗せる。


 だが、攻撃が着弾する直前、ホイールの最上部――地獄の頂点にある「支配者のゴンドラ」が、音を立てて開き始めた。


 そこから現れたのは、巨大な「時計の針」を剣のように携えた、鏡像の騎士。


「……あいつ、まだ隠し玉を持ってやがったか」


 ナツキが盾を構え直す。

 重力、遠心力、そして過去のトラウマ。


それら全てを回転させ続ける『フォーエバー・ホイール』の真の恐怖は、ここから始まろうとしていた。


「ユタカ、次は俺が合わせる! お前のラリーに俺の『説教』を乗せてやるよ!」


「ああ、頼むよナツキ! この終わらない残業、ここで終止符を打ってやる!」


 四人の咆哮が、鋼鉄の迷宮に響き渡る。


 ホイールの頂上、支配者のゴンドラから姿を現したのは、全身を漆黒のクロムで固めたような鏡像の騎士だった。


その背中には、現実の時計の針を模した二本の巨大な大剣――『定時デッドライン』と『残業オーバータイム』が交差するように背負われている。


「……ありゃあ、俺たちの『社会人としての死』を形にしたようなツラだな」


 ナツキが吐き捨てるように言い、二重顎を揺らして不敵に笑う。ホイールの回転はカズヤのハッキングで一時的に止まったものの、中心核から漏れ出す黒いノイズが、再びシステムを再起動させようと激しく火花を散らしている。


『【……粛正を開始します。……規定時間を過ぎた「バグ」に、明日は来ない】』


 鏡像の騎士が宙を舞い、巨大な針の剣『残業』を振り下ろした。


 それはただの物理攻撃ではない。


 剣が空気を切り裂くたび、周囲の時間が数秒だけ「巻き戻され」、避けたはずの攻撃が強制的にナツキの鼻先に引き戻される。


「くっ……! 攻撃が『確定フィックス』してやがる! カズヤ、こいつのロジックを解析しろ!」


「無茶を言うな! 奴はシステムクロックそのものを武器にしてるんだ! ……だが、不可能な演算じゃない!」


 カズヤの指が、残像が見えるほどの速度でコンソールを叩く。彼のHPは依然として『1』。騎士が放つ余波一つで即死する極限状態だ。


「マルモ、奴の『巻き戻し』を阻害する熱量を出せ! 分子の運動エネルギーを暴走させて、時間を無理やり未来へ押し進めるんだ!」


「よかばい! 任せとかんね! 『魔導調理:焦がし王子の地獄蒸し(スーパーノヴァ・スチーム)』ッ!!」


 マルモが鉄パイプを突き出す。

 漆黒の焔がホイール全体を包み込み、鋼鉄の骨組みが真っ赤に焼ける。熱によって空気が歪み、鏡像の騎士が展開していた「時間の巻き戻し」の精度が、物理的なノイズによってガタガタに崩れ始めた。


「今だ、ナツキ! 奴の精神的な『マウント』を叩き潰せ!」


 ユタカが白銀の芯を構え、ナツキの背後から跳躍する。


 ナツキが前に出た。巨大な盾を構え、腹の底から声を張り上げる。


「おい、鏡の中の騎士さんよぉ! 『明日が来ない』だぁ? ……そんなもん、俺たちは毎日職場で味わってんだわ! 定時を過ぎても終わらねえタスク、帰れない絶望、上司の顔色! ……そんなもん、異世界のOSにまで押し付けられてたまるかよッ!」


