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第六十四章
「はぁー、疲れたね」
ルナとマリアは、エンディミオン宮殿のだだっ広い廊下を並んで歩く。
「しっかしアイリス様、これからダンスパーティだなんて、疲れないのかしら」
「もし当番になったら、私たちも付き合うのよ」
「えー」とマリアは露骨に顔をしかめる。
「騒がしくて忙しくて、やだなあ……ん?」
ルナの顔をマリアが覗く。
「あめ、舐めてる?」
「ええ、さっき貰ったの」
「いーなー。もうないの」
「残念ながら」
「そう」
マリアはすぐに引き下がるが、実は嘘だ。
あと二つ、あめを隠している。
どうしてかは知らないが、アイリス姫から貰ったそれを、ルナは誰かに渡したくなかった。




