87 フレンド?
このお話の続きに苦労して、気分転換に夏のホラーに投稿していたら、どんどん書ける量が少なくなりました。怖い!
そんなこんなで書き上げた87話目、楽しんで頂けたら幸いです。
「「聞いてる丞?」」
「はい、聞いてます」
丞は頭の中に響く九海の声に返事した。
「「何で、ナンニャー星人の王族が丞にフレンド申請してるか? いや全然わからん。丞のパスはミッケニさんにしか送ってないぞ」」
全の声はゆったりと響く。
「「だから、丞の位置情報をおしえて」」
九海の声がいら立ってくる。
「「フレンド申請の件は、シャーム王女達に聞くしかないな。とりあえずミッケニさんのフレンド申請にOKを出したらどうだ? あ、そういえば、パスの件、九海に横から覗かれたけどいいよな?」」
全はあいかわらずのんびり話してくる。
丞がシープに目をやると、この事態を引き起こした当事者は、丞の苦労も知らないでのんびりと浮いていた。
思考通信ってマルチ通話できるのか。
たぶん、それぞれの部屋から別に通信してきた空来家の二人と話ながら、丞は頭の中を整理しようと必至だった。
最初はてっきり、九海からの通信だと思っていた。
全の声が聞こえた事に戸惑って、二人に通信が重複してると伝えるタイミングを失った。
「九海に覗かれたのは別にいいけど」
「「覗かれたのは私の方よ?」」
ハイ、間違えた。
スパッツ鬼が赤くなっていく幻が見える。
「はい! すいませんでした!」
丞は直立不動の体勢になる。
シープが倒れた椅子を直す。
「「それはいいから。とっとと忘れなさい。船の中で許したでしょ。さっさと位置情報を教えて」」
「「オーイ? 丞、聞いてるのか? 俺もそっち行こうか? 位置情報をくれ」」
さすが、双子。
話があった瞬間にシープに位置情報を伝えるようにお願いして、丞は思考通信を終了した。
「なんか、いらん苦労をした気がする」
焦点を決めずにテーブルを眺めながら丞は呟いた。
すすったコーラは氷が溶けて生ぬるい。こんなとこまで再現しなくていいのに。
丞はフぃみョンの評価を下げた。
『お飲み物冷やしますか』
シープが珍しく執事らしい事を言ってくる。
丞が頷くとコーラの残りがキンキンに冷える。
こんな事もできるのか。
コーラの残りを流し込んで丞はフぃみョンの評価を上げた。
「二人別々の通信なのに、空来様って言ったのわざとだよね?」
『真実をお伝えしました』
シープがあさっての方向を見ている。
まあ、間違った事は言ってないんだけど。
どうもこの羊は僕がうろたえるのを見たがってないだろうか?
丞はどんよりとした気分になった。
シープにもこの気分が移ればいいのに。
丞はシープにじっとりとした視線を送る。
『あ、わかります? タキシード新しくしたんです』
「襟が少し違うかな」
『そうなんです。よくわかりましたね』
女子が切った前髪に気づいてもらえたようなシープの悦びように、丞の気分も明るくなった。
「ちゃうやろ! そうじゃないねん!」
草っぽい人が何人か丞のいるテーブルの横を転がって行きながら、隣の仲間に突っ込みを入れていた。
☆
「遅いね? 僕が起きる前に二人と会えるかな?」
『ミラクル迷宮のレベル1が一万ポイントスタートで千八百ポイントゲットしました。起きるまで、まだ二時間はあります』
「二時間待ちか」
『以前おっしゃっていた、見逃した番組を見るのはいかがですか?』
「いいね! そうしよう」
丞はテーブルからポテチを取り出して、コーラをお代わりする。
「あんたのお宝見つけたぜ」
「素晴らしい仕事ですわ!」
「今、姫様の声しなかった?」
『姫様って誰です?』
「僕の頭に登ってた子猫っぽい人」
『ああ、昼間の』
シープと丞は辺りを見回す。
「いないね?」『声の似た人がいたのでは?』
「美味しいですわ!」
「姫様、お昼と違ってそれは丞さんのものですから、勝手に食べないで」
いつのまにか丞の正面に猫耳の少年少女が座っていた。




