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98 作戦タイム

 ブックマークが増えました。

 ブックマーク頂いた方ありがとうございます。

 夏休みの宿題が予定通り終るように祈ります。(社会人の方なら出費が予算内に収まるように祈ります)

 いつも読んで下さる皆様もありがとうございます。

 令和最初の夏、思い残しが無いよう楽しめるように祈ります。


 暑さ、寒さも彼岸まで。季節外れにならないようにしたいなと思いつつ投稿の98話目、楽しんで頂けたら幸いです。

「地図、大体できたな」

 そこそこの時間フワフワと飛び回って、地図の空白を埋めた半透明の黒次が、オオオゥと空気の震えるような音を出す。


「出口は三ヶ所だね。どうする?」

 別の場所で、人型の肉の固まりアバターになってる白次がプルプルと震えながら宙を見る。


「お寺といいましたか。ここにチャレンジャーチームがいるのは間違い無いので、建物の出口で待ち伏せるのはいかがでしょう」

 ミッケニの化け猫アバターがニャーニャー言いながら顔を洗う。


「お寺の出入口は一ヶ所に見えるが、この壁の壊れた部分から出れないか?」

 開始位置からそれほど離れていないゾンビの全が指摘すると、地図のお寺の壁の三ヶ所が青く染まる。


「僕達以外にもお化けっているよね?」

 虎城君の言葉で地図に緑色の点が散らばっていく。


「まて、この古井戸ってなんだ? 怪しくネーか」

 墓場の中で三つの出口のちょうど真ん中に表示されている丸に気づいたお化けチームは、ニヤリと笑うと作戦をたて直した。



『ナンニャー星国第33代国王の名前は?』

 御本尊の中から取り出した巻物を開くと問題文が書いてあった。


「謎解きってこれなのね」

 委員長が姫様を見る。


「正解すると地図か宝珠が貰える」

 月子さんが姫様を見る。


「結構重要ね」

 九海が姫様を見る。


「ミ、ミッケニが知ってましてよ」

 姫様が誰もいない後ろを見る。


「猫の種類っぽい名前を適当に言ってみれば?」

 姫様がわかんないならダメだよねと丞は皆を見る。


「ザッシュ」「ペルーシャ」「サバル」「コーギー」「カラカール」


『正解』

 オニビーに地図or宝珠×5と表示されている。


「え、当たった?」

「誰が?」

「正解の表示は無いの?」

「やりましたわ!」

「姫様犬の種類言ってなかった?」

 正解と言われたが何かスッキリとしない。


「地図と宝珠どっちにする?」

 丞は地図or宝珠×5と表示され、カウントが60から一秒事に減っていくオニビーを見て迷いながら焦る。


「ハーッですわ!」

 姫様が叫ぶ。


「そうね。攻撃手段は大事だわ」

 九海も頷く。


「その通り」

 月子さんも同意する。


「とりあえず、宝珠にしましょう」

 襲われたらおわりだわと委員長。


 あれ? 僕以外迷わないの? 全員攻撃一択? と思ってるうちに丞にも宝珠が一個渡された。


「ゾンビの耐久を考えると一人三個はほしいわね。そのあと余裕があれば地図よ。地図はなくても自分達で作れるわ」

 委員長が右手で眼鏡の位置をクイッと直す。

 オニビーの光を反射させてレンズが赤く光る。


「攻撃手段さえあれば地図無しでも脱出可能」

 月子さんが指を鳴らすように右手で左拳を包む。

 指が鳴らせずニヤリポキポキと口で言っているが。


「狩りには備えが重要ですわ!」

 ニヤリと笑う姫様の目も爛々としている。

 猫って肉食だよねと、備えが無くてもメインデッシュを次々と奪取する白い子猫を丞は思い出した。



 キャーッて言って抱きついてくる女の子はいないんだなぁ。

 横に転がっている御本尊の顔を真似たような表情で、丞は手際よく家捜しするチームメイトを眺める。


「ほら丞。ボーッとしてないで探す、探す」

 九海が丞の尻を叩いて隣の部屋に進んでいく。


「では、私達はこちらを」

 委員長と月子さんが目配せして他の部屋に行こうとする。


 飯堂寺君、倉居さん二人っきり作戦発動!


「私も行きますわ!」

 姫様が丞の肩に飛び乗る。


 飯堂寺君、倉居さん二人っきり作戦終了!


「・・・十分たったら巻物が無くても此処に集合ね」

 あの子をどうにかしないと、と考えながら委員長はオニビーに時計表示と分裂を頼む。


「十分ね」

 この男は子供に好かれるのよ、と考えながら九海は、楽しそうな姫様を肩車しながら襖を開ける丞を見つめる。


 まあ、そこも魅力と考えれば・・・


「こっちのナビ、オニビーで良かった」

 火照った頬を意識して九海が独り言を呟く。


「ああ、ウィルは緑でちょっと雰囲気出すぎるよね」

 丞が呟きを聞き取って会話になる。


 そういう事じゃなくて・・・顔色をごまかすのにちょうどいい。

 今度は呟きにもならず、首まで達した火照になった思いは、オニビーにごまかされて丞に届かなかった。



「やっぱり、底の方で通路が延びてるぜ」

 皿のセットも買い直せない貧乏屋敷の井戸の幽霊のように、黒次が井戸から出てくる。


「こっちから攻めるか?」

 やっと井戸に着いた全がうぁーっと呻く。


「移動速度の問題があるので、ペアは代えられませんね」

 化物ミッケニがツツーと井戸から寺へなぞる。


「この抜け道を使ってくるかな? あと分かれ道があったらすれ違う可能性があるよね?」

 白次のお化けアバターがミッケニのなぞった跡を見ながらプルプルと震える。

 

 虎城君のゾンビはコクコクと頷き過ぎて首が取れそうだ。


「俺が抜け道を軽く偵察してくる。一本道なら白次、ミッケニのお化けペアを送り込むってのはどうだ?」

 途中複雑そうなら壁を抜けて戻って来ればいいしと黒次。


「もし、チャレンジャーチームが抜け道を使わなければ挟み撃ちだね」

 僕の体力が持てばだけどと白次。


「俺達は移動速度がな」

 ゾンビコンビは揃ってため息をはく。


「白次をゾンビ、運動得意組を幽霊、普通がお化けが正解だったか?」

 黒次が唸る。


「今、気づいてもな。どうする?」

 全が寺のある方を見る。


「作戦通りいきましょう。黒次さんお願いします」

 ミッケニが浮いてる黒次を見上げる。


「呼び捨てでイーぜ。ウィル、分裂。チャレンジャーチームに見つからないように非実体モードになってくれ」

 黒次が古井戸に飛び込んでいく。


 成る程、考えたなと残りのお化けチームは井戸の回りでそれぞれ頷いて黒次を見送る。


「真っ暗でなんも見えネー。ウィル、実体モード」


 成る程、このアバター暗視モードは付いて無いのかと、残りのお化けチームは首を傾げつつ浮いてるウィルを眺めた。


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