4話
4/19 全改定しました。
改めて見返したところ支離滅裂としか言いようがない内容を書き散らし、決着させずに放り投げただけだと感じたために一度は完結としましたが再度連載致します。
お目汚しをしてしまい申し訳ありませんでした。
「二人で訳分かんないことで盛り上がってるんじゃないわよ。それよりもカトリーヌ様がアンタとの面会をご所望よ、跪いて許しを請いなさい」
言い終わる前にピエールは最敬礼をとり、ヴィクトールは額突く。相変わらず貴族のくせに土下座がお上手ですこと。
「お待たせ致しました、カトリーヌ様」
私も礼をとり、カトリーヌ様と付き添いのジョゼットが入室する。
室内は一気に緊張感が増し、しばらくの間カトリーヌ様が跪くヴィクトールを見下ろした後、お言葉を発する。
「此度の件貴方も渦中にいらしたこと、まったく以て慮外千万でありました。残念でなりませんわ、貴方が関わっていたと知っていたら、もっと早期かつ穏便に収束を図ることも可能でしたのに。何か仰りたいことはありまして?」
昼間の百倍おっかないんですけど。
殿下達に対するときは子供を怒るような感じだったが、今のカトリーヌ様は罪人に裁きを下すかのようだ。
「恐れながら申し上げます。此度の件において私は浅はかな振る舞いを致しました。ガレリア王国の侯爵家に連なる身でありながら保身に走り、王太子殿下に忠を尽くさず、学友に対し正義を説くことを致しませんでした。このような不忠不義に申し開きなどできようはずありません。全てこの身の不徳の致すところ、如何様な裁きも受け入れる所存に御座います」
おお、あのカトリーヌ様に一歩も引かないとは。
いいぞ、それでいい。取るに足らない奴だと思われたら適当に処理されて終わりだ。まずは根性見せないと。
「お顔をお上げになって、ヴィクトール様」
ヴィクトールは面を上げ、カトリーヌ様と視線を交わす。怯むなよ、目を反らしたら負けだぞ。
「ルイーズさんからお聞きになられていると思いますが、私は今回の騒動の当事者たちの身分を剥奪し、平民として裁くつもりです。ヴィクトール様、私は貴方が横領に関与したという証拠を掴んでいません。
そしてそれは今後も見つかることはないでしょう、貴方は関わっていないのでしょうから」
まずは小手調べ。
「かといって、貴方の処分を軽くすることは躊躇われます。ただ一人のみ、処分を軽くすればはたして本当に適正な処分が行われたのかとの疑惑を招きます。ヴィクトール様、私は此度の件を収めるためならば真実に背こうとも貴方を謂われなき罪で裁くことを厭いません。それでも尚、受け入れるとおっしゃいますか?」
ビビるんじゃないぞ、これは確認だ。態々言ってやる必要ないことを長々と語ったのも全てはお前の覚悟を見る為。恐らくこれからお前が赦される為の条件が提示されるのだろう。
だからお前は示さなければならない、その救いの手が差し伸べられる価値のある人間だということを。
「無論に御座います。ですが、一つだけ。此度の件で謂われなき者が謂れのない扱いを受けること、それだけはなされぬよう伏してお願い申し上げます」
そう言ってこちらに一瞬目をくれたかと思うと、ヴィクトールは再び頭を下げる。
余計なことを言うんじゃないよ、大馬鹿が。人の心配してる場合か。言ってることが御立派すぎて、白々しい。まずいな、そんな芝居も見抜けぬカトリーヌ様じゃないぞ。
「それ程の覚悟をお持ちの貴方を貶めるのは忍びありません。私の方で精一杯取り計らいましょう」
あれ?通った。
「ですが、条件があります。私はこれより此度の騒動を収めるため行動します。貴方にはその手伝いをして頂きたい」
「寛大な処置に感謝致します。もとよりこの身の仕出かしたこと、収める為に奔走するは当然の事。非才の身ながら微力を尽くす所存に御座います」
何はともあれ放免への道は開かれた。そしてやはり条件は騒動の後始末か。
此度の王太子婚約破棄事件はすでに国内外でものすごい注目をされている。
そんな注目の的の事件を当事者の一人が苦労して解決に奔走する。そいつは処分が一人だけ軽いようだが、苦労してるみたいだし許してやってもいいか、と世間に思わせることができればクリアだ。
「では早速になりますが、こちらをご覧ください。今回の事件の詳細及び横領や殿下達のサボタージュでストップした政務によって発生した損害、それらをまとめ一部抜粋したものです」
「拝見致します」
ヴィクトールは立ち上がり、それなりの厚さをした紙束を受け取り目を通す。
見る見るうちに顔が土気色になり、手で顔を覆ったと思ったら天を仰ぎ、そして虚ろな目で私を見つめる。
「大変なのは当然でしょ?私も手伝ってあげるからそんな顔するんじゃないわよ」
「ルイーズ」
気の抜けきった声で呟くと、あれこれ考えているのかしばらく黙った後に意を決したように言う。
「亡命しよう、もう駄目だ」
さっき思いっきり啖呵切ったばっかりだろうが。




