84 一店舗に一話
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では、84話目楽しんで頂けたら幸いです。
「さてと、どうしようかな」
丞は携帯電話で時間を確認して呟いた。
今日はいろんな事があった。
家族が外国に行ってからこんなに騒がしかったのは久しぶりだ。
いや、家族がいた頃を合わせても一番だったかもしれない。
時刻は十九時過ぎ。今日は休日。
もう気の早い社員さんは食堂に行ってるだろう。
もしかしたらビール持ち込みで宴会もどきになっているかもしれない。
今日は外で食べようか。
丞はポケットから自転車の鍵を取り出すと、いつものコンビニに向かってこぎだした。
☆
「テストでは異常ありません。でも念の為部品は交換しときました」
「休みのところすいませんね。御手数をお掛けしまして」
コンビニの入口で作業服の人と店長の名札を着けた人が頭を下げあっていた。
アイスの機械が故障してなきゃ良いけどと思いながら、丞はコンビニに入る。
この前停電のせいで、温度管理が必要な商品が全く無くなってしまい、空っぽの棚を見たばかりだ。
電気のありがたみをしみじみと感じながら丞はコンビニの中をチェックする。
おかしい所は無い。目的の弁当もアイスもある。
それどころか補充したてで、商品が一つも減って無い状態だ。
「あ、このパン!」
テレビで紹介されてからいつも買えなかった菓子パンと、お気に入りのコーヒーを買い物籠に入れて丞は弁当を選ぶ。
甘い物ばかりでは。しょっぱい系の物も欲しい。
今日は姫様達の為に変換したポイントの残りがある。少し贅沢しても問題無い。
「弁当も段々高くなるんだよなあ」
売れる、サイズダウン、リニューアルで元に戻して値上げ、このサイクルを繰り返した結果、中身がたいして変わらないのに二割以上高くなった弁当を眺めて、丞は残念な気分になる。
「少食の女性に合わせましたと言われてもなあ」
丞は九海とか月子さんとか委員長を思い出す。
ついでに姫様も。
女性が男性より食べないというのはどこ情報なのだろうか?
値上げの言い訳に使ってるだけなんだろうなと考えて、丞は焼肉弁当を籠に入れる。
あとはアイス。
弁当を食べる時間があるのでパックになっていて蓋を開けて飲むタイプにする。
「防犯カメラの映像も消えてるんだよ! これってやっぱりおかしいよ! ねえ?」
丞が買う商品を決めてレジに向かうと、男性店員さんが女性店員さんに、何かを真剣にうったえていた。
「はいはい。おかしいですね」
ホットスナックの補充をしていた女性の店員さんが、丞に気づいて男性の店員さんに目配せする。
丞がレジに籠を置くと男性の店員さんがバーコードを読み込む。
「お弁当は温めますか?」
アイスを手にとって男性店員さんが丞に尋ねる。
「はい。弁当は温めますが・・・」
丞はアイスを指差す。
「ああ、すいません。こっちですね」
男性店員さんが菓子パンをレンジに入れる。
「いや、違います!」
丞が止めたが遅かった。
ぱぁん!と袋の弾ける音がレンジの中から響く。
「すいません。交換しますね」
女性店員さんがパンコーナーに走る。
「もう、藻流田さんはいいですよ」
パンを取ってきた女性店員さんがレジを代わる。
「すいませんね。普段はちゃんとしてるんですが、なんか二本足で来店した子猫を見たらしいんですよ」
レンジの失敗をごまかすためか女性店員さんが世間話をしてくる。
二本足で来店した子猫? 丞には心当たりがある。
たぶん白い方だ。
「ちょうどその時間の防犯カメラの映像がクラッシュしてて、証拠隠滅だって言うんですよ」
女性店員さんが暖かい物と冷たい物を別袋に入れる。
証拠隠滅? 丞には心当たりがある。
たぶん食べ物では無いTKGだ。
「ふ、不思議な事もあるんですね?」
ワオーンと吠えたカードを持つ丞の手がプルプルと震えた。
「ええ、コンビニって二十四時間営業でしょ? 一店舗に一話こんな話があるんですよ。多いとこなんか一人一つ持ちネタのある店もあったりして」
女性店員さんにっこりと笑いながら丞にビニール袋を差し出す。
「本当に見た。見たんだ」
虚ろな目をした男性店員さんが親指の爪を噛んでいる。
全にどうしたらいいか聞いてみようと思いながら丞はコンビニを出た。
コンビニに怪談があるのは作者の妄想です。
でもこれでなんか書けそうな気もしますね。
ホラー祭りのお題病院なんだよなあ・・・




