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第六十一章
結局、ウィルフレッドは『願い』を断念して、妹の部屋から退出した。
彼の『願い』は、常に叶わない物なのだ。今回の『願い』もやはり、はねつけられた。
「アレクシス王子、これはあなたを裏切った私への罰なのか……」
思い出すのは彼とさほど年の変わらぬ、『英雄』の凛々しい姿だ。
……ウィルフレッドは知らない。
アレクシスには美しすぎる妹、オーレリアの他に、内向的で人見知りで、恥ずかしがり屋のもう一人の妹がいたことを。
心弱く臆病なそのもう一人の妹は、ウィルフレッドの歓迎式典を体調を言い訳に休み、彼の姿を遠くからじっと見つめるだけだったと。
そして、今その少女は、ウィルフレッドの近くにまで迫って来ている。




