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95 LS確率二分の一

 学生の皆様は夏休みですね。

 私の学生時代に小説家になろうがあったらなあ、などと想像します。

 学生時代はノート 一枚書いては止めてました。

 漢字がね、辞書を引くのが面倒で。

 漢字変換万歳。


 文明の進歩を噛みしめながら書いた95話目、楽しんで頂けたら幸いです。

「居眠りで巻き込まれたの? 丞ったらドジねぇ」

「あのとき居眠りしたのは、幸運だったわ。フぃみョンに出会う切っ掛けですもの」

「シープにも会えたし」

 ふわり、ふわりと浮かぶ女子三人は丞の失敗談で盛り上がっていた。


 結局、ゲーム前にこれ以上歩くのは嫌だと言うことになって、丞達はジョンさんに迎えを出してもらった。

 連絡したらストーンと地面が抜けたのは驚いたが、このまま無重力に似た浮遊感を楽しんでいればジョンさんのゲーム会場に着くらしい。

 トンネルを縦にしたような空間で、壁が万色に柔らかく変化している。比較物が無いせいで落下のスピードがよくわからず怖くない。


 異世界会員全員が、丞が初めて無重力を体験した時のようにクルクルと回って、それぞれのお付きのシープが空中姿勢を整えた。

 委員長も月子さんもいつもの運動着にオーバーオールだ。

 スカートの人がいなくてよかったと丞はちょっとがっかりする。もとい、安心した。


「みんなは丞と同じクラスなんだ」

「応。倉居っていったか。あの高校に受かるのはスゲーな」

「いや全く。見習いたいよ」

「・・・凄くなんてないよ」

 男卯上の二人は全の弱点を知らず知らずの内に突いていた。

 フぃみョンでの学習を現実に反映させてるのは、全が後ろめたく思っている事なのだ。


「倉居だと九海と紛らわしいから、下の名前で呼んだらどうかな? 全もそれでいいよね。ジョンさんのゲームってどんなのかな?」

 さっき助け舟を出してもらったしと、丞が気まずそうな全の為に、さりげなく話題を変える。


「そうそう、九海さん可愛いよね」

「どこまでイってンだ、コノ!」

 卯上の二人がニヤリと聴こえそうな同じ笑顔になって話題は変わった。

 丞の想定外の方向に。

 あれ、おかしいな。

 全と貸し借り無しになるはずなのに。

 また、全に舟の派遣をお願いする。


「知ってますわ! 草の上で丸いのを追いかける運動ですわ!」

 丞の横では虎城君がナンニャー星人に野球の説明をしていた。


「私どもは種族特性で、小さくて素早い物は反射的に追いかけてしまうので難しいですね」

 ミッケニがすまなそうに何かを断っている。


「一回ぐらいはやってみるべきですわ!」

 姫様は目をキラキラさせながら何かを蹴飛ばす真似をした。

 虎城君とミッケニが同じタイミングで首を同じ角度曲げる。

 姫様はべつの競技を思い浮かべてるのでは? 

 話を聞いてるだけの丞も首をひねる。


 キャーキャー、ニヤニヤ、ニャーニャーとそれぞれのグループの話が盛り上がっているタイミングで、シープがピクンと何かに反応する。


『皆様、そろそろ到着致します。着地に備えて下さい』

 シープがアナウンスすると同時に下の方が段々と輝いていく。


 シポン! と音がしそうな勢いで、丞達はそこそこ広い部屋に放り出された。


 ムギュ。丞の顔が柔らかい誰かの胸に押し付けられる。


 おおぅ。


 これが伝え聞くラッキースケベか。

 誰だろう? 一緒に移動した女子の顔を思い浮かべながら丞の胸が高鳴る。


「男に抱きつかれる趣味無いんだけどな」

 白次が嫌そうに太ったボディーから丞を引き剥がす。


「僕もだよ・・・」

 男が六人、女の子が三人。姫様は除く。

 二分の一の確率なんだけどなと、離れた所で華麗に着地している女子達を眺めながら丞は高鳴りを胸にしまった。


「ヨクキタネ カンゲイ スルヨ!」

 今日のジョンさんは羊毛アフロの頭で、額の正面に三角の布部分がくるように、左右の羊の角に天冠のひもが結ばれている。

 いつもの宇宙人ヘアバンドのピンポン玉も二つ揺れている。

 合わせが逆の、下半身が袴みたいなズボンになってる白い着物っぽい服を着ていて裸足。

 ジョンさんの種族の特徴なのか、五本指のそれぞれの先が蹄っぽくなっているが、ネイルサロンに行ったように綺麗に整えられている。

 靴を履いてない代わりに少し宙に浮いていて、身体の横には教室の掃除に使うバケツみたいなサイズの火の玉が二つ浮いている。

 だらりと垂らした手の赤い爪に、ネイルアートで羊の角の生えた頭蓋骨がプリントされていた。

 日本の幽霊と微妙に違うな、ジョンさんのアレンジかな? と思いながら丞は皆に、ゆらりゆらりと浮いている女幽霊を紹介する。


「この人はジョンさん。今日遊ぶのゲームを作った人で、え~と地球とかフぃみョンで紹介している宇宙人の人。あと、僕にフぃみョンをくれた人。借ポイントの貸し主」

 丞はジョンさんを腕で示しながら、知ってる事を全部言ってしまった。

 借ポイントとかいらなかった、急だと上手く紹介できない、事前に考えとけば良かったと丞はうなだれる。


「ハイ! ゴショカイ サレタ ジョン ダヨ シツモン アルカナ?」

 丞をフォローするようにジョンさんが明るく話を引き継ぐ。

 


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