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88/743

87 フレンド?

 このお話の続きに苦労して、気分転換に夏のホラーに投稿していたら、どんどん書ける量が少なくなりました。怖い!


 そんなこんなで書き上げた87話目、楽しんで頂けたら幸いです。

「「聞いてる丞?」」

「はい、聞いてます」

 丞は頭の中に響く九海の声に返事した。


「「何で、ナンニャー星人の王族が丞にフレンド申請してるか? いや全然わからん。丞のパスはミッケニさんにしか送ってないぞ」」

 全の声はゆったりと響く。


「「だから、丞の位置情報をおしえて」」

 九海の声がいら立ってくる。


「「フレンド申請の件は、シャーム王女達に聞くしかないな。とりあえずミッケニさんのフレンド申請にOKを出したらどうだ? あ、そういえば、パスの件、九海に横から覗かれたけどいいよな?」」

 全はあいかわらずのんびり話してくる。


 丞がシープに目をやると、この事態を引き起こした当事者は、丞の苦労も知らないでのんびりと浮いていた。


 思考通信ってマルチ通話できるのか。

 たぶん、それぞれの部屋から別に通信してきた空来家の二人と話ながら、丞は頭の中を整理しようと必至だった。


 最初はてっきり、九海からの通信だと思っていた。

 全の声が聞こえた事に戸惑って、二人に通信が重複してると伝えるタイミングを失った。


「九海に覗かれたのは別にいいけど」

「「覗かれたのは私の方よ?」」


 ハイ、間違えた。

 スパッツ鬼が赤くなっていく幻が見える。


「はい! すいませんでした!」

 丞は直立不動の体勢になる。

 シープが倒れた椅子を直す。


「「それはいいから。とっとと忘れなさい。船の中で許したでしょ。さっさと位置情報を教えて」」

「「オーイ? 丞、聞いてるのか? 俺もそっち行こうか? 位置情報をくれ」」


 さすが、双子。

 話があった瞬間にシープに位置情報を伝えるようにお願いして、丞は思考通信を終了した。


「なんか、いらん苦労をした気がする」

 焦点を決めずにテーブルを眺めながら丞は呟いた。

 すすったコーラは氷が溶けて生ぬるい。こんなとこまで再現しなくていいのに。

 丞はフぃみョンの評価を下げた。


『お飲み物冷やしますか』

 シープが珍しく執事らしい事を言ってくる。

 丞が頷くとコーラの残りがキンキンに冷える。

 こんな事もできるのか。

 コーラの残りを流し込んで丞はフぃみョンの評価を上げた。


「二人別々の通信なのに、空来様って言ったのわざとだよね?」

『真実をお伝えしました』

 シープがあさっての方向を見ている。


 まあ、間違った事は言ってないんだけど。

 どうもこの羊は僕がうろたえるのを見たがってないだろうか?

 丞はどんよりとした気分になった。

 シープにもこの気分が移ればいいのに。

 丞はシープにじっとりとした視線を送る。


『あ、わかります? タキシード新しくしたんです』

「襟が少し違うかな」

『そうなんです。よくわかりましたね』

 女子が切った前髪に気づいてもらえたようなシープの悦びように、丞の気分も明るくなった。


「ちゃうやろ! そうじゃないねん!」

 草っぽい人が何人か丞のいるテーブルの横を転がって行きながら、隣の仲間に突っ込みを入れていた。



「遅いね? 僕が起きる前に二人と会えるかな?」

『ミラクル迷宮のレベル1が一万ポイントスタートで千八百ポイントゲットしました。起きるまで、まだ二時間はあります』

「二時間待ちか」

『以前おっしゃっていた、見逃した番組を見るのはいかがですか?』

「いいね! そうしよう」

 丞はテーブルからポテチを取り出して、コーラをお代わりする。


「あんたのお宝見つけたぜ」

「素晴らしい仕事ですわ!」


「今、姫様の声しなかった?」

『姫様って誰です?』

「僕の頭に登ってた子猫っぽい人」

『ああ、昼間の』

 シープと丞は辺りを見回す。


「いないね?」『声の似た人がいたのでは?』


「美味しいですわ!」

「姫様、お昼と違ってそれは丞さんのものですから、勝手に食べないで」


 いつのまにか丞の正面に猫耳の少年少女が座っていた。

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