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制服を作れ!

「公爵様。どれにいたしましょう?」


「う~ん」


 ここは俺の屋敷の応接間。今ここには、俺とアイリ、そして俺の領内で一番大きい服飾関係の商会の担当者がいる。


 その商会の担当者が、机の上に制服のサンプルを並べていた。


 このサンプルは勿論、建設中の山下鉄道の制服サンプルだ。制服は従業員に自分たちの所属を意識させるとともに、その士気の高揚や、宣伝効果と言ったいくつもの役割を担う大切なものだ。


 とは言うものの、俺にデザイン能力は皆無なので、地球の幾つかの鉄道会社の制服から、俺の好みのデザインのものを数種類チョイスして提示し、それをモデルにサンプル作成を商会に依頼した。


 モデルになったのは、昔懐かしい詰襟のものや、比較的最近の開襟タイプ、さらにはアニメに出てくる某宇宙を走る鉄道会社の制服まで。


 個人的にはアニメモデルの制服は夢があるんだけど、ネクタイとセットにした現代的な開襟タイプも捨てがたいんだよね。


 ちなみに、男女双方のを用意してもらった。女性用のは体格に合わせて、スカートも準備している。この世界だと、女性の衣服はスカートというイメージが強いみたいだし。むしろ、パンツスタイルはせいぜい乗馬用しか見たことないな。


「アイリ、君だったらどれがいいと思う?」


 一応ここは、他者の意見も聞いておこう。


「そうですね・・・私はこれが好きですね」


「詰襟タイプか」


 アイリが選んだのは、詰襟タイプだけどモールなんかで装飾を多めにしたやつ。地球の昔の軍隊の礼服を思い浮かべればいいだろうか。確かに目立つし、デザイン的には悪くないんだけど、日常使いするには派手過ぎる。せいぜい、儀礼用だな。


 日常使いにするな、同じ詰襟でももう少しシンプルなタイプだな。


「開襟タイプはどう思う?」


 俺はアイリに意見を求めた。


「はあ・・・あまり馴染みがないので、何というか良くもなければ悪くもないといいますか・・・」


 言葉を濁したけど、おススメしないという顔だ。確かにな、この世界じゃまだ開襟とネクタイの組み合わせ普及してないんだよな。そうなると、社員としても着にくいかな。


「じゃあ、こっちは?」


 今度はアニメモデルの制服について、聞いてみる。


「こちらの方が、しっくりきますね。ただ、私的には落ち着き過ぎだと思います」


「そっか・・・よし」


 俺はまず、詰襟タイプの服については儀礼用として採用することにした。そして、日常使い用としては、アニメモデルの制服に役職で少しずつ装飾を加えるように頼んだ。具体的には駅長にはモールを増やすとか、同じ車掌でも車掌長には線を増やすとかだ。


「畏まりました。では、そのように手直しいたします・・・ところで、公爵様はどうされます?社長なので、専用の服作りますか?」


「いや、儀礼用の服に社長と分かる装飾を付け加えてくれればいいよ。悪目立ちも嫌だしね」


「わかりました・・・では、早速戻って作り直します」


「悪いね」


「いえ、これもビジネスですから」


 デザインが決まったら、今度は全社員分納品してもらう必要があるし、さらに機関士などの現業員が作業中に着る作業着の納品もある。商会には迷惑をかけるが、その分金は払うけどね。


「あ、それと例の件はどうされます?」


「そっちは、今度来た時でいいよ」


「畏まりました」


 担当者が出ていくと、アイリが首を傾げる。


「あの、例の件とは?私聞いておりませんが」


「それは君にも言えないよ・・・まあ、お楽しみと言うことで」


「はあ」


 こればかりは、彼女には絶対に秘密だ。まさか、アイリのドレスを頼んでいるとは、言えないからね。

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