第四十一章
「何だよブリスっ! 何を考えている」
ブリスの表情が強ばっているので、ダンは目を丸くして問うた。
「気を付けて下さい。怪我をしますよ。弾は入ってます」
ルナは何ともないように、彼らに注意する。
「ふ」とブリスは拳銃をくるりと回すと、ルナに手渡す。
「やっぱり、あんたはすごいよルナ……ちっとも動じなかった」
ブリスは自嘲している。
「だけど、オレたちなんかに拳銃を渡すなんて、どうかしている」
「危険はないと思ったからです」
それはルナが暗殺者としての技術を持っているからではない、ブリスが信用できたのだ。
「……でも、オレたちを信じてくれたのは、あんただけさ」
コームとゲルトは大きく頷いた。
「みんなオレたちを軽く見て、平気で騙すし、信じてももらえない」
ブリスはにこやかな笑みを浮かべているが、ルナには分かる。
彼は笑っていない。
彼女と同じ、作られた表情だ。
「ブリスさん」
ルナの胸が冷えた。この貧しい生活をしている少年に、なにを言ってやれば良いのか俄に思いつかなかった。
「……私はあなたが、危険な人じゃないと分かっています」
「何だよ」
ブリスはいつの間にか浮かべていた涙を、指で払った。
「それってオレたちを舐めているってことかい? あーあ、酷いなルナは」
明るい笑いが少年たちの間に起こる。
ルナも本当ににっこりとしてしまった。
その時気づいた。
スレイベルだ。




