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第29話 魔法使いの戦い

受験終わりました! 小説投稿再開してきます

目の前には女の魔族。そして辺りは、半径10m程度のドーム状の結界で覆われている。隔離された。きっとそれはお猿さんでもわかるだろう。問題なのは、結界の術式だ。高度な結界術を持ったものはその限りではないが。大体の結界は、内側からしか展開することができない。そして結界を破る条件。それは結界を作っている『依代』を破壊すること。もう一つは発動者を直接殺すこと。大体がこの二つに限られる。


「びっくりした? すごいでしょ。この結界」


魔族はニチャリと嫌な笑みを浮かべながら、自慢気に話す。


「ヴェオス様はね? 条件付きの結界を作れるのよ? そして、この結界の破壊条件は、結界内の生物が一人以下になること」

「どう? すごいでしょ」


普通、自ら手の内を晒す者は間抜けや低知能に分類される。だがこの魔族が手の内を晒すのは明らかにこちらを低位の存在と見下した態度だ。今はそれが不気味で不気味でならない。


「自ら手の内を晒すなんて、あなたは間抜けなのかしら?」


自分の恐怖、畏怖のような感情を誤魔化すように、相手を煽る。


「人間風情に手の内を晒したところで、変わるのは死に顔くらいよ? 私はその顔がたまらなく好きなの」

「貴女は、どんな死に顔を見せてくれるのかしら?」


背筋が震える。筋肉が収縮する。薄暗い結界の中で、戦いの火蓋は切られた。


串刺しの魔法(アピース)


槍のような、銛のような鋭い刺が額を掠める。地面からだ。この攻撃は地面から生えてくる。そして、攻撃は、次に次へと続いて出てくる。


「【速度強化:初級】」


瞬間、脚に力が漲る。次々に繰り出される攻撃を跳躍と疾走で回避する。次第に強化された身体に感覚が順応していき、回避の動きは最適化されていく。私が進めば、ついさっきいた場所には刺。進めば後ろに刺。それの繰り返し。その内あることに気がつく。


――魔族が動いていない?


刺が出ている間、本体も私を攻撃すれば容易に殺せるだろう。なのにそうしない。魔族はその場所から一歩も動こうとしない。ここから導き出される答えは、


――刺の攻撃中は本体は動くことができない


ならば話は早い。魔族が刺の攻撃を繰り出している途中に、本体を狙い攻撃をすればいい話だ。


「【速度強化:中級】」


本日二度目の速度強化。しかし、階級を一つ上げた。これなら刺を避けながら本体に攻撃をすることができる。


追ってくる攻撃を避けながら、結界の障壁を蹴る。私の身体は一気に魔族に近づく。そして杖の先は魔族の頭に向いている。


「【魔力光閃(ヴィイム・マジック)】」


光閃は、魔族の頭に向かい放たれた。しかし、その光閃は、すんでのところで阻まれている。


「なっ!」

「はい。バリア」

「勝てると思った? 世の中そう甘くいてくれないわよ?」


魔族の顔のほぼ目の前で光閃が止められている。多分、私が攻撃に転じたのを感じ取って、攻撃を解除して防御のための術式を展開した。きっとそれが正しい。


「バリアは魔力の消費は激しいけど、発動してる間はどんな攻撃でも無効にできるのよ? ま、多少の制約はあるけどね」


相変わらずの舐めプ具合に腹が立つ。だが、有力な情報が手に入った。『魔力の消費が激しい』これは、最も基本的だけど、最も重要な弱点。この穴をつけば、この魔族を倒すことができるかもしれない。まずはこのバリアを展開させ続けるために強力な攻撃魔法を連続で浴びせ続ける。そのためにもまずは、さっきのように攻撃のチャンスを伺う必要がある。


そうこうしている内に、魔族がまた攻撃の術式を展開させる。地面から刺が生える。避ける。またその繰り返しだと思っていた。しかし、想像とは裏腹に……。


「な……!」


生えてきた刺は空を舞い、こっちに向かって飛んでくる。なんとか紙一重のところで回避することはできたが、これが継続するとなるとまずい。


「――くっ!」

「防御魔法展開」


飛んでくる刺に刺さらないよう私を六角形の盾の魔法がかばう。そして攻撃の隙を突き、反撃を開始する。


「ヴィイム・マジック」


高濃度に圧縮された魔法の光が、魔族の腹を穿つ。しかし相手は魔族。すぐに体を再生させ、こちらに魔法陣を向ける。


「そんなにやわじゃないのよ?」

「アピース・II」


瞬間。無数の刺が鳥かごのように周りを囲う。まもなく、この刺は私目掛けて、放たれるだろう。


「半球形・防御展開」


全方位を覆う形の防御魔法が生成され。刺を弾く。しかし今回の刺は数が多すぎた。いくつかの刺は防御の隙間をかいくぐり、私の下へ辿り着く。防御を超えた刺は、私の左腕を掠めた。


「痛っ!」


腕が痛い。でも、当たったのが左腕でよかった。右だったら杖を離してしまっていたかもしれない。杖を離してしまったら、防御魔法が壊れていたかもしれない。こんなことは考えていてもしょうがない。必要なのは前を向くのに必要なことだけ。


「どうかしらん? そろそろその防御はつらいんじゃなぁい?」


図星だ。この防御魔法は魔力の消耗も早く、しかも発動中は他の魔法を使えない。私が左腕を回復させていないことから、相手もそれに気がついているだろう。


「防御解除」


全面に展開していた防御魔法を全て解除する。防御は全て杖による魔法だけで行う。我ながら無理矢理過ぎる戦法だが、理論上はこれで勝てるので問題はない。


「【放出魔法】」


杖の先から放出した魔力の衝撃波で刺をかいくぐりながら進む。体をトゲが傷つけるが、弾いてるため致命傷になることは無い。傷は回復魔法で治せる。これを続ければ敵を倒せる。


「ちょ……! 何やってるのよ!気持ち悪い。あんた本当に人間なわけ?」


私は血塗れの顔面を使い、口を大きく開け、笑う。全身は血に染まり、目の瞳孔は開いている。体中が痛いが、この痛みが逆に意識が絶えるのを阻止してくれている。


「あー気持ち悪。ただでさえブッサイクなガキッ面が更に酷くなってるわ」


飛んでくる刺のスピードが更に増してくる。それに合わせて私が杖で刺を弾くスピードも上がってくる。


「あーもう。しぶっといわね。さっさと死んd――」

「グヴォッホォ!」


――私は尽きかけの魔力で、魔族を魔法陣ごと結界の境、壁面に叩きつけた。

デスノート見たんですよ!! すっげーよかったです。

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