表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スキル「糸」を手に入れた転生者。糸をバカにする奴は全員ぶっ飛ばす  作者: Gai


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

828/1257

八百二十八話 別ベクトルの恐ろしさ

(う~~~ん……中々、近付けないね)


ハヌマーンとの戦闘が始まったスティームは楽し気な笑みを浮かべながらも、現在の戦況に少し困っていた。


「ウキャッキャッキャ!!」


ハヌマーンが操る武器は槍……ではなく棒。

しかし当然ながら、ただの棒ではない。


強度が高いだけではなく、伸縮自在の効果を持つ。

アラッドはチラ見でその光景を見て「マジで孫悟空じゃん」と、心の中で思いっきりツッコんだ。


だが、スティームはその孫悟空という存在は知らないので、心が乱されることはなく、ただ笑みを浮かべながらどのようにして突破すれば良いかを考えていた。


(伸縮自在、本当に、良い効果だね)


伸縮効果を持っているとはいえ、離れた場所にいる敵に攻撃を当てるのであれば、元のサイズから伸ばさなければならない。

そして、それを連続で行うのであれば伸ばして戻す、伸ばして戻すを繰り返す必要がある。


一見……戻す際に隙が生まれるように思えるが、これがスティームの予想以上に速かった。


(下手に跳んでも、それこそ浮いてるところを狙われる。そこを躱しても……そのまま振り回されて潰される可能性も、ある)


ハヌマーンは毎度同じ位置まで戻してから伸ばしているのではなく、スティームが移動する度に毎回調整している。


「っ! 本当に器用……頭が回る? と言えば良いの、かな」


現在、ハヌマーンはその場から一歩も動いていない。


棒を伸ばすのにわざわざ踏ん張る必要はなく、魔力を纏った脚を振るい、魔力の蹴弾を時折飛ばし始めた。


(普通の攻撃で、これ。加えて、嫌がらせ攻撃も、無視出来ない……あのエルフの細剣士が、逃走を選んだ理由が、良く解る)


まず、並みの突進力がなければ近づくことすら出来ない。

そして棒の伸縮行為に関して、ハヌマーンは一切魔力を消費していない。


下手すれば、遊ばれて終わる可能背が十分にある。


(とりあえず、第一関門を、突破しないとね)


突きは身一つで躱し、スティームは双剣をその場で振るった。


「ホキャッッッッッ!!!!!!!!」


放たれた雷刃は弧を描き、白毛ボス猿の元へと向かった。


高い身体能力、優秀な武器を持っていようと、直撃すれば確実にダメージを負ってしまう攻撃。

普通なら回避、もしくは棒を振り回して防御という選択肢を取る。


だが……ハヌマーンが取った選択肢は、咆哮。


声一つで、スティームが放った雷刃をかき消した。


「凄いね」


「ッ!!!!」


ハヌマーンは雷刃の対処に意識を取られていた間も、棒の連続突きを止めていなかった。

ある程度位置も把握していたため、牽制にしては十分過ぎる。


ただ、スティームはそんじょそこらの双剣士とは速さが違う。


「ウキャキャキャキャッ!!!」


自分の無限連続突きを越えてきた。

追い詰められたと言えなくもない状況にもかかわらず、ハヌマーンは楽し気に笑いながら棒を振るい、迫る双剣を弾いて対処する。


(やっぱり、力では、上回られてるね)


ハヌマーンが再び距離を取ろうとせず、そのまま接近戦を続行するという選択肢を選び、ようやくスティームの攻撃が届く距離での戦いが始まった。


とはいえ、スティームの双剣が届く範囲にハヌマーンがいるとはいえ、寧ろハヌマーンにとって接近戦こそ特異な領域。


遠距離から相手を責め続け、敵の攻撃は自分に届かない……そんな状況も楽しくはある。

なによりからかい甲斐があるが、それを越えて接近戦を仕掛けて来てくれると、それはそれでテンションが上がる。


「ホキャキャッ!!!」


(武器が、完全に手の……延長線にある、といったところかな)


伸縮自在の棒は、接近戦であっても非常に優れている。

いきなり変化するリーチは、相手の虚を突くのに適している。


加えて、槍と違って攻撃個所は一つだけではなく、双剣を扱うスティームの方が一見手数では上回っているように見えても、その攻撃が届くかは別問題。


(堅牢、だね)


攻めるのが得意なのかと思えば、守りも堅い。


(それなら、もっと頑張れば良い話、だよね)


まだハヌマーンの手札を把握はしてない。

それでも、このまま同じような攻め方をするのは不毛な時間と判断し、スティームは超至近距離から雷刃や雷刺を放ち始めた。


「ホキャっ!?」


アラッドやラディアの様に、剣戟を行いながら攻撃魔法を連続で発動するような器用な真似は出来ない。


そこでスティームはわざと前後に動きながら放った雷刃や雷刺を操り、あたかも手数が増えたかのように戦い始めた。


既にハヌマーンも体に魔力を纏っており、本気ではない雷刃や刺突が当たったとしても、肉が抉られて血が流れることはない。

ただ、毛は焦げ……なにより、微量ではあるがダメージは入る。


「ウキャキャッ!!!!!」


再度、目の前の人間に面白さを感じて笑いながら、自身の白毛を針に変えて放った。


(っ!! そういう、嫌らしい攻撃もあるのか……本当に、Bランク?)


迫力、体格……そういった点に関しては、以前遭遇した轟炎竜や木竜、オーアルドラゴンなどには及ばない。

総合的な攻撃力といった点に関してもAランクには及ばないが……異様に対人戦に慣れている。


モンスターの身体能力を持ちながら、人間との戦いに慣れているというある種の恐ろしさを感じ取ったスティームは……それでも尚、笑みを浮かべ続けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