第四十三章
確かに御者台に二人いる。
どうやらどちらかは武器を持った手練れのようで、ここまで離れていても、危険な気配が察知できた。
「せめて昼間来ようとは、思わなかったのか?」
「昼は勤めがあります」
「なら君は寝ていないのか?」
ウィルが目を見張った。
「大した問題ではありません。私はあほではないので、体調の管理は出来ます」
「……意外と根に持つな」
「ウィル様、人をあほ呼ばわりしては行けません。あほと言ったほうが、あほです」
「子どもか君は」
「とにかく、私は捜し物があるので、ウィル様はお帰り下さい」
ふー、とウィルは目頭に手をやり、揉んだ。
「わかったよ。僕も探すのを手伝う……失言の償いだ」
「ウィル様が……?」
ルナがじっと見つめるが、ウィルの決意は固いようで目をそらさない。
「良いじゃないかルナ。丁度男手が必要なときだ」
ダンが言い、たの少年たちも頷く。
「誰だい? 彼らは」
「ここで知り合ったお友達です……では、ウィル様、少し手伝って下さい」
「ああ、分かりましたよお嬢様。で僕は何をすれば良いんだ?」
「ならにーちゃん、この机の端を持ってくれよ。どかすんだ」
「成る程、男手か……」
ぶつぶつ煩いウィルが鬱陶しいが、彼は確かに有用だった。
ゴミの中に放置されている机やらソファやらを、彼と少年たちが力を会わせて移動させる。
その下をルナが少し掘って確認し、ないと判断すると、違う家具へ向かう。
それを何度か繰り返す。
「ふー」とウィルが汗を拭う。
「何だか意外に辛いな」
「音を上げてはいられません。次はこのテーブルです」
それは大きなテーブルだった。
まだ脚もしっかりあり、壊れたようには見えない。
何故捨てられたのか。
「はいはい、んじゃ行くぞっ、せーの」
ウィルがかけ声をかけ、ダンとたちと大きなテーブルを持ち上げた。
「うわぁ」
その途端、ウィルが情けない声をあげてテーブルがあった場所の下に、ずるっと滑り落ちていく。




