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五十二話 そろそろ次のステップに移りたい

「よっと、本日も好調だな」


既にDランクモンスターとの戦闘にも慣れ、余裕でオークを一人で倒してしまう。

ただ、あまり速く倒し過ぎては意味がないと思い、実戦での戦闘訓練を長く経験するためにDランクより上のモンスターとの戦いでは最低一分は戦うと決めた。


FやEランクモンスターとの戦闘は全く相手にならないので、糸を使って瞬殺してしまう。


「悪いな、解体手伝ってもらって」


「いえいえ、寧ろ俺たちはこれぐらいしかやれることがないんで」


謙虚な態度で対応する兵士だが、Dランクのモンスターぐらいなら一人で倒せる実力は持っている。

しかしそんな実力を持つ兵士だが、今までアラッドがモンスターとの戦いで怪我を負ったという話を全く聞いたことがない。


結果、兵士二人とメイジ一人はアラッドの護衛として一緒に行動している時間……全く仕事をしていないのと同じだと三人だけではなく、今までアラッドの護衛に付いたことがある兵士とメイジは全員同じ事を一度は考えたことがある。


なので、護衛たちはせめて解体ぐらいは手伝おうと決めた。


「にしても、ブラックウルフのクロがいるのに全く逃げないよな」


「そうですねぇ~~。まだ子供ということもありますが、クロは気配……というより強さを隠すのが上手いのかもしれませんね。戦う時には勿論闘気を迸らせていますが、戦う前は本当に索敵にだけ力を入れて自分の存在を悟らせないようにして行動している、といった感じにみえます」


「強さを隠すのが上手い、か……なるほどね。それならクロよりランクが低いモンスターがクロを見て逃げないのも納得だ」


クロが本気で威嚇すれば、低ランクのモンスターの殆どは逃げ出してしまう。

Dランクのモンスターでも気圧されるモンスターが多いだろう。


ただ、プライドを優先して逃げないという選択肢を取る命知らずも多い。

逃げたところでクロの脚からは逃げられないので、戦おうが逃げようが結果は変わらない。


「ふぅ~~。よし、終わり……そろそろDランクモンスターとの戦闘も飽きてきたな」


「「「ッ!!!」」」


現在レベルは十七。

かなりの数を倒しているが、まだ二十台は超えていない。


しかし特異体質なアラッドはレベルが上がる度に身体能力と魔力量が他者と比べて大きく伸びる。

身体強化系のスキルを使わなければDランクモンスターと良い勝負になるが、強化系のスキルを使ってしまうと一気にイージーゲームになってしまう。


それが分かっているので、最近は強化系のスキルを使わずにモンスターを倒すことが多い。


ただ、戦闘系スキルは戦いで使ってなんぼのもの。

アラッド的にはそろそろCランクと戦いたいなと思い始めた。


そしてアラッドの言葉に護衛三人はあり得ない……アラッドが超超超強いというのは解かっているが、六歳児が言うセリフではないのだけは分かっていた。


「あ、アラッド様。さすがにもう少し年月が経ってから挑んだ方がよろしいのではないですか?」


「そ、そうですよ。Dランクの冒険者がCランクモンスターに瞬殺されてしまうって話は珍しくありません」


二人が言ったことは決して間違っていない。

そもそも六歳児がモンスターと戦うのがおかしい。

そしてDランクになったばかりの冒険者が無謀にもCランクのモンスターに挑み、何も出来ず殺されてしまうというのはよくある話。


「そうか? まぁ、母さんもCランクのモンスターからは倒す難易度が上がるって言ってたし……自分から探すのは止めとくか」


強化系のスキルや糸を解禁すれば、Dランクのモンスターが複数いても怪我を負うことなく倒せてしまう。

アラッドとしては是非Cランクのモンスターに挑戦したいところだが、護衛の三人としてはやや心臓に悪いので止めてほしい。


「クロはどうだ、今戦ってるモンスターと戦いたいか?」


「ワゥ!!!!」


「クロも俺と同じ気持ちみたいだな」


アラッドの相棒であるクロが賛成している事で、護衛たちの不安感が増す。

しかしブラックウルフのクロとアラッドがいれば、Cランクのモンスター一体であれば問題無く倒せると思ってしまっている部分がある。


(強いモンスターと戦いたいと言いつつも、あまり深い場所にはいかないようにしている。そう簡単にCランクのモンスターと遭遇することはないだろう)


兵士の一人が心の中でサラッとフラグを立ててしまった。

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