第10話・入学
半年近く間を開けてしまい申し訳ありませんでした、それではどうぞお読み下さい。
今日はリュートが王都に旅立つ日、テニオレヒト家には王都行きの馬車が来ていた。
「じゃあねリュート、身体に気を付けて、ご飯ちゃんと食べるのよ。」
「わかってるよ。」
「それと、あまりこの間みたいな無茶はするなよ。」
「……善処します。」
笑っているランディの言葉に目を逸らすリュート、因みにこの間というのはティグリオとの闘いの事である。
「兄ちゃん、俺も魔法学校入れるように勉強するね。」
「おう、頑張れよ。」
意気込んでいるカイトの頭を撫でるリュート。
「それじゃ、そろそろ行きましょ。」
キャスリーがリュートの肩に乗る。
「そうだな、じゃあ、長い休みには帰ってくるから。」
リュートはキャスリーを肩に乗せたまま馬車に乗る。
「それじゃあ、出発しますよ、はいっ!」
騎手の男が馬を走らせる。
「行ってきまーす!」
家族に向かって大きく腕を振るリュート。
「「「いってらっしゃーい!!!」」」
家族三人もリュートに向かって大きく腕を振る、特にカイトは元気良くジャンプしながら両手を振るっている。
「やっぱり寂しい?」
「まあな……」
キャスリーの問いかけに少し寂しげな表情で答えるリュート、騎手の男はキャスリーが見えていないのでリュートが一人で話してるとしか思えず、不思議そうな顔をしている。
=====
「えー、皆さんに新しい仲間を紹介します、今日からこのクラスに編入してきた、リュート・テニオレヒトくんです。」
王都の魔法学校に到着したリュート、編入してきたリュートを眼鏡をかけた女性の教官がリュートを紹介している、キャスリーは散歩に出てしまったためいない。
「リュート・テニオレヒトです、よろしくお願いします。」
頭を下げるリュート。
「あのティグリオとやり合った奴だ……」
「噂は本当だったのか……」
リュートを見てひそひそと話す生徒達、リュートは居心地の悪そうな顔だ。
「静かに! ではリュート君、君の席は……右の角です。」
「うっす。」
リュートは言われた席へと移動し、座る。
「よろしくね。」
隣の席のショートカットの活発な印象を与える少女が話しかけてきた。
「アビゲイル・エイヴォリーよ。」
「リュート・テニオレヒトだ。」
そして、授業が始まった。教官は生徒達の方を見て教科書を読みながら魔法でチョークを操り、背後の黒板に文字を書く。
(さすがは教員だな……あんな器用な魔法を……)
「ねえリュート。」
「ん?」
アビゲイルが小声で話しかけてきた。
「あのティグリオと闘ったって話、本当なの?」
「あ、ああ……まあな。」
「すごいじゃん、熟練の冒険者パーティーをたった一人でボコボコにするような奴と一対一で闘うなんてさ!」
「あー……まあ、結局、引き分けで終わっちまったし……」
「それでも凄いよ、あんな化け物と闘うなんて!」
(ち……近い……)
アビゲイルの勢いに戸惑うリュート、実際アビゲイルは顔をかなり近づけていた、そうしていると、突然チョークがアビゲイルの顔に付きつけられる。
「エイヴォリーさん、授業中ですよ。」
「……ごめんなさい」
眼鏡をクイッと直しながら睨む教官、ビビった様子のアビゲイルは姿勢を正す。
「では、1時限目の授業はここまでとします。」
鐘が鳴ったので1時限目の授業を終わらせる教官。
「リュート!」
入り口の方から名前を呼ばれたので目を向けるリュート、そこにはアリカとキャロルがいた。
「アリカ! キャロル!」
アリカとキャロルはリュートに駆け寄って来た。
「無事合格したんだね、おめでとう!」
「おう。」
「試験でなんかトラブルがあったみたいだけど大丈夫だったの?」
アリカが心配そうに尋ねてきた。
「ああ、なんか実技で教頭が暴走してよ、まあ無事に終わったぜ。」
「そうなんだ、良かった。」
「2人共、リュートと知り合いなの?」
アビゲイルが話に入って来た、どうやら2人と仲が良いようだ。
「うん、この間ティグリオから助けてもらって……」
「え、ひょっとしてリュートがティグリオから助けた女の子って、アリカだったの?」
「うん、まあそういう事。」
「へー、早速学園で人気の女の子を助けるなんて、やるじゃんリュート。」
ニヤニヤ笑いながら指でリュートの肩をツンツンと突くアビゲイル。
「よせよ、そんなつもりじゃねーから」
そして、そのまま談笑を始める4人、しかし、その4人の中のリュートを反対側の席から三人の少年が睨みつけていた。




