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不適合者のレギュレーター  作者: シャロン=ミ
王墓編

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EP93 朽ちた騎士と、残された答え

カイエンが一人、通路の奥へと消えていくのを見届け、マキマとアイフェリス、そしてヒナは、その場に立ち尽くしていた。ガレウスが、壁に寄りかかるようにして静かに佇む姿は、もはや戦う亡霊ではなく、ただの朽ちた騎士の像のようだった。


「……カイエン、行っちゃったね」 沈黙を破ったのは、ヒナだった。彼女の小さな手は、ぎゅっと胸の前で握りしめられている。 「あの人……ガレウスさんは、救われたのかな?」


ヒナの言葉に、マキマは腕を組み、難しい顔でガレウスを見上げた。 「さあでありますね。死んでるんでありますから、生き返るわけじゃないでありますし。でも、少なくとも、もう苦しんでるようには見えないであります、かな」 マキマの視線は、ガレウスの虚ろな眼窩に向けられていた。そこには、もう憎悪も執着も感じられない。ただ、静かな安堵だけが漂っているように見えた。


アイフェリスは、静かにガレウスの傍らに歩み寄った。彼女は、エルフの長としての知識と、カイエンと共に旅をしてきた経験から、ガレウスの「呪縛」の深さを理解していた。 「彼にとっての救いは、生前の王の選択が間違いではなかったと、誰かに肯定されることだったのかもしれないわ」 アイフェリスは、ガレウスの言葉を思い出す。「それを聞きたかった……」。あの言葉が、彼の魂を解き放ったのだろう。


「でも、カイエンの言った『民を導くもの』って答えで、なんであんなに納得したんだろ?」 ヒナが首を傾げる。ガレウスの執着の根源が「王の正しさの証明」にあったことは理解できるが、その答えがなぜ彼を解放したのか、幼いヒナにはまだピンとこないようだった。


マキマが、ため息をつく。 「そりゃ、王が民を導くものでありますってんなら、王が王国を沈めるって決断したのも、民を守るためだったってことになるでありますろ? ガレウスにとっては、それが王の正しさの証明になったってことでありますねぇの」 マキマの言葉は、単純ながらも核心を突いていた。


アイフェリスは、静かに頷いた。 「そうね。彼はずっと、王が間違っていなかったと信じ続けたかった。カイエンの言葉は、その信念に、新たな『意味』を与えたのでしょう。王国は滅んでも、王の意志は民のためにあった、と」 彼女は、ガレウスの黒い涙が、その魂の浄化であったことを感じ取っていた。


ヒナは、まだ少し納得がいかないような顔をしていたが、やがてガレウスを見上げて、そっと手を合わせた。 「そっか……。じゃあ、これで、やっと休めるんだね」 彼女の純粋な言葉が、沈んだ地下空間に静かに響いた。


マキマは、カイエンが消えた通路の奥を見つめる。 「ったく、あいつはいつも、余計なことまで抱え込みやがってであります……。でも、まぁ、それがカイエンなんでありますね」 彼女の言葉には、呆れと、そして信頼が混じっていた。


「さあ、私たちも行きましょう。カイエンを一人にしておくのは、賢明ではないわ」 アイフェリスが促し、三人は、ガレウスの傍らを通り過ぎ、カイエンが向かった通路の奥へと足を踏み入れた。沈んだ王国の深淵は、まだ多くの秘密を抱えている。

盾の守護者戦が終了して、次回の騎士が待つフロアとなります!

お盆なのでまだまだ一挙放送いたします!よろしければ過去のEPも読んでいただけると嬉しいです!



ここまでお読みいただき、本当にありがとうございます!

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また次話でお会いしましょう!

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