 ナツキの固有スキル『全方位メンタルガード』が、攻撃的な波動へと反転する。


 論理の刃が、騎士の存在理由である「規律」を真っ向から否定し、その精神的防壁メンタルを粉々に砕きにかかった。


「食らえ! 『不屈の魂・インパクト:休日出勤の怒り』ッ!!」


 指っぱっちんの衝撃波が、騎士の掲げる剣『残業』を真っ二つに叩き折った。


 物理的な破壊ではない。ナツキの「ふざけるな」という純粋な拒絶が、システムの整合性を上書きしたのだ。


「ユタカ、道は作った! 決めろッ!」


「ああ! ……パスを受け取ったよ、ナツキ!」


 ユタカが空中で体をひねり、折れた剣の破片を『芯』で捉える。


 彼の固有スキル『星霜のラリー(クロノス・ストローク)』が発動し、砕け散った騎士の武器が、逆に騎士自身を穿つ「光のラリー球」へと再定義された。


「カズヤ、座標を固定してくれ!」


「完了……! 奴の心臓部、OS直結のクロック・ジェネレーターにロックオン!」


 カズヤの叫びと同時に、ユタカが全身全霊のスイングを放つ。


 白銀の芯が描く軌道に、マルモの焔が纏わりつき、ナツキの防御権限が「貫通力」として付与される。


「『共有アセット:フルハウス・スマッシュ』!!」


 放たれた一撃は、鏡像の騎士を貫き、背後の『フォーエバー・ホイール』の回転軸を直撃した。


 瞬間、天を突く巨大な観覧車が、中心から爆散し始めた。


「……やったか?」


 マルモが息を切らしながら呟く。

 だが、崩壊するホイールの瓦礫の中から、さらなる「不協和音」が響き渡った。


 OSの怒りは、騎士を倒した程度では収まらなかったのだ。


『【……エラー、エラー、致命的なエラー。……バグの駆除に失敗。……全システムをパージし、この『箱庭』ごと初期化フォーマットします】』


 エターナル・ランドの地面が、文字通り「消滅」し始める。


 データが削除され、灰色の虚無が世界を飲み込み始めた。


「おいおいおい! 負けそうになったからって、リセットボタンを押すガキかよ!」


 ナツキが叫ぶ。足場が消え、四人は無限の虚無へと落下し始めた。


「……いや、まだだ。ナツキ、インベントリを開け! あの『キャンピングカー』があるだろ!」


 カズヤの言葉に、ナツキが即座に反応した。


 管理者権限を使い、共有インベントリから巨大な影を呼び出す。


 彼らの拠点であり、唯一の「安息の地」――魔導キャンピングカー『トリオ・ハウス』。


「マルモ、魔導エンジンを最大まで吹かせ! 落下速度を推進力に変えるんだ!」

「分かったばい! 『強火』どころか、こいつは『オーブン予熱なし・限界突破』たい!!」


 虚無の中、落下するキャンピングカーに四人が飛び乗る。


 マルモの焔がエンジンを唸らせ、車体は暗闇を切り裂く「彗星」となって、初期化される世界からの脱出を開始した。


「……これで終わらせてやる。OSの野郎、直接そのツラ拝みに行ってやるぜ」


 ハンドルを握るナツキの横で、ユタカが『芯』を握り直した。


 初期化される世界の最深部、そこには、この世界の創造主たる「おじさん」の正体が待っているはずだった。


 灰色の虚無がエターナル・ランドを侵食し、世界の境界線が砂のように崩れ落ちていく。


 その絶望的な暗闇の中を、魔導キャンピングカー『トリオ・ハウス』が猛烈な勢いで突き進んでいた。車体からはマルモの放つ漆黒の焔が噴射炎アフターバーナーのように伸び、初期化の波を強引に押し返している。


「ナツキ! 舵を左だ! このままじゃ削除コードの渦に飲み込まれるぞ!」


 カズヤが助手席で身を乗り出し、激しく火花を散らす端末の画面を指差した。彼の瞳には、現実のエンジニア時代に幾度も目にしてきた「システム崩壊」の光景が重なっていた。だが、あの頃と違うのは、横に信頼できる「馬鹿な仲間」がいることだ。


