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追放悪役令嬢、辺境の荒れ地を楽園に!元夫の求婚?ざまぁ、今更遅いです!  作者: 黒崎隼人


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第11章:最終決戦、二人の連携

 平和が訪れたかのように見えた王国だったが、最後の膿は、まだ残っていた。

 失脚したはずの宰相ゲルハルト。彼は巧みに法の網をくぐり抜け、辺境伯という地位は剥奪されたものの、王都の一角で蟄居ちっきょを命じられたに過ぎなかった。しかし、野心尽き果てぬ彼が、それで終わるはずがなかった。

 ゲルハルトは密かに、彼に忠誠を誓う私兵や、金で雇った傭兵、そして彼が裏で繋がっていた闇の魔術師たちを集め、強大な軍団を組織していた。彼の最後の、そして最大の狙いは一つ。

 ――聖域を力ずくで奪い、神獣フェンリルの力を我が物とすること。

「神獣の力さえ手に入れれば、皇太子など敵ではない!この国は、いや、この大陸は私のものとなる!」

 狂気に満ちた野望を胸に、ゲルハルトは万を超える大軍を率い、聖域の自治領へと侵攻を開始した。

「敵襲!ゲルハルト軍、結界の境界線に到達!」

 見張りからの報告に、自治領全体が緊張に包まれた。

 聖域の結界は強力だが、万能ではない。あれほどの大軍が、強力な魔術師たちの支援を受けながら一点集中攻撃を仕掛けてくれば、いずれは破られてしまうだろう。

 私は領主として、丘の上に立ち、眼下に迫る敵軍を睨みつけた。隣には、戦闘態勢に入ったフェンリルが静かに佇んでいる。

「やるしかないわね、フェンリル」

『うむ。我が主と、我らの家を汚す者どもには、相応の報いを』

 私は領民たちに避難を指示し、自警団と、私たちに協力してくれるようになった一部の魔物たちを率いて、迎撃の準備を整えた。

 そして、私の隣には、王国の正規軍の鎧を身につけたカイルが、剣を手に立っていた。彼はゲルハルトの動きを予測しており、事前に王都から精鋭部隊を呼び寄せていたのだ。

「まさか、君と本当の戦場で背中を合わせることになるとはな」

 カイルが冗談めかして言う。

「足を引っ張らないでちょうだいね、皇太子殿下」

 私も軽口で返す。だが、私たちの瞳は、どちらも真剣そのものだった。

 ついに、ゲルハルト軍の総攻撃が始まった。破壊魔法の光が結界を激しく打ち、地響きが絶え間なく続く。そして数時間後、ついに結界の一部が砕け散った。

「突撃ィィィ!!女領主を捕らえ、神獣を捕獲しろ!」

 ゲルハルトの号令一下、兵士たちが雄叫びを上げてなだれ込んでくる。

「総員、迎撃開始!」

 カイルが鋭く命令を下す。彼の率いる王国軍の騎士たちが、盾を構えて敵の第一波を食い止めた。

「フェンリル!」

「グルォォォ!」

 私もフェンリルと共に戦場へ躍り出る。フェンリルがその巨体と爪で敵兵を薙ぎ払い、私が聖域の力で作り出した茨の壁で敵の進軍を妨害する。

 しかし、敵の数はあまりにも多い。

「レイナ、右翼が手薄だ!」

 カイルが叫ぶ。見れば、傭兵部隊が騎士たちの陣形を突破し、後方にいる領民たちの避難場所へと迫っていた。

「くっ……!」

 私がそちらに向かおうとした時、カイルが私の前に立ち、叫んだ。

「レイナは中央を頼む!フェンリルの力と聖域の守りは、戦線の要だ!右翼は俺が行く!」

「でも、危険だわ!」

「パートナーを信頼しろ!」

 カイルは不敵に笑うと、精鋭数名を率いて自ら右翼の傭兵部隊へと突っ込んでいった。彼の剣が、嵐のように閃き、敵を次々と討ち倒していく。その姿は、まさしく王国の希望そのものだった。

 彼の信頼に応えなければ。

 私は意識を集中させ、中央の敵本隊と対峙する。その中心には、不気味な魔道具を構えたゲルハルトがいた。

「見つけたぞ、悪役令嬢!その神獣ごと、我が手に落ちろ!」

 ゲルハルトが魔道具を私に向ける。そこから放たれたのは、神聖な力を汚染する、邪悪な闇の波動だった。

 フェンリルが私を庇うように前に出るが、闇の力に触れた瞬、苦しげな声を上げた。

 まずい、神獣にとって相性の悪い攻撃だ。

 だが、私たちはもう一人ではない。

「――そこまでだ、ゲルハルト!」

 背後から響いたのは、カイルの声だった。彼は右翼の敵を掃討し、驚くべき速さでここまで駆けつけていたのだ。

 カイルがゲルハルトに斬りかかり、私とフェンリルが体勢を立て直す時間を作ってくれる。

「今よ、フェンリル!」

『応!』

 私とフェンリルの力が再び共鳴する。聖域の清浄な光が、ゲルハルトの放つ邪悪な闇を打ち消していく。

 力が弱まった隙を、カイルは見逃さなかった。

 彼の剣が閃き、ゲルハルトが構えていた魔道具を叩き割る。そして、切っ先が寸分の狂いもなく、ゲルハルトの喉元に突きつけられた。

「……終わりだ、ゲルハルト」

 勝敗は、決した。

 指導者を失ったゲルハルト軍は、蜘蛛の子を散らすように敗走していった。

 二人の見事な連携が生んだ、完璧な勝利だった。

 私たちは、血と土煙に塗れながら、互いを見つめて静かに微笑み合った。この勝利で、王国の腐敗は一掃され、真の平和への道が、ようやく開かれたのだ。

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