第7話
「結ちゃんは、素直じゃないですね」
「そ、そんな事はありませんわ!? そ、それより、週明けにまた転入生がくると言う話ですけど、秋菜先輩は前田先輩から何か聞いていませんか?」
秋菜は結の様子にくすくすと笑うと結は話をすり替えようとするが、結の中では理音は先輩扱いのようである。
「転入生ですか? いえ、理音くんからは特に何も聞いてないです。後、結ちゃん、理音くんは先輩ではなく」
「あー、良いのですわ。あの男を理事長などと結は認めませんわ」
「み、認めなくても理事長なんですけど」
秋菜は理音からは何も聞いていないと答えると結に理音の立場を考えて欲しいと言うが、結はその言葉を直ぐに却下し、秋菜は苦笑いを浮かべた。
「しかし、秋菜先輩でも何も知りませんか? まったく、あの男は秘密主義で困りますわ」
「どちらかと言えば聞かれないから答えないって感じですけどね。それで、結ちゃんがそんな話をするなんて、どうかしたんですか?」
「いえ、クラスの女子が騒いでましたので、結は興味などないのですが」
「クラスの子達に頼まれたんですね」
結は理音の顔を思い浮かべて舌打ちをすると秋菜は結はあまり転入生に興味を示すタイプではないため、首を傾げる。結は自分だって聞きたくないと言いたげにため息を吐くと秋菜は素直ではないが頼まれると断り切れない彼女の性格を好ましく思っているようで優しげな笑みを浮かべる。
「はい。それで、中にはあのうさんくさい男が動いていると言う噂も出てきて、噂だけが独り立ちしているのですわ」
「うさんくさい男って、結ちゃん、黒須先輩の事をそんな風に言ってはダメですよ」
「……伐お兄ちゃん、優しいです」
結は噂の中に嫌いな人間が混じっているようで舌打ちをすると、秋菜と怜生はその男が3年生である『黒須伐』だと気が付き、結にあまり悪く言わないように言う。
「いえ、あの男はこの世から消してしまうのが世のためですわ」
「えーと、黒須先輩と結ちゃんに何があったんでしょうか?」
「わからないです」
しかし、結は伐に良い印象が皆無のようであり、物騒な事を言い、秋菜は苦笑いを浮かべ、怜生は首を横に振った。
「えーと、とりあえず、後で理音くんに転入生の事を聞いておきますけど、名前ってわかりますか? ウチの学園は転入生が多いですから、噂になっている人かどうかもわからないですし」
「そうですわ。えーと、ですね。確か浅倉奏と言ったはずですわ。学年は秋菜先輩達と同じ2年生のはずですわ」
「浅倉奏? ……女の子達が騒いでいたって事は男の子ですよね?」
秋菜は理音に転入生の事を聞いてみると言った後に、奏と言う性別の分かりにくい名に首を傾げる。
「……微妙ですわ。名前もですが、うちの学校はみあ先輩が作ったBL研究会の他にGL研究会と言うおかしな研究会もありますから、女子が騒いでいても男子か女子かわかしませんわね」
「そ、それに関しても聞いてみますね」
「お姉ちゃん、怜生くん、帰ろう♪」
結も性別に関しては聞いていなく、失念だと思ったようで眉間にしわを寄せると、秋菜は苦笑いを浮かべた時、子供達と心おきなく遊んだようで満面の笑みを浮かべた深秋が顔を出す。
「はい。それじゃあ、結ちゃん、私と怜生くんはこれで失礼しますね」
「はい。それでは、よろしくお願いしますわ」
秋菜と怜生は結に頭を下げると2人で深秋のところに歩き、3人は吉井家に向かって歩き始める。




