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元引きこもりが強箱スキルで異世界勇者っ!!  作者: 大石次郎


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33話 リドル

潮騒と潮風の中にウーシエはいた。


感傷に浸ってる間はなく、ベルトに仕込んだ闇の魔法道具で姿と気配を隠し物陰で様子を伺う。


海辺の洞窟付近は騎士団を中心に、冒険者ギルド、聖教会、水産海運業者の護衛団、シーサハギンと対立関係にある人魚(アクアピープル)達が混成で嗅ぎ回っていた。


(邪教徒もシーサハギン達も浮かれて雑に立ち回るからだ。魔族の方が余程狡猾で質が悪い。だが王都の魔除けでヤツらは制限を受ける、か···私は魔族なのだろうか? よく、わからない)


目眩を感じたが、ぼんやりとしていられなかった。ウーシエはその場を静かに去った。


漠然と『仕事』はある。それだけであった。


一方、


「んはぁ〜っ、奮発した甲斐あったわー!」


「磯臭ぁっ!」


「ワタシノめんてなんすりすくガアリマス」


リリンとミゼヤッポとゴーレムが中古の飛行絨毯で飛来し、海辺の探索隊に手を振って合流した。


「御苦労さん! 港の本陣から伝わってるよ、梅の魔女と食いしん坊忍者だな?」


「桜の魔女リリンさん、やっちゅうねんっっ」


「その通り名ほんとに広められると思ってなかったぞっ?!」


「お、おう···取り敢えず鑑定だ」


降りてきた2人に、騎士団の担当者が魔法道具でテキパキと鑑定を済ませた。


「迷いと隠しの術があちこち掛けてあるのとトラップも多くてな、すぐそこのはずの洞窟に中々近付けない状況だ。各隊が受け持ち区画を1つずつ潰してゆく必要がある」


「なんや、めんどっちぃなぁ!」


「いやまぁそうだが、そういう依頼だったろ?」


「シーフード食べたいんだぞっ?」


「仮設野営地では出るよ。だがっ、まず仕事してくれ! ええと、この先の区画が担当なんだが···」


「事前資料ト誤差アリ」


リリンとミゼヤッポとゴーレムは騎士団員から詳細を聞き始めた。


_____



繁華街裏手の路地を進み続けると徐々に辺りに負の魔力が立ち込め始め、迷いと隠しの術が利き始めた。


資料と、ある程度解除されてなかったからすんなり進めなかっただろう。


「途中までもまだ相手の術が残ってるんだな」


ないはずの通路に進む時なんかは壁の中にめり込んでくこともあってやり辛い。


ゼオラ領の時と違い、魔物やならず者が徒党組んでたりしないだけマシか?


「近々、王都全域の魔除けを強化する計画があるようです。費用が嵩むでしょう。国費は有限です。タケルさん、頑張って」


「えー? 国、からいきなり『俺』に話飛ぶのどうかなぁ···」


「がんばらないと、うふふ」


なんて言いながらも進んでゆくと、タープを張るだけの超簡素な小さな魔除けの野営地が組まれていて、そこにぬいぐるみみたいな2人がいた。


栗鼠型獣人ワースクワール族とオコジョ型獣人ワーオコジョ族だ。


要注意なはずの栗鼠の方の獣人は大量の栗鼠型使い魔の調整中で、オコジョの方は『謎の魔方陣』の調整中だった。


「可愛いですね···」


グッときたユミィ。わかる。狭いとこでカワイイが渋滞している。


「おいっ、初見でプリティは小型獣人族に対してセンシティブだぜ?!」


「こちとら2人とも成人男性だいっ!」


成人男性だった。


「オレは人形使いにして召喚師、ヤミー・キューだ!」


栗鼠の方の成人男性。


「オレは錬成師にして結界師、ヨンヨン・テブルだ!」


オコジョの方の成人男性。


「「2人合わせてヤミー&ヨンヨン!!」」


協力してポーズを取るヤミーとヨンヨンっ!


「か、可愛いぃ···」


メリメロになるユミィ。


「おいっ、しみじみとプリティは小型獣人族に対してセンシティブだぜ?!」


「こちとら」


「待て待てっ、ループしてる! 怖い怖いっ。俺達はタケルとユミィ。このルートの遠距離探知のサポートに来たんだ」


好きにさせると藪から棒に手強いっ。


「おーん? よし、鑑定だ相棒!」


「合点っ!」


俺達はスティック型の鑑定魔法道具で念入りに本物か探知された。この件もちょっと可愛い。


「どうやら人のようだな」


「命拾いしたな?」


「ああ、まぁ。とにかくっ、遠距離探知ていうのはその栗鼠の使い魔達で?」


「そうだ! オレの使い魔を」


「オレの使い魔強化魔方陣でパワーアップさせるっ。ここの迷いと隠しの術はややこしいから、色々工夫してみたんだ。オレ達、プリティだから教会から甘く見られてだいぶ外れっぽいルートに配置されちゃったしな!」


「『超強化探知使い魔軍団』で1発逆転だ!!」


「きゃっほーっ!!」


「···タケルさん、これがメモの?」


「···たぶん」


なるほど、確かにやらかしそうだ。


「あのさ、それなんだけど、ちょっと使い魔の調整なんかをソフティーな感じに」


「時は来たっ、やるぜ! 相棒ぅっ」


「合点だぁっ!!」


ヨンヨンはあれこれ魔法触媒を置いた魔方陣を起動させた!


これに連結させてあったらしい全ての栗鼠使い魔達が猛烈に強化されて毛を? 逆立てるっ。


「きたきたぁっ!!」


いやこれは、遠距離探知するパワーなのか?! ヤミーも凄い魔力を纏ってるっ。


「行けっ! 全てのまやかしを突破ぁあ!!!」


「アタックアタックアタぁぁック!!!」


爆発的に歪んだ空間の路地の向こうに突進してゆく使い魔栗鼠軍団!


「おおお??」


「タケルさん、補助魔法の準備をしておきます」


「そうだな、じゃ、俺は回復とガード、かな?」


休眠箱と鉄箱をいつでも出せる構えを取った。


そして、


バチィッッ!!!


「わっ?」


「ぎゃんっ?!」


ヨンヨンの強化魔法陣が破られ、使い魔と共鳴して魔力を纏っていたヤミーは魔力を全て消し飛ばされて一撃で昏倒させられた!


即、ヤミーには休眠箱を突っ込んどくっ。


(死ぬか、合言葉を言うか? 選べ)


邪悪な思念が響いた。


謎掛け(リドル)です! 準備がないっ、答えてはいけません!!」


「よくも相棒をっ、合言葉なんか知るかぁ!」


短気なヨンヨン。え? これはありなのかな??


(···不正解)


「ダメかぁ!」


「言ったじゃないですかぁっ」


次の瞬間、空間ごと吸い込まれるように俺達は、板で勝手口が念入りに閉ざされた酒場の前に引きずり出されていた。


その店の薄汚れた壁は悪魔その物と一体化している。


周囲には引き裂かれて塵に変わりつつある栗鼠の使い魔群が散らばっていた。


「死をぅっっ!!!」


「はわぁ?!」


「バインドぉっ!」


「プロテクト! レジスト! ストロング!」


俺はなにか全体攻撃をしようとした壁の悪魔に偽装鉄箱を浴びせて止めっ、ユミィは全員に補助魔法を掛けた!


どうやら正解ルートではあるらしいが、いきなり詰み過ぎだ!!

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