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手紙。
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このような事になってしまい、この婚約に関わった一人として、申し訳なく思います。
今解っつている事だけですが書きます。
カッティラ・ヴォールーニの関して
帝国の皇女と婚約。
喪が明け次第結婚、そして戴冠式をする予定。
この事は、皇女が公妃になって一緒に戴冠したいとの皇女の希望との事。
皇女に関して
皇女は、三十二歳、今まで、結婚の話しはあったのだけれども、たとえ皇帝一族であっても格下と言っては断り、他国の王族でも王妃になれない相手は断り、皇帝の一人娘で皇帝に可愛がられて育ち、相当な我儘で、気位が高いとの噂です。
今回の婚約について帝国側は、皇女が他国へ嫁ぐのであれば熨斗をつけてと言うのが本音の様で、公国と隣接するあまり生産性のない土地を付けての結婚話しを持って来たと言う訳の様です。
公国は、領地が増える事に目が眩みそれを受け入れた。
帝国側は、話しを持ってきたにすぎず、どうするのかは公国が決める事、公国と王国でどう決着するのかに関しては、一切関わらないと言う事でしょう。
エリシュカとアッティラの結婚は、そんな経緯から断行した結果行われ、それに反対した先代からいた側近は更迭、現大公の周りは、自分の言いなりになる者が半数以上を占めています。
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「読ませていただき、ありがとうございます叔母もこの短期間で、さすがですね」
「そうですわね。もう一通アッティラ様にお手紙がありますの」
「私に?」
「どうぞ」
ポケットから手紙を取り出し、アッティラに渡す。
”・・・”
手紙を読んだ瞬間、少々違う意味で驚いたというか、呆れたと言うか、何とも言い難い顔になる。
”こんな綱渡りのような届くかわからない手紙に書く内容ですか、まったく”
手紙の中身は、便箋の中心に一言大きく書かれているのみだった。
アッティラがその手紙を閉じ封筒に入れると、エリシュカの方を向く。
「王女殿」
「はい、何でしょうか?」
「王女殿は、これからどうしたいですか?」
「これからどうしたい、とは?」
「オールフェン国王が事情をご存じならば、協力をしていただく事も出来るでしょうし、王国に帰る事も可能かと」
「それは、わたくしに家に帰れ、と言う事でしょうか?」
「いえ、そういう訳ではないのですが、この結婚は事情が事情ですし」
「結婚は成立していますし、このままこちらに居たいのですけれども。ダメでしょうか?」
「王女殿がここみ居たいのであれば、構いませんが」
「ありがとうございます」