「分かってんだよ! このデカブツは小回りが利かねえんだわ!」


 ナツキがどっしりとした体でハンドルを力任せに切る。車体が軋み、共有インベントリから溢れ出したアイテムが車内で踊る。


 正面、虚無の最深部。そこに、黄金の回路を剥き出しにした「心臓コア」が見えた。それこそがエターナル・ランドを支配し、彼らを翻弄し続けてきたOSの本尊だった。


『【……往往生際の悪い。……消えなさい。……あなたたちの「青春」など、保存する価値のない一時テンポラリデータに過ぎないのです】』


 コアから放たれたのは、巨大な「×」印の形をした削除プログラムの奔流。それは触れたものの存在定義を抹消し、根源から消し去る死の光だ。


「……価値があるかないか、決めるのはアンタじゃない」


 後部ハッチを開け、屋根の上に飛び出したのはユタカだった。風圧に晒されながらも、白銀の芯を構える姿には微塵の揺らぎもない。


 その後ろには、鉄パイプを杖のように突いたマルモが立つ。


「よかばい、ユタカ。おいたちの『無駄』を、思い知らせてやるたい!」


「ああ! カズヤ、全リソースを俺に回せ!」


「了解……! 全権限解放、オーバークロック! ナツキ、防御権限をユタカの『芯』に集束コンパイルして!」


 ナツキがインベントリのパネルを叩きつける。


「持っていけユタカ! これが俺たちの……今日まで生きてきた『重み』だッ!」


 ナツキの『全方位メンタルガード』、マルモの『クッキング・マジック』、そしてカズヤの『特異点偽装』。四人の固有スキルが、共有シェア権限によってユタカの持つ白銀の芯へと一点集中のマージ(統合)を果たす。


 白銀だった芯が、七色の光を放ち、巨大な光のラケットを形成した。


「いくぞ……『共有アセット:零式・因果破砕ジ・エンド・オブ・ラリー』!!」


 ユタカが跳躍した。

 迫りくる削除コードの光を、彼は逃げるどころか、真っ向から『芯』で受け止める。


 物理演算が悲鳴を上げ、キャンピングカーの屋根が衝撃で凹む。だが、ユタカの背中には、ナツキたちの「図太い精神」が、マルモの「誇り高い焔」が、カズヤの「緻密な意志」が重なっていた。


「……これは、ただのゲームじゃない。俺たちが、俺たちらしくあるための……『居場所』なんだッ!」


 渾身のスイング。

 削除プログラムという名の「死」が、因果を逆転させたラリーによって、OSのコアへと打ち返された。

 

 ――ズガァァァァァンッ!!


 黄金のコアが、自らが放った削除コードによって内側から崩壊を始める。


 システムに生じた巨大なバグの亀裂から、現実世界の「ノイズ」が漏れ出した。

 

 ――『課長、この資料の修正なんですけど……』

 ――『あー、今日も残業確定だな……』

 ――『お前、もっと効率よく動けねえのかよ……』


 それは、彼らが逃げ出したかった現実の声。

 しかし、今の彼らには、その声さえも心地よいBGMに過ぎなかった。


「……ふぅ。これで一件落着か?」


 崩壊し、リブート(再起動)を始めた世界の中で、ナツキがキャンピングカーを止め、ふぅと長い息を吐いた。


 初期化が止まった世界は、灰色の虚無から、美しい夕焼け空へと描き直されていく。


「効率は最低、納期は遅延。……でも、最高のプロジェクトだったね」


 カズヤがホログラムの眼鏡を拭い、薄く笑う。


「ガッハッハ! 次は飯たい! ナツキ、インベントリに旨か肉ば残しとるやろうもん!」


「分かってるよ。特上カルビだ。マルモ、『強火』で頼むぜ」


 ナツキがそう言って、ユタカに視線を送った。


 ユタカは、手元に残った白銀の芯を見つめ、それから空を見上げた。


「……ああ。次のセットも、最高のラリーをしよう」


 彼らの戦いはまだ続く。

 エターナル・ランドの深淵に潜む、この世界の「本当の創造主」に出会うまで。


 あるいは、現実世界の自分たちを、もう少しだけ好きになれるその日まで。


 四人の大人たちの「放課後」は、まだ始まったばかりだった。


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