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第三十五章


 一人席に取り残されたコリーは唖然としていた。


 アルコールで熱の上がる額に手をやり、少し考える。


 突然、目の前にいた少女が去って行った。


 聞きたいからと、散々彼に話させたのに。


 ──こりゃあ喋りすぎたか……?


 だが小柄で華奢な、可愛らしいあの銀髪の少女に知られたからとしても、大過ないようも思える。


「おや、コリー。あのお嬢さんはどうした?」


 酒場の店主が気づき、彼に問う。


「知らねーよ。いきなり帰りやがった」


 手にしたジョッキを置く。何でか常に美味いエールが、その時はまずく感じた。


 嫌な予感が、彼の心臓を打ち鳴らさせる。

「嫌われたな? まあここいらでは見かけん風体の娘だ。好奇心でここまで来たんだろう、で、案の定耐えられなくなった」


「知らねえって!」


 怒鳴り返すコリーは気づく。少女がいた席に革の小袋が置いてあった。


 手に取るとずっしりと重い。


「……忘れている……ぜ」


 振り返るが、少女は姿はない。



 何となく袋の口を開くと、ぎっしりと銀貨やらが入っていた。



 コリーは沈黙した。


 返そうにも相手はいない。


 やがて彼は勝手に納得する。


 ──これはオレの金だ。オレが拾ったんだから、そうだ、オレのだ!


 コリーはエール以外の酒を頼もうと、店主を呼んだ。




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